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タイプスプロデュース第44回公演:W.シェークスピア『間違いの喜劇 』(両国・シアターχ カイ)2011.7.22

2011-07-23 08:37:56 | Weblog
               
 シラクサの商人イジーオンが、エフェソスへの不法侵入の罪で逮捕され死刑が宣告される。その場面から舞台が始まる。
 エフェソスの公爵が、罰金1000ダカットを払えば釈放すると言う。イジーオンにそんな大金はない。彼は死刑を待つ。

 さてイジーオンにはかつて双子の息子(名前は二人ともアンティフォラス)がおり、また当時、召使いにも双子の子供(名前は二人ともドローミオ)がいた。
 まだこれら双子たちが幼児だった時、航海中難破する。
 妻、双子の兄と召使の子供の兄が、行方不明。
 夫(父)イジーオン、双子の弟と召使の子供の弟は、シラクサで一緒に暮らす。

 やがて成長したシラクサの弟アンティフォラスは、成人した召使の弟ドローミオを連れ兄探しの旅に出る。
 二人はエフェソスに到着する。
 2人の後を追う旅の途中、父イジーオンが、エフェソスで逮捕された。

 実は、行方不明の双子の兄アンティフォラスはエフェソスの有力者になっていた。成人した召使の兄ドローミオはこの双子の兄に仕える。

 かくてエフェソスを舞台に、双子の兄アンティフォラスと召使の兄ドローミオと、双子の弟アンティフォラスと召使の弟ドローミオが入り乱れ、どたばた大事件が次々起こる。

 兄アンティフォラスの妻が、弟アンティフォラスを兄と間違え、屋敷に入れる。
 本当の夫である兄アンティフォラスが召使の兄ドローミオともども、屋敷に入れてもらえない。兄アンティフォラスは激怒する。

 金細工商人が兄と間違え、弟アンティフォラスに注文されていた高価な首飾りを渡す。
 首飾りを受け取っていない兄が代金を払わないので、金細工商人が兄アンティフォラスを告訴し逮捕させる。二人は牢屋に入れられる。

 兄アンティフォラスは妻に連絡し、妻は召使いドローミオに保釈金を渡すが、その召使は兄でなく弟だったが、それに気づかない。
 弟の召使いドローミオは、弟アンティフォラスに保釈金を渡す。

 弟アンティフォラスは、かくて高価な首飾りと大金の保釈金を、理由なく手に入れる。彼はエフェソスは魔法使いの豊かな街で何て旅人に親切なんだと、狐につままれた気分になるが、しかし喜ぶ。

 牢屋に入れられた兄アンティフォラスと召使の兄ドローミオが脱獄。
 彼らは追われる。
 ところが、今度は、弟アンティフォラスと召使の弟ドローミオが、兄たちと間違えられ追われることとなる。弟たちは尼僧院に逃げ込む。

 その時、脱獄した兄アンティフォラスと召使の兄ドローミオが発見される。
 そこにエフェソスの公爵と、刑場に引き立てられるシラクサの商人イジーオンが、現れる。

 兄アンティフォラスが公爵に事情を訴え、事実の糾明と公正な解決の裁定を求める。
 公爵の命令で、尼僧院から弟アンティフォラスと召使の弟ドローミオが連れてこられる。

 かくて双子の兄アンティフォラスと召使の兄ドローミオ(エフェソス)、双子の弟アンティフォラスと召使の弟ドローミオ(シラクサ)が、一堂に会する。

 兄アンティフォラスの妻、金細工商人、公爵、そして何よりも双子の主人アンティフォラス兄弟、双子の召使ドローミオが、驚く。
 双子の主人の父、シラクサの商人イジーオンがあらためて事情を説明する。

 さらに、その時、尼僧院長が、イジーオンの行方不明の妻であること、つまり双子の兄弟アンティフォラスの母であることが分かる。

 首飾り事件、保釈金事件は解決。
 そして兄アンティフォラスが自分の保釈金から、エフェソスの公爵に1000ダカットの罰金を払うと申し出る。しかし事情を知った公爵は罰金を免除する。

 一堂、めでたしめでたしである。

 見事な大団円。感動し涙が出る。
 事件の連鎖のドタバタが愉快。
 シェークスピアらしく言葉遊びも楽しめる。小田島雄志の翻訳が素晴らしい。

 初め全く知らないまま劇を見て、その展開を追う。
 ストーリーが入り組んでいて、頭がごちゃごちゃ。しかし、やがてわかってくる。
 最後は、複雑なやり取り全体を了解。

 楽しいドタバタ劇だった。