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舞台「真田十勇士」上川隆也主演(赤坂ACTシアター)2015/1/20 

2015-01-20 22:23:45 | Weblog
戦乱の世を終わらすために、豊臣家を根絶やしにする必要があるとの徳川家康の考えは、必然的。
武士は武功をあげ、それによって自分を高く売りこみ、仕官先を得るのが、戦国の習いとの主張も、正しい。

淀殿は敗者だから、悪く描かれるのは仕方ないことだろう。
豊臣秀頼は、ここで賢明な人物として描かれるが、これは史実に近い。

霧隠才蔵は、真田幸村の副将格。
猿飛佐助が浪人的存在であるのとは、対照的である。

三好清海入道は、昔ながらに直情的で愛すべきイメージ。

服部半蔵は、典型的に沈着かつ有能な伊賀忍者の頭目として、家康に服属。
伊賀女忍者ハナ・花風は、猿飛と相思相愛の恋に落ちる。

大坂冬の陣で敗れ、堀を埋められ二の丸・三の丸を取り壊された大坂城。
もはや真田幸村に勝利の可能性はない。

大坂夏の陣で猿飛佐助を残し、幸村と他の十勇士たちは家康の本陣に突撃し、全滅する。
彼らの死の意味が、劇では新たに空想された。

猿飛佐助は、豊臣秀吉の隠し子で、秀頼の異母兄。
夏の陣で、真田幸村らが奮戦する間に、佐助は、ハナ・花風とともに海外逃亡。

かくて豊臣の血脈は保たれ、約250年後、ペリーのサスケハナ号が徳川幕府をほろぼす。
猿飛佐助と伊賀忍者ハナ・花風の名にちなむ船名。

傾斜舞台上での戦闘シーンは迫真力があり、殺陣がすばらしい。
衣装が豪華で、舞台が絢爛。

ところどころコミカルな所作や台詞が、敗者の真田側の悲壮感を中和させる。
一瞬ポーズをつくって静止する歌舞伎の見得に似た所作が、幸村と十勇士全員で決まると、感動する。

スタンディング・オベーションがあり、壮観で充実した舞台だった。
真田席で見た甲斐があった。楽しかった。