代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

温暖化対策をせねばならない四番目の理由

2009年06月02日 | 温暖化問題
 2008年10月16日の記事のコメント欄で以下のようなやり取りがありました。温暖化対策で貧困家庭はさらに困窮するという主張です。いまだに、こう信じておられる方が多いようです。そこで、以下のコメントに対する私の返信に加筆して新しいエントリーといたします。

***<いただいたコメントの引用(抜粋)>******

関さま (ワッショイ)    2009-05-30 21:28:12

CO2削減で、一般の家庭はかなりの金銭的負担を強いられるのは説明しなくてもおわかりになると思いますが、それに伴い貧困層は、ますます困窮を増し自殺者が、倍増する可能性が高い
温暖化で人が生きれなくなる前に、貧困で自殺なんてなったら本末転倒です

太陽工発電からの電力会社が電力を買い取り策も電力価格を押し上げます。
排出権取引でも日本の支払う額は1兆円とも言われています。
それも結局、国民資産から国外に流出する事になります。
それに、輪をかけて色々な原材料が高騰しています
そして、そのうち消費税増税もあります
年金で暮らしている方、生活保護で暮らしている方々は死ぬしかありません

***<引用終わり>**********


 CO2削減で自殺者が増加するという可能性は皆無です。CO2削減は雇用を増やし、所得を増やします。自殺者を増やすどころか、確実に自殺者を減らします。
 現在あるエネルギー資源の中で、石油はエネルギー密度がもっとも高いため、単位エネルギー生産あたりで必要とされる雇用量がもっとも少ないのです。アメリカでは、同じ額の投資に対して生まれる雇用量は、石油に比べて、太陽光や風力は4倍も多いと試産しています。つまり脱石油を進めれば進めるほど、雇用を増やして、有効需要を拡大することができるのです。

 また太陽光発電からの固定価格買取制度を導入することによって引き上げられる電気料金は、政府試算で、一般家庭で月平均260円程度だそうです。月260円で自殺に追い込まれる人なんて聞いたことがありません。

 石油の値段がちょっと上がれば、家計はたちまち月平均で数千円から1万円も余計な出費になりますが、それに比べれば微々たるものです。そのわずかばかりの出費で石油依存度を下げていけるなら安いものでしょう。資源価格が高騰しているからこそ、輸入石油に依存する必要のないよう自然エネルギーを振興する必要があるのです。
 
 また排出権取引に必要なお金は1兆円にもなりません。ひとつ桁が低いです。また排出権取引などしないでも済むようにこそ、日本国内で地道に自然エネルギーを振興せねばなりません。そうるれば、そんなお金を支払う必要もなくなるのです。
 
 エネルギーを輸入に依存し続ける限り、国民資産は海外に流出し続けるのです。自然エネルギーを振興すれば、国民資産はすべて国内に落ち、国内で雇用を生み出し、国内の所得になるのです。

 このまま資源枯渇によって石油価格が上がれば、物価は高騰する反面、新規雇用も生み出されないため、有効需要は増えず、スタグフレーションに帰結します。それに対して、雇用吸収力の高い自然エネルギーの振興は、それによって若干のエネルギー価格の上昇をもたらしたとしても、その負の効果を相殺してなお余りある雇用の増加によって有効需要が拡大し、逆に景気は活性化するのです。

 いま自然エネルギーの方が石油より割高だから家計を圧迫するみたいに言われますが、石油に依存し続けたら、いずれ資源枯渇によって石油の値段は現在の自然エネルギー価格よりさらに割高になります。家計からみたって長期的にはそっちの方が損でしょう。 
 
 私が思うに、石油消費を減らしてCO2排出を削減せねばならない理由は以下の四点です。

(1)気候変動の脅威を軽減するため。
(2)石油の枯渇によるピーク・オイルに備えるため。
(3)エネルギー安全保障と資源をめぐる戦争の防止のため。
(4)需給ギャップを解消して早く恐慌から脱却するため。

 地球温暖化懐疑論者の方々の中には、(1)や(2)の点に関しては、やれ陰謀だ、それ謀略だ、と思われる方も多いようです。しかし、(3)と(4)の点のみでも、CO2排出を削減しなければならないのに十分すぎる理由と思われます。懐疑論者の方々には、(3)と(4)のニ点をよく考えていただきたいと存じます。

