代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

情報をねじまげ郵政民営化の本質を伝えないマスコミに抗議します

2005年08月13日 | マスコミ問題
 もはや日本のマスコミはなりふりかまわず、郵政をめぐる情報操作と露骨な小泉応援のキャンペーンを始めました。もはや私は絶望的な心境です。郵政民営化の背後にあるウォール街の意図を一切隠して報道しようとしないのです。
 この露骨な選挙干渉によって、小泉が勝つ可能性は高くなってきました。きわめて残念なことであるとともに、私はこの国で生きていくことに対し、いまほど絶望的な気持ちになったことはありません。
 朝日新聞など、軍国路線を煽り立てて、軍部の暴走を助けた1930年代の硬直した社の体質に完全に戻ってしまったと、残念ながら申し上げざるを得ません。 

 例えば、以下のエピソードは亀井静香勝手連の掲示板で知ったことなのですが、紹介いたします。
 朝日新聞は石原都知事が郵政民営化に賛成したと言って、次のような記事を書きました。

『朝日新聞』のホームページより引用
石原都知事 「郵政民営化に基本的に賛成」
2005年07月29日21時41分
http://www.asahi.com/politics/update/0729/009.html

(引用開始)
 東京都の石原慎太郎知事は29日の定例会見で、郵政民営化について、「基本的に民営化には賛成」との姿勢を示した。衆院解散の際に「石原新党」での国政復帰の可能性が取りざたされていることに関しては「私は民営化に賛成だから、解散されて小泉反対とはいかない。あとはご賢察ください」と語った。
 また石原知事は「国会の議論をわかりやすく、賛成派も反対派も国民に伝える必要がある。政局がらみで上っ面のことばかりだ」と批判した。
(引用終わり)

 次に、東京都のホームページで石原知事の定例記者会見の該当箇所を見てみましょう。

東京都ホームページ、石原知事定例記者会見録
http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/KAIKEN/TEXT/2005/050729.htm

(引用開始)
【記者】国会の方で、もうすぐ郵政民営化の法案が参議院で採決される見通しで、もし否決されると、即、解散総選挙になるんじゃないかという話もあって、その中で政界再編の動きとして、新党結成などという声も言われておりまして、まあこれはいつもの話でもありますが、知事が新党に参画するのではないかという声も、また最近いろいろ出ていますが、政界再編の見通しについてどうお考えになるかと、知事がそれについてどう参画するか、今の考えを聞かせてください。

【知事】私は基本的に民営化賛成なんですよ。ほかの国の例なんかを見てもね。ただ、一部の人たちが心配し反対しているように、諸君はご存じかどうか知らないけども、私が国会議員のころ、小沢一郎(衆議院議員)が幹事長のときに、私は絶対反対したんですが、アメリカが日本に経済構造協議っていうものを持ちかけてきた。これはGATTとか、そういった国際貿易を論ずる機関が、当然そこの場所で議論すべきことだけど、相手が日本なんで、ヨーロッパがそっぽ向いて勝手にやれということで、日本は押しつけられた。

 それで、非常に理不尽な二百数十項目の要求を突きつけられてね、我々それに反発して、私が主宰している勉強会で、日本側で百五十項目ぐらいのカウンタープロポーザル(逆提案)を出しましたが、それそのものが党議に、総務会に持ち出すつもりだったけど、かかることが嫌いで、小沢君は意識的に会期末だったけど、3回総務会を流してこれを葬ったけども、私たちはほかのところで、例えば英訳したものを外人記者クラブで発表したりして、当然ほかで記者会見もして伝わりました。

 あのとき、日経連の会長をしていた鈴木永二さんが「何でこんないいものをもっと早く発表しないんだ。怠慢だ」と言って、私、叱られたんですけどね、先輩なんで。言いわけをしたんですがね、「ああ、自民党もそんな体たらくになったか」という慨嘆(がいたん)を鈴木さんがされたけども。あのときから、日本は一方的に強いられて、小沢と金丸(故金丸信 元副総理)の裁断で、日本は皆さん、400兆のやらなくていい公共事業ってのを、金がダブってたかもしらんけど、8年間でやったの。

