代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

黄土高原で私が泊まっていたヤオトン

2006年03月25日 | 中国山村報告
 延安近郊での調査中、私が宿泊させていただいていた横穴式の住居・ヤオトン(窑洞)です。食事は農家の家庭料理をご馳走になっておりました。ちなみに、この地域では年間降水量が400mmほどしかない少雨地域であり、コメを栽培できません。主な穀物は小麦、コウリャン、アワです。私は毎日アワのお粥を食べていました。美味しかった。

 『SAPIO』や『諸君!』のような反中国雑誌でしたら、こうした情報をもとにして「黄土高原の農民はいまだに穴居生活で、食事はコメもなくアワのお粥だ! なんて酷い国なのだ! 農民がかわいそうだ。崩壊だ崩壊だ。わー!」とか絶叫しながら攻撃するのかも知れませんが、そんなことはございません。

 ヤオトンは、夏は涼しく冬は暖かく、黄土高原の気候風土に見事に適応した理想的な住居です。事実、この村にいた際村長さんが、「外国人をヤオトンに宿泊させるのはちょっと失礼だ」とおっしゃって、途中から道路沿いの鉄筋コンクリート製のゲスト・ハウスに移ることになりました。鉄筋コンクリートの建物は、熱いしうるさいしで、ヤオトンに比べてとても住みづらかった。ヤオトンが如何に快適な住居かを実感した次第です。黄土高原の人々がヤオトンの生活に固執するのが納得できました。単純にそれは、ヤオトンの方が住みやすいからなのです。 

 食事もその地域の気候風土に適合したものを食べる、地産地消・身土不二の原則が理想だと思います。コメが採れないところで、無理してコメを食べる必要はないのです。私はこのとき初めてアワのお粥を食べましたが、その美味しいのに驚いた次第です。
   

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