 オバマ大統領は、自然エネルギー振興の理由として、(3)の点をとりわけ強調しているので、この重要性はよく認識されるようになってきました。
 しかし(4)の点に関しては、まだまだ一般的な認識は弱いようです。今朝の新聞でも紹介されていましたが、内閣府の発表によれば、日本の供給と需要のギャップは45兆円にまで拡大したそうです。この需給ギャップが存在する限り、不況のスパイラルは止まりません。

 サブプライム・ショック以降の世界経済は、基本的に総供給過剰の総需要不足の状態です。世界中の低賃金労働者と石油とが、「効率的」に生産していた過剰生産物を、借金をレバレッジで膨らませ、バブルを煽ってムリヤリに生み出していた超過需要によって吸収し続けていたのはアメリカでした。

 そのアメリカ経済が行き詰ったので、世界中で供給能力が過剰になってしまったのです。もはや日本および他の諸国の製造業は、これまでのような過剰供給を続けられません。それは不可能なのです。
 世界が供給過剰になっている原因は、低賃金もそうですが、他には石油のエネルギー密度が高すぎて効率がよすぎるので、人間の単位労働に対する供給力が過剰になりすぎてしまったという理由も大です。「効率的」なのは、新古典派の空想的世界ではよいこととされますが、現実の世界では需給ギャップを拡大させるので、良いことばかりではありません(ちなみに新古典派の教科書的モデルでは、需給ギャップは発生し得ないことになっているのです)。

 需給ギャップ解消の観点から必要なのが自然エネルギーです。世界的に石油から自然エネルギーへの転換が進めば、製品の製造は石油にやらせていたよりも「不効率化」します。その結果、製品の供給力を減らす一方で、雇用は増えて総需要は高まりますので、需給ギャップは解消されます。つまり供給と需要を均衡させることができるのです。

 麻生内閣の景気対策では、エコポイント制度などの導入で、何とか需要を増やそうとばかりしているのですが、それは間違いです。本当に力を入れるべきは、製造業部門で膨らみすぎた供給力の削減です。製造業部門の余剰労働力を、自然エネルギー部門などに配置転換することなのです。
 どんなに日本国民の消費を煽ったところで、アメリカで失われた超過需要を穴埋めすることなど到底不可能です。またエコポイントによる過剰消費を煽っても、ちっとも「エコ」じゃありません。

 今回の麻生内閣の補正予算の中で評価できるのは太陽光エネルギーの振興です。しかし、残念ながら太陽光ばかり「エコ」贔屓されていて、風力、マイクロ水力、地熱、木質バイオマス、さらにLRTなど公共交通には十分な予算が配分されていません。ですので、あの経済対策では、あまりCO2発生量・石油消費量を減らせそうもないし、需給ギャップも埋められそうにないのです。エコポイントなどよりも、太陽光以外の自然エネルギーに多くの予算を配分すべきなのです。
 
 石油資源の残存状況に照らしても、地球温暖化の深刻さに照らしても、失業と総需要不足の深刻さに照らしても、今後においてはエネルギー密度の低い自然エネルギーを敢えて使うように、政策的に誘導する必要があります。それが有効需要の観点から正しい政策なのです。

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31 コメント

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「エコ」ひいき (デルタ)
2009-06-03 21:02:21
>「エコ」ひいき
流行させたい言葉です(爆)
私のBlogでも、この観点から技術者視点で書いてみることにします。

エコひいきされている対象といいますと(私的見解)
・自動車業界
電動「自動車」。電動カートをベースに新しい概念の乗り物ができるならば異議深いけれど、今の自動車業界は内燃機関自動車をベースにして考えるから、効率も悪くなるし、デザイン的にもパッとしない。おまけに高価になって、新興国で普及しないだろう……これは、日経Tech-onで業界関係者がコラムで書いておられた見解です。

・太陽光発電偏重
これは、関さんと同意見です。
なぜひいきされるかは、プラントとしてもっとも多額の投資が必要になるからと思われます(それだけ裾野が広いといえばその通りかも知れないけど。蓄電システムなんて、本当に重電メーカーにとってオイシイプラントになるはずです)

