代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

「英雄たちの選択」で語られた武力討幕の闇

2018年01月04日 | 赤松小三郎
 昨晩(2018年1月3日)の「英雄たちの選択」、全国放送で初めて赤松小三郎が、ほんのわずかの時間ですが紹介された。

 イギリスの外交官のオリファントが、留学中の薩摩の寺島宗則に向かって「イギリスの掲げる自由貿易とは、じつはお前たちの国から徹底的にむしり取るためのものなんだぜ」と公然と語っていたエピソードなど、英国の自由貿易帝国主義のダークサイドについても言及されていたのは良かった。TPP問題など現在にまでつながる論点である。
 寺島宗則、重野厚之丞といったこれまであまりスポットが当てられなかった人物たちに光が当てられたのはすばらしかった。

 番組の前半は島津斉彬・寺島宗則といった薩摩の先進的な知識人たちの「光」がテーマだったとすると、後半は武力討幕に決した西郷・大久保の策謀の「闇」の部分も語られた。その中で、テレビで初めて赤松小三郎の名が登場したのである。赤松小三郎は、必死に西郷に向かって武力討幕を思いとどまるように説得していたが、薩摩は冷徹に小三郎を暗殺するに至ったのだ、と。

 中野信子氏は以下のようにおっしゃっていた。
「(内乱を起こし武力で権力を奪取するという)この選択、やっぱり腑に落ちないなあ、といつも思うんです。斉彬公の御意志とは違うという、この選択をわざわざ彼ら(西郷・大久保)が取る理由、(それをしない場合の)デメリットがそれほど大きいかしらと考えると、そうでもない。まだ見つかっていない何かがあるんじゃないか

 信州出身の歴史学者である岩下哲典氏は
公議輿論の議会をつくりたいというのが赤松の思いだった。薩摩がその師匠をバッサリやっちゃったというのは信州人としてちょっと許せない」と。

 磯田道史氏は
今日、政治思想家が、この赤松を斬っちゃったことをすごい惜しむんですよ。ものすごく緻密な日本における議会の作り方を政治思想として知っていたのはこの人だった」と。

 日本有数の知識人たちであるこれらの方々が、以上のようなコメントをしたことの意味は大きい。武力クーデターによる王政復古ではない、公議輿論(=議会制民主主義)の別の道があったのだ。 


 おりしも、安倍晋三首相が年頭所感から明治の精神に学ぼうと呼び掛ける中、ウェブジャーナルのIWJが元日と二日にかけて、昨年の夏に行われた岩上安身氏と私の対談を再配信して下さっていました。
 武力討幕による「王政復古」がいかに日本の近代化を歪めたか、興味のある方はIWJのインタビュー記録をご参照ください。
 その1からその5まで、フルテキスト(有料)が以下にあります。IWJの会員でない方も単品で購入できます。
 何でも昨年のIWJのコンテンツの中で、会員以外に単品としてもっとも売れたものの一つだったそうです。岩上さんと私の対談の、数倍の分量の膨大な注が付けられていて、事実関係が精査されています。注の部分が資料としても価値が高いと思います。IWJのスタッフの皆様に感謝申し上げます。

 
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/408786



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2 コメント

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(お正月は終了し平時・平常の始まり)「武力倒幕=暴力革命=英国製カラー革命」と言う事なんでしょうか... (Mr.T)
2018-01-04 16:04:13
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【特大スクープ!】ソ連の北方四島占領作戦をアメリカが援助していたことが判明!
http://xn--nyqy26a13k.jp/archives/37718
艦船の無償貸与、ソ連兵の訓練も

主要テロ支援国家はどこか?
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2018/01/post-45f6.html
https://www.rt.com/usa/414931-ron-paul-america-meltdown/
「長州レジーム」から日本を取り戻す!維新前後の妄想
http://blog.goo.ne.jp/deeplyjapan/e/53329c56407a1e92a2556f3a1e5485ad
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実際のところは本当ところは全くもって藪の中ですけど
明治維新の前には南北戦争そしてフランス革命へと
明治の御一新の後のロシア革命にまで連なる策謀
(ロマノフ王朝一家皆殺しは明石元二郎の功績と)
http://nippon-pride.com/hokoriarusenjin/1153.html
これが直近のイランで起きた反政府運動のデモから
政権転覆のクーデターへ繋げる極めて意図的なもの
何らかの陰謀(謀略)めいたもの(工作)を感じさせます

JFK暗殺は国家ぐるみと思われますが
英国諜報員の親友を持つと言われる
大日本帝国の情報将校である明石が
(貴様はマルクスをわかっていないと)
レーニンに説教をした逸話もあるとか

今イランで発生し起こった暴動にも
英国諜報員が関係してる模様です
(参考:https://sptnkne.ws/gwdp

ところで...

世界は一足早く新年相場入りし中国と米国と好スタート
そして何と言っても南北朝鮮が一体化の方向へ進み出し
(アントニオ猪木や金丸信次男の両氏による訪朝などなど)
近々日中合意と同じ歴史的な日朝新関係が始まるのかなと

米戦争屋ネオコン勢の暴走暴発はアリなんですけど
まあ未だに米朝開戦だの中朝戦争だのXデーなどと
恥を知る事も出来ず公に無様な醜態を晒し続けてる
そんな右の売国の人々は正に疫病神(貧乏神)です

大発会の日は今年1年の相場を象徴するとされ
ドル円は心配し過ぎでwなにわともあれ日本株
めでたし・メデタシとなり23000円を超えました

※まだ米国の「四つのNO」を知らずの模様と
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-19271.html
問題は、北朝鮮ではなく、ワシントンだ
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/post-5755.html
The Cashless Society Has Arrived— Only It’s in China
https://www.wsj.com/articles/chinas-mobile-payment-boom-changes-how-people-shop-borrow-even-panhandle-1515000570
返信する
再放送がありました (りくにす)
2018-05-15 12:08:55
放送が終わった後で申し訳ないのですが、5月14日午後3時にBSプレミアムで再放送がありました。
正月に録画ができなかったのでありがたく拝見しましたが、ますます薩摩が嫌いになってしまいました…
リクエストいかんでは、今年中にもう一度再放送があるかもしれません。
どっちかというと赤松小三郎が独立したネタになるほうが嬉しいのですが、野党議員に暴言を浴びせる幹部自衛官がいたり「民主主義はみんなで決めたことに従うこと」という道徳の教材が復活したり「自由主義は日本の伝統ではない」という声がネットにあふれているようでは難しでしょうか。
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