代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

西島和著『日本の堤防は、なぜ決壊してしまうのか?』(現代書館)

2020年09月08日 | 治水と緑のダム
 八ッ場ダム裁判などで活躍された弁護士の西島和さんが、このたびすばらしい著書を出版されました。本の帯では、「木枯らし紋次郎門」の中村敦夫さんが推薦文を載せています。
 この本は日本国民必読文献といって過言ではありません。「気候非常事態」の時代、日本列島に居住する人びとにとって、豪雨による水害や土砂災害の頻発化は、平穏な生活を脅かす最大リスクの一つです。
 なぜ堤防が決壊するのか? 多くの人びとは、国は懸命に堤防強化の対策をしているが、それを上回る規模の豪雨の増加が、その対策を凌駕してしまっていると考えているでしょう。
 本書は、その考えが誤りであることを綿密に論証しています。
 国交省は、効果が限られているダムとスーパー堤防に多額の予算を配分するために、実際にはもっと費用対効果の高い「決壊しにくい堤防」の整備を、故意に政策メニューから消してきたのです。本書は、その衝撃の事実を綿密な考証によって明らかにしています。いわば国の「未必の故意」として、各地で堤防決壊という最悪の被害を頻発させているのです。
 この事実を知り、声をあげ、国の政策を転換させない限り、本当にみんなの命が危ない。命を守るために必要な予算措置は、ダムでもスーパー堤防でもなく、既存の堤防の強化です。
  


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