 合計430兆というめちゃくちゃな金を、浪費するために使ったんですよ。その影響がいまだに生きていて、アメリカは日本に年次改革要望書ってのを毎年送ってきてる。これには例えばアメリカの弁護士が参加して、日本の法律を弁護士がこう変えろとか、建築をこう変えろとかああ変えろとか、全部アメリカの都合でやる。そういう傾向ってものを国会議員、どれだけ知ってるか知らないけども、反発しないね。しかし、一部の人たちは陰でぼそぼそ、こんな形でいくと、簡保にしろ郵貯にしろ、国が持ってるもう1つのお財布が結局、民営化されると、日本の銀行が軒並みやられたみたいに、アメリカの膨大な金融力ってものに収奪されて、日本の金が日本の金じゃなくなるんじゃないか、そういう懸念はあり得るかもしれない。長銀なんかの例を見ても。

 まあ、そこまで竹中君(竹中平蔵 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)・郵政民営化担当)が考えて、アメリカの太鼓をたたいているとは思いませんがね。しかし、そういう憂慮をするような大きな背景があるってことをメディアの諸君も心得てもらいたいし、国民の皆さんも知っといた方がいい。アメリカは実に勝手なことをしています。勝手な事を要求してる。ほとんど日本はこれを聞いてきた。そして、やがて日本にウィンブルドン現象が起こるかもしれない。つまりウィンブルドンという華々しいテニスのコートで競い合ってるのは、全部外国人。提供しているのはイギリスということでね。

 そうならないように私も期待してるし、そういったものがどこまで国民の意識にとまって、仮に郵政の民営化云々の問題で選挙になったとしたときに、もうちょっと国会の議論というものをわかりやすく、賛成派も反対派も国民に伝える必要があるね。

 この島、この田舎には1軒しか郵便局がない。これは消えちゃうことはありませんよ。ニーズがあるんだったら残しますよ。要するに、合理的っていうのは、要るものまでつぶすということじゃないんだから。だから、そういう議論を国会が行わなくちゃいけないけど、何か知らないけど、政局絡みで上っ面のことばっかりで。青木(青木幹雄 自民党参議院会長)だとか片山(片山虎之助 自民党参議院幹事長)が参議院でどうこうああこうする、そんな本当に見えない部分の話ばっかり出てきてね。

 私はやっぱり非常に今の国政のあり方ってのは、運営そのものを含めて、それは片一方は強引にやるでしょう。自分のかねての懸案だから。それを承知でみんな総裁に担いだんだろうからね。その後どうなるか知らないけど、私は基本的に郵政の民営化は賛成ですから。それで解散されて、小泉反対というわけにはなかなかいかんでしょうな。

 あとはご賢察ください。
(引用終わり)

************************************

 小学生に対して「この石原会見の内容を原稿用紙一枚にまとめなさい」という宿題を出したら、決してあの朝日の記事のようにはまとめないでしょう。
 どうやら、朝日の記者は、石原会見の冒頭の一言を聞いた後、居眠りしてしまい、最後の一言の部分で、また目が覚めて記事をまとめたようです。
 あるいはこの記者は小学生以下の能力しかないか、あるいは情報操作をしたのかのいずれかです。この石原会見のまとめが、あの記事ということは信じられないことです。
 石原知事は、郵貯が米国に奪われる危険性を充分に知っていて、そのことを口を酸っぱくして指摘しているのに、記事では一言も触れられていないのです。
 読者の抗議を受けたらしく、朝日のホームページからあの記事は削除されました。しかし自己批判報道はありません。なんとも都合のよいことです。

 ブログなのであえて推測で書きますが、米国の干渉の恐ろしさを一番知っている石原氏が、民営化支持と言っているその心中は、小泉続投で日本がメチャクチャになるのを期待していて、絶望的な状況になったときこそ自分の出番と考えているのかも知れません。何とも無責任で、恐ろしいことです。

