季節を描く

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“フェルディナント・ホドラー展” 国立西洋美術館(2014.12.07)

2014-12-07 20:48:12 | Weblog
 フェルディナント・ホドラー(1853-1918)は「死に憑りつかれた画家」である。
 しかし、彼はそれを乗り越える。死への行進である生の中に、彼は「良きリズム」=躍動感・生命感を見出す。
 リズムこそが、生きる喜び。死が、生に意味=喜びを与える。彼は、リズムを描く。パラレリズム。
 風景のうちにも、リズムを見出す。大自然の本質としてのリズムを描く。象徴主義。眼に映る世界の向こうに、それを作り上げる構造・原理を見る。

 「オイリュトミー」(1895年):老人たちの死への行進。死が、生に意味=喜びを与える。オイリュトミーは「良きリズム」の意。

 「感情Ⅲ」(1905年):「オイリュトミー」と対をなす。彼女たちは生の真っただ中を歩む。しかしこちらを向かない。感情は身振りを持つ。身振りが彼女らの心を指示する。身体化された感情。


 「シェーブルから見たレマン湖」(1905年):ホドラーは自然を抽象化する。象徴主義的にとらえられた自然。平衡する世界。


 「悦ばしき女」(1910年頃):踊る人の身体化された感情。それらの連鎖が生み出すリズム。しかもこの女性は、ホドラーが愛したヴァランティーヌ・ゴデ=ダレル。ミューズへの讃美が絵を永遠化する。


 「全員一致」(1912年):緊張した身体が生み出す「リズム」としての躍動感・生命感。


 「バラの中の死したヴァランティーヌ・ゴデ=ダレル」(1915年):愛する者の死を、画家は受け入れている。愛が死を包んでいる。バラは、彼の愛の象徴である。