季節を描く

季節の中で感じたことを記録しておく

『ミュージカル おもひでぽろぽろ』劇団わらび座 (銀河劇場公演)2011.4.29

2011-04-29 21:05:14 | Weblog
 舞台は1982年の山形県。27歳の銀行員タエ子は自分の人生に迷っている。彼女は何かを探して姉の夫の実家、山形の高瀬へ10日間の旅をする。
 
 彼女の小学5年生のときの思い出がぽろぽろ、彼女に降りかかる。
 あべくんが別れの日、握手を拒否した思い出が彼女を苦しめていた。
 
 山形の紅花栽培が魅力的に描かれる。
 
 有機栽培が村の中で病害虫を広めると敵意の対象となる。閉鎖的な村の悪意と妨害。
 
 村と里山の景観は自然でなく、人工的なもので、いわば過去の思い出そのもの。タエ子が村の生活に惹かれる根拠のひとつ。
 
 村に住む精霊たち。村のアニミズムの雰囲気がタエ子を捉える。
 また村祭りの祭神は竜神。古い村の神。
 
 タエ子は有機栽培に取り組む親戚の青年トシオに好意を持つ。トシオも好意を持つ。
 
 おばあちゃんにも思い出がある。好きだった青年は戦死した。彼女にも思い出がぽろぽろ降る。

 最後の瞬間にタエ子は決断する。彼女は東京にもどるのをやめ山形の高瀬での生活を選び取る。
 
 経済合理性を前提として、化学肥料と農薬の農業から、生態学的に優しい農業への転換が可能か?この問題の解決が決定的である。

 朝海ひかるのタエ子がかわいい。
 杜けあきのおばあちゃんが元気で楽しかった。
            

“光と、闇と、レンブラント”展  2011.4.26 (国立西洋美術館)

2011-04-28 06:34:19 | Weblog
 レンブラント・ファン・レイン(1606-1669)は「光と影の魔術師」、「明暗の巨匠」と呼ばれたオランダの画家。
 
 「アトリエの画家」(1628年頃、油絵):レンブラント、22歳頃。初期の傑作。裏側しか見えないキャン大きなキャンバスが謎めく。
            

 「東洋風の衣装をまとう自画像」(1631-33年、油絵)は25歳のレンブラント。人気画家として自信にあふれる。陰影が印象深い
            

 「旗手(フローリス・ソープ)」(1654年、油絵):アムステルダム市警備隊の旗手。右頬に光が当たる。金色の肩帯がきらめく。光へのこだわり。

 「3本の木」(1643年、銅版画):憂鬱な雰囲気が漂う。前年、レンブラントの妻が死んだ。木を描くエッチングの線がすごい。
                              
 
 「貝殻」(1650年、銅版画):貝殻の模様が美しい。

 「ヤン・シックス」(1647年、銅版画)が描くのはアムステルダム市長。彼が窓辺に立って本を読む。背後の窓の明るさが際立つ。

 「病人たちを癒すキリスト(百グルデン版画)」(1648年頃、銅版画):普通の版画は半グルデンで買える。このレンブラントの版画は最高級品。キリストが優しく神々しい。
                            
 「音楽を奏でる人々」(1626年、油絵)はレンブラント、20歳の作品。色が光にまぶしく輝き鮮やか。あふれる才能が誇示される。主題は、世俗の楽しみのはかなさ。
            
 「書斎のミネルヴァ」(1635年、油絵):レンブラントの絶頂期の絵画。ミネルヴァは学芸の神。同時に彼女は戦いの神でもあり兜と甲冑が脇に置かれる。別名アテナ。
               

 「ヘンドリッキェ・ストッフェルス」(1652年頃):レンブラントのミューズであり事実上の妻の肖像画。前妻の死で相続した財産を失うことができないので、彼は正式に結婚できなかった。少し寂しそうに描かれる。
                  

 「3本の十字架」(1653年)はレンブラント版画の傑作中の傑作。キリストを照らし天から差し込む光が周囲の闇と対照的である。絵画に匹敵する版画をめざし版も大きい。



宝塚歌劇花組公演『愛のプレリュード/ル・パラディ』(東京宝塚劇場)2011.4.1 

2011-04-01 19:06:26 | Weblog
 劇の世界は永遠の世界。
 美やロマンが結晶している。
 俳優はもはや俳優ではなくフレディー、ジョセフ、バークレーその人。

 フレディーは男らしく心優しい。
 ジョセフがカネにこだわる理由はもっとも。
 キャシー・ローレンが純情そのもの。

 レヴュー、“ル・パラディ”は賑やか。
 踊りは踊る人を離れ、そこに踊りのイデアが存在する。

 永遠の中に住むことができる幸福。
 楽しかった。

 (宝塚歌劇を初めて見た者の感想!)