・CO2貯蔵技術
ドイツで巨額をはたき技術開発されていますが、本稿に挙げてある(1)の理由にしか対処できていない、非効率な投資です。

いずれにしても、一見需給ギャップを埋めるように見え、設備投資が圧倒的に主となります(公共交通については、別項にコメントしますね)。
一時的なバブルを産み、あとに残るのが過剰な製造設備……となる可能性が非常に大きく、私は警戒しています(特に太陽光発電システム)
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エコひいきですかww (yatti)
2009-06-04 23:07:42
環境問題としての予算がたくさん使われるようですが、あまり良い政策とは思えませんね。
僕がもし本気で環境問題に取り組むとすれば極端に言うと鎖国ですね。
農産物や燃料にさらなる関税をかける。(まあまた勝手に上がってきますが)
消費税を上げる。
これで十分でしょう。
もちろん経済はぶっ壊れますがww
何かをやろうとお金をかける→結果燃料を使う。これの繰り返しだと思います。
誰かが言ってました。
一番のエコは何もやらないこと。
家で寝ているのが一番燃料を使わず、カロリーも使わない。
そして自給できるだけの作物を作る。
これが究極のエコだと思っています。
まあ行きすぎの案でしたが・・・

景気回復にお金を使う対策は必要かもしれませんが、その前に福祉・教育・医療・一次産業・年金にお金を使い、将来に不安をなくす政策が結果的に燃料を使わない雇用と経済安定をもたらすと思うのですがいかがでしょう。

ちなみに木質バイオマスもあまり良くないと思ってます。
効率もさることながら、山への窒素物還元まで考えるともったいない機がしますが素人の考えで申し訳ありませんがどうなんでしょうか?

ちなみに作物を使ったバイオマスはもちろん、稲藁や家畜糞尿、食品廃棄物、下水汚泥などのバイオマス産業には猛反対をさせていただきます。
それらはすべて畑に還元して有機物肥料とするべきです!
化学肥料は高騰をしていて、農業は古い時代に進化しなければいけません。
我が家では堆肥と下水汚泥、バーク(間伐材の木っ端)を混ぜて発酵させた有機肥料を使っています。
まだ実現できるとすればBDFくらいだと思います。
菜種油は輸入が99%ですので、菜種を播き廃棄油は軽油の代替に、絞りかすは肥料に、そして蜂箱を置けば高級蜂蜜の完成です。
我が家では2ha作付けしていますが、現在は花が満開でミツバチが大忙しです。
長文・駄文申し訳ありませんでした。
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デルタさま、yattiさま ()
2009-06-06 21:37:18
 デルタさま、建設的なコメントありがとうございました。「エコひいき」是非、流行らせましょう。
 
yattiさま、
 
 地域循環型社会への転換がもっともエコという点に同意です。でも、いきなり一足とびには難しいので、少しづつですね。第一歩として、農産物関税は重要だですね。
 農・林・水産物は貿易自由化の対象としてはいけないのだということを、人類は早く理解する必要があります。この点に関しては、日本のマスコミ世論が世界で一番ひどいと思います。

>ちなみに木質バイオマスもあまり良くないと思ってます。

 江戸時代は木質バイオマス(薪炭)でエネルギーの95%をまかなっていましたが、江戸後記には山の土壌は痩せつつも定常状態を維持していましたので、あの程度の利用は許容範囲なのでしょう。いまは江戸期に比べれば、全然使えていませんので、使える余地はもっと大きいと思います。
 
>それらはすべて畑に還元して有機物肥料とするべきです!

