林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

プロメテウスの罠

2012-01-18 | 床屋放談

「プロメテウスの罠」という朝日朝刊連載されている記事がある。
福島第一原発事故を色々な角度から報告し、いろいろ考えさせられるいい記事である。
そしてここ数日は「官邸の5日間」を報告している。

森生はこれまで菅前首相のことを「空き菅」と書いて罵倒してきた。
しかしこの連載記事を読み、菅が組織の長として不適任だったことに変わりはないが、菅が気の毒になった。
菅を補佐すべき高給(級ではない)官僚の無責任・無能さが蔓延っていたのだ。歴史教科書に残すべき酷さだ。

彼らは菅や枝野官房長官に重要なことは何にも報告してなかった。
確かに怒鳴り散らす菅は良くない。だが、たとえ怒鳴られても殴られても、重大な事実を何故報告しなかったのか。

菅が東電に乗り込んだことを森生は軽挙盲動と見ていたが、なるほどそういう事情があったのなら、やむを得ない。
当時の清水東電社長は、無責任にも原発からの撤退を早くから何度も陳情していたのだ。

例の放射性物質拡散予測システム「SPEEDI」について所管する文科省は始めから把握し、外務省を通じアメリカには爆発3日後には通告していた。
原子力安全委員会の斑目(デタラメと読んで下さい)委員長は知っていたくせに、また菅に付きっ切りだったのに、今になっての言い訳は以下のとおりだ。

   

   原発がどうなるかを予測できるのは私しかいなかった。その私にSPEEDIのことも全部やれって言うんですか。
   
超スーパーマンならできるかもしれないが、菅首相に助言する役割分担は安全保安院です。

当時の安全保安院長の寺坂信昭(こんなヒトいたんだ)の言い訳。

   

   保安院がSPEEDIの話しをしちゃぁいけなくはないが、もともと文部科学省の所管です。

いやはや、もうヤツラに付ける薬は無いね。
被害は底なしで、総計は数千人数万人を殺害したことに相当する。ヤツラを縛り首にして獄門に晒せ。

寺坂は多分高額な退職金を受け取り、定期異動でどこか他の役所の出先機関に渡ったらしい。
斑目はいけしゃあしゃあと、未だに原子力安全委員会委員長のままである。

政府には事故調査委員会がある。
ここでは失敗学を提唱する委員長の方針で原因究明を優先し、責任は後回しにする。以前NHKで失敗学の立場を何回か放送した時、見ているので、この委員会の方針は理解できる。

しかし、これほど重大な事故を起こしていながら、責任を被り辞めたのは東電清水社長だけ、とは呆れる。

国会にも事故調査委員会があるそうで、こちらは責任追及の姿勢を打ち出すそうだ。
菅、枝野、海江田元経済産業相を委員会に招致し、公開でがんがんやる方針らしいが、攻める方は政権交代を目的にし、
守る方は人権や個人情報を持ち出し逃げ切るだろう。国会なんかあてになるもんか。

そして、斑目と寺坂と当時の文科省高官は安泰である。
こういう体制を作り上げたのは自民党や、それを看過していたわれわれ日本人なのだ。
原子力発電所は、日本人には向いていない、とつくづく思う。

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