季節を描く

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尾形光琳生誕350周年記念 大琳派展(東京国立博物館)

2008-10-17 00:08:23 | Weblog

 秋の上野公園の午後は快適。東京国立博物館の大琳派展を見に行く。

 伝俵屋宗達筆「槇楓図屏風」(1-64)は力強く大胆である。その約100年後、尾形光琳がこれを描きかえる:「槇楓図屏風」(2-13)。こちらは明るく軽快だった。

 宗達「風神雷神図屏風」も光琳が模写する(2-01)。光琳のものは明るい画面で見て愉快である。 

           尾形光琳筆 風神雷神図屏風

 本阿弥光悦「黒楽茶碗 銘 雨雲」(1-31)は緊張感がある。

                黒楽茶碗 銘雨雲

 俵屋宗達「唐獅子図・波に犀図杉戸」「白象図・唐獅子図杉戸」(1-45・46)は強烈。宗達は迫力がある。

                   白象図杉戸

 本阿弥光悦の蒔絵では「子日蒔絵棚」(ネノヒマキエダナ)(1-41)がモダンな感じでしゃれていた。 

 「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」(俵屋宗達下絵・本阿弥光悦筆1-03)の鶴はその配置が美しくまた動きがあり感動。

              鶴下絵三十六歌仙和歌巻

 また宗達のエネルギーが凝縮しているのが「伊勢物語図色紙・芥川」(伝俵屋宗達1-53)である。色彩が鋭く注意をひきつけられる。 

 尾形光琳筆「小袖 白綾地秋草模様」(2-33)はすばらしく見飽きることがない。

                小袖 白綾地秋草模様

 国宝「燕子花(カキツバタ)図屏風」(尾形光琳筆2-10)の燕子花の繰り返しが着物の柄の手法にもとづくとの指摘には納得がいく。

   

 「三十六歌仙図屏風」(尾形光琳筆2-04)は画面に多くの人物が配置されとても派手で光琳の性格がよく出ている。 尾形乾山筆「立葵図屏風」(2-57)はコンポジションを考え意匠化された表現が印象的である。乾山の焼き物はどれも好きである。「色絵吉野山図透彫反鉢」(2-48)、「色絵龍田川向付(ムコウヅケ)」(5客 2-49)などが展示されていた。

  “光琳意匠と光琳顕彰”のコーナーでは光琳死後10年位に流行し始める光琳模様の説明が面白かった。「小袖 染分紗綾地沢瀉水辺雲取り松模様」(3-02)の光琳松は見て楽しかった。永田友治(ナガタユウジ)の蒔絵はいずれも素晴らしい。「波千鳥蒔絵提重」(3-21)のデフォルメ化された千鳥が今も日本の伝統模様のひとつになっていることには驚きを感じた。

  光琳から約100年後、姫路藩主の弟であった酒井抱一が光琳の後継者と自負し活躍する。「夏秋草図屏風」(酒井抱一筆4-15)は素晴らしい作品で感銘。これはもとは風神雷神図の裏側に描かれたもので夏秋草が激しい雨と強風に揺れている。

           夏秋草図屏風

 「紅白梅図屏風」(酒井抱一筆4-16)は銀色の地が紅白梅を引き立たせ渋くてよい。「青面金剛(ショウメンコンゴウ)像」(酒井抱一筆4-03)は鋭く際立つ色彩が印象的。これは道教に由来する庚申待ちの本尊である。 

 抱一の35歳下の弟子、鈴木基一の作品では「東下(トウゲ)図」(4-50)が伊勢物語の在原業平をいわば神話化して描き琳派の伝統を強く感じさせる。「雨中桜花楓葉(オウカフウヨウ)図」(鈴木基一筆4-57)2幅は雨が季節を思い起こすように描かれ趣深い。

  “本阿弥光悦・俵屋宗達”“尾形光琳・乾山”“酒井抱一・鈴木基一”とたっぷり堪能して体力的にも相当に疲れた。館内から戸外に出れば夕刻に近づき少し寒いほど。上野の森の木々の影の濃さを遠景に見て上野駅まで歩く。


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