 家畜の糞尿のエネルギー利用と有機肥料は両立しますし、両立させた方が良いと思います。
 家畜の糞尿も生ゴミも人糞も、発酵させてメタンをとり出したあと、残った液体は窒素、リン、カリが濃縮した非常に優秀な液肥になります。
 バイオガス(主成分はメタン)をエネルギーとして使い、かつ、残りの有効成分を肥料に使うがもっとも循環的に良いと思います。
 
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ありがとうございました。 (kimera25)
2009-06-10 00:43:20
関先生
エントリィとは異なりますが
コメントありがとうございました。
感謝いたしております。
本当にありがとうございました。
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省エネ(省資源)が基本 (もえおじ)
2009-06-21 23:20:06
私は、CO2温暖化説には懐疑的ですが、化石燃料から自然エネルギーへの転換に関しては全面的に支持します。 
その理由は、

(1) 早かれ遅かれ枯渇する(特に、石油)
(2) 経済面や安全保障面の紛争の元になる
(3) NOx、SOx などによる大気汚染がある

当面の石油資源の減少分は、天然ガス(環境に与える負荷が少ない)へ移行することでまかなうことが可能です。 「陰謀」に関して言えば、原発推進の協力な根拠となっている点は否定できず、悩ましい問題です。

基本的には、太陽光、水力、風力、バイオマスその他すべての代替エネルギー開発を強力に推し進めるべきです。 当然、さまざまな省エネ技術の導入も必要です。( 私自身は常温超伝導送電・蓄電に期待しています。)
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お久しぶりです (バク)
2009-06-23 11:03:26
ご無沙汰してました
このところ忙しく、気持ちの余裕もなかったのでコメントを控えていました。
今も余裕がないのですが、少しコメントさせていただきます。
まず、前の記事にある米国債の購入論については理屈としては理解できますし、現実的な対応だとも思います。
しかし感情としては受け入れられません。それと気になるのは、最近長期金利が上がってきており、米国債を購入する力もあまりないのではないかという疑問もあります。米国債の購入を行うことは日本の冨を流出させることです。これは貧困層の拡大につながると思います。ただ、米国がデフォルトするような事態に陥ったらそれこそ大変なので、仕方ないと思いこむしか内のでしょうね。きっと…

私はCO2温暖化説には可能性として考えられるが、断定できないのではないかと考えています。従って昨今のCO2削減キャンペーンについても賛成しかねる気持ちがあります。関様の主張する(2),(3),(4)についてはもっともだと思います。マアジ分のライフスタイルを考えれば、反省しなければとも思います(汗)
私はCO2排出による温暖化防止を訴えるのではなく、資源を無駄に使わずに生活しよう。自然エネルギーの循後環をもっと重視しよう。というようなストレートな主張が大切だと思います。CO2温暖化説には何か押しつけエコの臭いがつきまとうのですが…
CO2温暖化説支持を除けば関様の主張は当然のことを訴えておられると思います。
私も批判の前に反省すべき点が多くあるのは確かです。
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追記 (バク)
2009-06-23 13:10:54
下記のサイトに各国のGNPの規模に合わせたマップが載っていました。日本は異常に大きすぎるような気がします。エネルギー消費もすごいのでしょうね。
でもその割には深刻な貧困問題があるのはやっぱり解せません。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4560.html
疑問はあってもCO2批判の前にこれを注目すべきでしょうね。
それと何よりも自分自身反省すべき点が多くあると思っています(^^;
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Unknown (続きの人間)
2009-06-26 06:23:44
ほぼ同感ですが、この1点だけは納得できません。

「(2)石油の枯渇によるピーク・オイルに備えるため。」

そもそも、石油になる原油の採掘可能埋蔵量は科学技術の進歩によって年々微増してます。原油は40年分、原油の代わりになる資源を含めると230年分と石油連盟は推測してます。
返信する
ちょっと感想を (迎 秀昌)
2009-07-07 10:28:17
石炭や石油を使い出して、猛烈に生産効率が上がって、労働人口の2とか3%の農業でも、先進国では飽食の生活水準までになった。
余った労働人口は、例えばTVのお笑い番組に出て、人々を喜ばせ多額の報酬を満喫できるようになった。

石油より低い効率の資源だけを使って、生活水準を落とさずにということになると、多分もっと技術進歩が必要でしょう。

石油は、車が事故による殺人やら惹き起こしている不経済を考えれば、割安に過ぎたわけだから、もっと税金をかけた方がいいのかもしれない。
その上で他のエネルギー資源との競合とすべきでしょう。
民主党が近々政権をとって、税金を減らすそうですが、どうかと思います。
もっとも税金とって道路作っているよりましなのでしょうか。