 日本のマスコミは未だに、米国から毎年日本に突きつけられる「年次改革要望書」に関して、まともに言及して報道したこともないようなのです。
 民主党の櫻井充議員が竹中氏に米国からの干渉について参院で質問しても、大手の新聞は一切取り上げなかったようです。
 あれほど造反派議員がテレビの前で口を酸っぱくして米国の干渉を非難しているのに、マスコミは一切、まともに取り上げて報道しようとしないのです。これがちゃんと公正に、そして客観的に報道されるだけで、小泉支持率など急落するでしょう。
 マスコミは、この民営化法案の背後にある米国の意図をひたすら隠蔽した上で、財投は悪だ、郵貯の資金を民間に流せ、だから民営化だ、と全く論理性のないイデオロギーをわめきたてているのです。

 私が、このブログで再三書いてきました通り、公社のままの方が資金を民間に流すことは可能になります。そして、未来に向けた創造的な産業政策が可能になります。社会の進歩のための、市民本位の資金運用が可能になります。いまのままの状態で民営化しても決して国内の製造業などには流れず、日本国債購入が減った分は、ただ米国債購入やウォール街へと流れるだけでしょう。マスコミ各社には、それがどうして日本経済を活性化させるのか説明して欲しいです。米国債など買っても戦争に使われるだけなのに。財投改革の必要性はもちろんですが、資金を米国に奪われてしまったら、もう日本は終わりなのです。
 
 私は、マスコミ各社にまだまだ良心的な記者の方々が沢山おられることを知っています。良心をもった記者の方々に訴えるしかありません。自社のデスク、上層部に抗議してください。自社の偏向報道に対して闘ってください。どこのマスコミも、特に経済部が完全にイカれてしまっています。米国の手先となったと言ってもよい状態です。偏狭な市場原理主義のアジテーターになっているのです。主張内容こそ異なれど、どこの過激派の機関紙かと思うような、論理もへったくれもないアジテーションに終始しているのです。
 社会部や国際部、科学環境部など他の部局の人々が、良心の声をあげて経済部の暴挙を抑えることを期待します。
 これはファシズムです。

 これで小泉が勝ってもそれは民意ではありません。マスコミがこれだけ露骨なキャンペーンを貼ったら、ふつうの人は「民営化に反対する自分はおかしいのではないか。周りから白い目で見られるのではないか」と怖くなって、「民営化賛成」と言ってしまうでしょう。
 これはファシズムです。
 
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10 コメント

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Unknown (たかし)
2005-08-13 23:04:36
>公社のままの方が資金を民間に流すことは可能になります



朝日新聞に対する批判はさておき、上記の部分は賛成です。むしろ公社化しない方ができたんでしょうね。
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Unknown ()
2005-08-13 23:53:23
 本当にありがとうございます。マスコミが、公社のまま民間に流す仕組みの可能性を一切報じないのも、まったくの情報操作だと思うのですが・・・。

 だいたい民間に資金需要が充分にない今の状態で民営化しても、融資先に困ってお手上げでしょうね。(ハゲタカの思う壺)。

 大手マスコミの経済部記者は、マクロ経済学の「マ」の字も勉強したことないのかと疑ってしまいます。実際、私の友人など、ケインズの「ケ」の字も勉強したことないのに、堂々と某大新聞の記者やってますから。本を読まない記者が多くてあきれ果てます。自宅の本棚に本が全くない記者っていますからね。



 今は、ポスト産業社会における新しい経済循環の駆動力としての環境産業を建設する時期だと思いますので、計画的な産業政策に基づいて、公社の資金を戦略的に融資せねばならないと思います。

 「郵貯は民業を圧迫するか」や「国営銀行はダメって本当?」など、他の記事も参考にして下さると嬉しく存じます。

 
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はじめまして (hata)
2005-08-23 14:30:49
森永先生のblogから飛んできました。

