林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

足音

2008-11-23 | 林住期

スーパーからの帰り道も、山道を歩いた。

西武の車両基地を過ぎると、夕方にはまだ早いが、周りは急に薄暗くなる。まるで物の怪が出てきそうな道になる。
道祖神を過ぎると坂道だ。

20年前、ここは山あいの荒れた暗い植林地で、細い渓流が流れていた。
そこを西武が、近くのゴルフ場工事で削り取った土砂で埋め立てたのである。工事中はダンプを通したため道幅は広い。

だが工事が終わると、道はまた荒れ地に戻った。
道の湿った両側は、猪が餌を探すために掘り返した。人が歩く真ん中は川底のように小石がごろごろしている。

石を避けながら歩いていると、後ろの方から、タッタッタッ、と規則的な足音が迫ってきた。追い抜かれるのは癪だし、振り返るのは失礼だ。後ろからグサリかも.........。
少し不安になり、明るい坂の上まで急ぐことにした。

息が切れた。
それでも結局途中で追いつかれ、追い越され、町の方へ遠ざかっていった(▲)。
並んだ時にちらっと見たら、あれま、あの子狸爺さんだった。

爺さんは真夏の炎天下、半ズボン姿で、タッタッタッと町の坂道を歩いていた。よくまぁエライねぇ、と感心したものである。脚は森男より短いし、どう見ても大先輩である。
快足は真夏の成果だった。

若いヤツに追い抜かれるのは仕方が無い。後進には道を譲ってやろう。
だが、あの爺さんじゃあなぁ.......。

よーし、と決心はした。決心だけは。




写真は記事とは逆順に貼り付けました。



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2 コメント

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Unknown (小肥り)
2008-11-23 10:18:31
う~む・・・・
なにが起こっても不思議ではない雰囲気。
道も・・・木陰にも岩陰にも・・・
何が潜んでいてもおかしくない。
そんな風景ですね。
遭遇したのが少しでも知り合いである、
これは大いに気が休まりますよ。
読み終わって緊張が解けました。

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狸の祟り ()
2008-11-23 22:25:36
小肥りさま

今年の春 一番上の写真の右側の山の中で作業中 狸の巣穴を埋めてしまいました

お爺さんがその狸だったら ヤバイことになるとこでした 
ちょっと 似てたんです
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