物価水準を縦軸に、GDPを横軸に総供給と総需要を考えてみると、単純に石油を税金で社会的に適正価格にアップすれば、総供給は上方にシフトし、物価高の低GDPつまり不況になります。
(過去の石油ショックで実際そうでした。)
それだけ現在は不健全な生活なのかもしれませんし、低GDPでも生活の質がよいという価値観の人には望ましいのではないでしょうか。

では今の不況が総需要の一時的な下方シフトだとしてデフレだとしましょう。このときアニメの殿堂の代わりに、エコ産業に補助金を出して雇用を増やし、総需要を上方にシフトさせるのは、賢い方向かもしれません。
ただしエコ産業の実態によりますが、補助金が途絶えたらアウトだとすれば、補助金という財政支出はいずれ増税なり将来負担しなければならないでしょう。
温暖化対策への寄与よりか、財政破綻への寄与の方が現実には大きいかもしれません。

また石油を適正価格にして、高物価・低GDPとなったときに、総需要をエコ産業・補助金・雇用増加で上方シフトすれば、インフレになってデフレを克服するでしょうか?金融緩和がようやく威力を発揮するかもしれない?
しかし金融詐欺で萎縮した欧米や借金財政の日本には、上のような単純なはなしはトホホなのだろうと思っています。

小生は一度も経済学を受講したことがないので、初歩の教科書によるたわごとと、笑って読み飛ばしてください。
失礼しました。
返信する
Unknown (ななし)
2009-08-21 13:41:17
全く無関係の話題で申し訳ないですが。

かつて米国政府のブレーンであったマイケル・ハドソン博士の警告

http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/column/1176091_629.html

「何世紀にもわたり世界は戦争によって形成されてきた。それにもかかわらず、戦争や暴力がいかに歴史を作り、世界の国境を書き換えてきたかという現実を子供たちに見せないように導くことは賢明な方法ではない。」

「このことからもわかるように、歴史の流れを決めてきたのは公正な取引きにおける合理的な計算などではない。経済的な権力は、武力や威嚇、詐欺、公然と行われた窃盗によって手中に収められてきたのである。」

「しかし、経済学者は、正当な価格は公正な市場均衡点で落ち着くと説明し、……世界が架空のしかも「おとぎ話」のようなすばらしい世界であるかのように、公正な市場がいかに機能するかという研究を続けている。」

「一方、世界が実際にどう機能しているかの研究はなされていない。」

「世界がどう機能しているかを知らずして、日本を含む正直な国家が、自分達の国を操作し、威嚇し、騙そうとする世界規模の略奪者から自国を守ることはできないだろう。したがって、軍事的征服者や弁護士、煽動政治家、腐敗した政治家や官僚、財界の詐欺師が、いかに歴史を作り上げてきたかを学ぶことから始める方が得策である。」

「現実を形成しているのは、武力や他の圧力、または窃盗や詐欺行為なのである。さらに重要なことは、国家の支配によって権力が確立されるということである。国家支配のためには、不都合な政治ライバルが暗殺されたり、誘拐されたりすることもあり、それに協力した仲間には報酬が支払われる。」

「公費を使い労せずして利益を得ることこそ、最も熟練した経済の勝者が行っていることの本質である。土地や独占権、その他の資産を実際の価値よりも安い価格で購入すること、しかも自分の存在を可能な限り隠してそれを行うことは、裕福になるための最も確実な方法である。」

「今日、学生たちが受ける経済教育は、世界が実際にどのように機能しているかを示す学術的な描写ではなく、特別利益団体を擁護するための粉飾的理論にすぎない。」

「したがって日本が行うべきことは、米国の大学に送る学生の数を減らし、将来の日本の政治家や官僚に、世界的ゲームという認識への妨げとなる「おとぎ話」を学ばせないことである。経済モデルの構築より、世界に対する穿った見方を含み史実を理解することが必要なのである。」

「(アメリカが日本や他の国々に対して)惜しげもなく無料で提供される助言は、結局、自らの利益に資するためのものである。この教訓を学ばない限り、日本は自国の運命を自分達で決められるようにはならないであろう。」
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