タイトルの件、同感です。



今回の衆院選が「郵政民営化」の賛否だけではないといいながらも、一番対称化させているのは他でもないマスコミであると。



今朝、みのもんたさんの番組をチラッとみて、

怒りさえ覚えました。



いい加減な情報を流すメディア、勘弁してほしいです。
返信する
今後ともよろしくお願いします ()
2005-08-23 16:22:03
 選挙まで時間が少ないですが、マスコミに騙されて小泉を支援している人々に対し、少しでも真実が伝わるよう、書いていきたいと思います。頑張りましょう。

返信する
Unknown (疑問)
2005-08-29 15:16:29
あの~



岡田代表 郵貯・簡保は民営化か廃止

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050829-00000008-san-pol



こちらはどう解説していただけるのでしょうか?

分かりにくくても結構なのでよろしくお願いします。
返信する
Unknown ()
2005-08-29 23:46:30
 そうなんです。私は今回の民主党の郵政改革案(郵貯の預金限度額引き下げ論)は全然支持していないんです。私のブログの政策提言(エコロジカル・ニューディール)に関しては、もちろんそんな内容をマニフェストに記載してある政党はないので、私は支持政党なしです。

 ただ、自民党案では、郵貯の資金の多くを米国に提供して、結局、ドルの暴落によって返済されなくなると考えますので、自民党案が最低・最悪のものと考えます。

 今回の選挙は、私にとっては「良いもの」に投票するのではなく、「最悪でないもの」に投票するという行動した取れません。



 郵貯の預金限度額引き下げは、民間資金需要が増大した段階であればやってよいと思います。ただ、資金需要がない今の段階ではダメだと思います。



 私のブログでは、日中韓の天然ガスパイプライン・ネットワークの構築とか、公立学校の屋上に太陽電池パネルを設置するとか、間伐材を利用して木質バイオマス・エネルギーを振興するとかいった公共投資プロジェクトを提起しています。天然ガスパイプラインなんか数兆円規模のプロジェクトですし、公立学校の太陽電池パネル計画でも数千億円必要でしょう。

 郵貯があれば、そういう公共投資が可能になります。そして、それを通して天然ガス自動車とか、民間住宅のソーラーハウス化といったいろいろな形での民間設備投資へと波及していきます。

 そうなると大きな民間資金需要が発生するのです。そうなれば、郵貯の預金限度額を引き下げてもよいことになります。

 民主党案では、民間の資金需要を伸ばすための確かな方策が弱いのに、いきなり預金限度額を引き下げるというのには無理があると思います。



 ただ、そうしたプランを考えてくれそうな柔軟性と発想力があるのは、新党「日本」かなと思って期待したりはしています。
返信する
郵貯廃止論に関して ()
2005-08-30 00:50:06
 それから、岡田代表が将来的に「郵貯の廃止」と本気で言ったとしたら、「何を考えているんだあのオッサン!」とあきれ果ててものが言えません。次の代表にもっとまともな人がなって欲しいと願うばかりです。

 

 郵貯が廃止されたら本当に大変なことになると思います。卑近な例でいえば、私は日本育英会の第一種奨学金というのを大学と大学院時代にずーっともらっていましたが、あんな制度は郵貯がなかれば絶対にあり得ません。

 民間の教育ローンなんて5%以上の金利をとりますが、郵貯があるから育英会の奨学金は貧困層には無利子で貸与されます。郵貯がなくなれば、貧乏人は大学になんか行けなくなるでしょうね。

 

 私なんかいまだに、学位をとっても定職なしの「フリーター研究者」ですから、奨学金の返済能力もなく、ちゃんと就職できるまで返済を猶予してもらっています。

 もし5%以上の利子をとる民間の教育ローンなんか借りていて、学位取ってもちゃんとした職もない、いまのような状態でしたら、今ごろ私は自殺に追い込まれているかも知れません。



 郵貯が民営化されたら、必ず自殺者は増えます。日本が、ロシアを抜いて世界最悪の自殺率という不名誉な国になってもよいと思う方は、どうぞ郵政民営化を支持していただきたく存じます。



