季節を描く

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「春日権現験記絵(カスガゴンゲンゲンキエ)-甦った鎌倉絵巻の名品(修復完成記念)」展(三の丸尚蔵館) 2018/10/10

2018-10-13 12:32:19 | Weblog
「春日権現験記絵」(1309年)は、藤原氏の氏神である春日神の霊験を大和絵で描いた鎌倉時代の絵巻物。藤原氏一門の西園寺公衡(キンヒラ)が制作を企て春日大社へ奉納した。絵は宮廷絵所預の高階隆兼が担当した。2004年から修復を開始し、2018年完了。日本を代表する絵巻の名品であるとともに、日本中世の信仰・風俗が細かく描かれ貴重な歴史的資料でもある。犬、兎、鶴等がかわいい。出来事・人物・情景・貴族の邸・生活・儀式等の描写が細かく丁寧だ。


巻第12第3段「恵珍夢事」東大寺東南院の僧・恵珍は、日課の春日詣中、春日社の一の鳥居前で牛車に乗った地蔵菩薩と出会った。(Cf. 春日権現は神仏習合の神であり、不空羂索観音・薬師如来・地蔵菩薩・十一面観音を本地仏とする。)

特別展「京都大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」東京国立博物館・平成館(2018/10/05)

2018-10-09 18:13:32 | Weblog
大報恩寺(千本釈迦堂)は鎌倉初期1227年創建の寺。本堂は応仁の乱にも焼けず創建時そのままのもので国宝。
◎快慶の弟子、行快作の「釈迦如来坐像」(重文)と快慶作の「十大弟子立像」(重文)が一堂に並ぶ。十大弟子の個性が分かる。知恵第一の舎利弗(シャリホツ)は釈迦より年長と言われ頭脳明晰。神通第一の目犍連(モクケンレン)は超能力を持つ。舎利弗とともに2大弟子とされる。頭陀第一の大迦葉(ダイカショウ)は清貧・修行の人。解空(ゲクウ)第一の須菩提(スボダイ)は空の真理を体得し何事にも執着しない。論義第一の迦旃延(カセンエン)は理論家で問答が得意。説法第一の富楼那(フルナ)はどのような人でも説得する。天眼(テンンゲン)第一の阿那律(アナリツ)は盲目になったが心の目で見通す。持律(ジリツ)第一の優波離(ウバリ)は戒律に忠実。密行第一の羅喉羅(ラゴラ)(ラーフラ)は釈迦の実子で修行に邁進した。多聞第一の阿難(アナン)(アーナンダ)は侍者を25年間つとめ一番多く釈迦の話を聞いた。


◎運慶の弟子筋の肥後定慶作「六観音菩薩像」(重文)
六道それぞれの衆生を救う。地獄道に聖(ショウ)観音、餓鬼道に千手観音、畜生道に馬頭観音、修羅道に十一面観音、人間道に准胝(ジュンテイ)観音、天道に如意輪観音である。