 
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とても危険な感じがします。 (タケシ)
2005-09-03 02:12:54
私は、61歳・・特定の支持政党がある訳でもありませんが、今回の解散劇はとても危険な予感がします。正直、怖いです。しかも、マスコミ報道も、気のせいか小泉政権に大変好意的な気がします。何とかしなければ・・と思い、掲示板を覗いても、小泉擁護のオンパレードです。しかも文面から、若者の支持が多いようです。「カッコイイ!」「男らしい!」「勇気がある!」と外見からの判断が蔓延しています。小泉支持層は言葉も過激で、反対意見を「出て行け!」「死ね!」とか・・まるで小泉が乗り移ったかの如く粉弾しています。

外国では、ブログが政権を左右するそうですが、私たちには、1票だけの力しかないのでしょうか?

大きなうねりを作る方法があったら教えてください。

毎日、テレビで、「人が殺された」ニュースを見ますが、小泉政権と無縁ではない気がするのは、私だけでしょうか?もしかしたら、政治家の背中を見て、国民は育つのかも知れませんね。

私の考えでは、小泉政権が崩壊したら、自民党は政権から脱落すると思っています(残党は羊ばかりだから・・)でも、その後、再び小泉コールで自民党政権が復活でもしたら、よりパワーを増した独裁政権が誕生するのでは?の危惧も持っています。

私は、今度の選挙で「小泉政権にノー!」を突きつけないと大変なことになりそうで、怖さを感じています。

よいご意見があれば、教えてください。

返信する
Unknown (Unknown)
2005-09-04 13:48:54
小さい所に書きこむより大きなところの

2ちゃんねるに書き込む

http://www.2ch.net/



連中は、とっても強いですが多くの人が見てますから論破すれば、大きな力になるでしょう
返信する
本当にどうしたら良いのでしょう? ()
2005-09-05 07:56:51
タケシ様

 返信が遅れて申し訳ございませんでした。タケシ様の危機感を私も全く共有しています。しかし、恥ずかしながら、いまの事態に対してどうしたら良いのか、私も分からないという状況です。

 私にとって、本当によく分からないことは、非正社員、フリーターなど不安定な生活を余儀なくされ、「小泉改革の犠牲者」といえる人々の中に、小泉改革を支持している方が多いことなのです。



 大企業・中小企業・地方の建設業・農民などの支持を受ける自民党、労働組合と都市部の浮動層の支持を受ける民主党という構造が、全く当てはまらなくなっていることは確かなようです。

 

 かつてカール・マルクスは、ナポレオン3世の権力掌握過程を分析し、それを「ボナパルティズム」と呼びました。フランスの小農民や都市貧困層などは、全国的政治組織を持たず、自らの利害を代表してくれる政党がないという状況にありましたが、彼らのあいだに「ナポレオン3世は自らの利害を代表してくれるのだ」という幻想が生じ、それが広がって、旧来の階級対立の均衡の上に、独裁体制が生まれたというものでした。



 小泉政権も、絶望状況にある社会的弱者の声を支持基盤にしているという点で、そうしたボナパルティズム的な側面はあるだろうと思います。

 しかし、それでも不思議なのは、ナポレオン3世の場合は、自分を支持してくれた貧困層の生活水準を向上させようとする政治を行おうとしたと思いますが、小泉政権は全くするつもりもないし、今後もしないだろうということです。

 現代の社会的弱者たちにある心理というのは、自分たちと違って安定した雇用条件にある人々(官僚、公務員、労組に組織されている正社員など)に対する嫉妬があって、そうした人々の「特権」を剥奪しようとしているように見える小泉首相に拍手を送っているということかも知れません。

 しかし、実際に小泉のやっていることは、一部の大企業と米国金融資本などに利益配分をはかり、彼らの「特権」をさらに強化しようということなのですが、残念ながら気付かない人々は多いようです。

  
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