季節を描く

季節の中で感じたことを記録しておく

“花と鳥の万華鏡―春草・御舟の花、栖鳳・松篁の鳥―” 山種美術館(2015.3.17)

2015-03-19 19:07:58 | Weblog
速水御舟「牡丹花(墨牡丹)」1934年:黒い牡丹が不思議。作者の死の前年の作品。


鈴木其一(キイツ)「四季花鳥図」19世紀(江戸時代):鈴木其一は江戸琳派、酒井抱一の一番弟子。金地の背景に花々が鮮やか。


上村松篁(ショウコウ)「白孔雀」1973年:作者は、孔雀の向こう側の超越の優雅さのようなものを描く。


速水御舟「翠苔緑芝(スイタイリョクシ)」1928年:色彩の緑の塊が、モダンに金地に配置されている。花の青色、赤色、猫の黒色、ウサギの白色がアクセント。


荒木十畝(ジュッポ)「四季花鳥」1917年:春夏秋冬の四幅が並び、色彩が壮観。春の赤色・白色、夏の青色・白色・橙色、秋の朱色・紫色、冬の白色・蒼色・赤色。




菱田春草、月四題のうち「春」1909-10年頃:月の光に透ける花が幻想的。


田能村直入「百花」1869年:百の花を描き図鑑に当たるが、花々の見事なアレンジメント。


竹内栖鳳「みゝづく」1933年:みゝづくが、かわいらしい。


速水御舟「百舌巣」1925年:二羽の百舌鳥の雛が精悍。


作者不詳「竹垣紅白梅椿図」17世紀(江戸時代):力強い。左隻は紅梅・白椿、
右隻は白梅・赤椿の対比。

“みちのくの仏像展” 東京国立博物館(2015.3.12)

2015-03-12 21:38:22 | Weblog
「聖観音菩薩立像(ショウカンノンボサツリュウゾウ)」(重文)平安時代11世紀、岩手・天台寺:一木造。1本の桂の木を彫ったもの。鉈彫り。ノミ跡が美しい。樹木に霊性を見る。


「薬師如来坐像」(重文)平安時代9世紀、宮城・双林寺:1本の欅から彫り出された像。孝謙天皇が病気となった時、原因が杉の大木の精霊が原因とわかり、この木を切り倒すと病気が治った。かくて、ここに寺を建てた。その寺の本尊。


「薬師如来坐像および両脇侍像」(国宝)平安時代9世紀、福島・勝常寺:両脇侍は日光菩薩・月光菩薩。3躯とも一木造。荘厳。徳一(トクイツ)上人(最澄・空海と交流)が都から仏師を招いて作らせたとも言われる。都の仏像と比較し遜色ない。


「十一面観音菩薩立像」(重文)鎌倉時代14世紀、宮城・給分浜観音堂:牡鹿(オジカ)半島・給分浜の高台に祀られる。高さ2.9mと大きい。下から見上げるためか、顔・上半身が大きく作られている。巨大なカヤの一木造。


「釈迦如来立像」円空作、江戸時代17世紀、青森・常楽寺:円空の初期の作品。2万点ある後期円空仏のような荒々しいノミ跡はない。表面が滑らか。ただ顔は微笑して、円空仏に共通。

“グエルチーノ展:よみがえるバロックの画家” 国立西洋美術館(2015.3.11)

2015-03-11 18:36:58 | Weblog
グエルチーノ(1591-1666年)はイタリア・バロック美術を代表する画家。ボローニャに近いチェントの出身。彼は師を持たず、絵を描く。最初の彼にとっての模範は、ルドヴィコ・カラッチだった。

 「聖母子と雀」(1615-16年頃):グエルチーノの初期の作品。柔和な聖母の指先にとまる雀は、将来のキリストの受難を示す。明暗の対比は、カラバッジョ派からの影響。


 「キリストから鍵を受け取る聖ペテロ」(1618年):金の鍵は天上の権威つまり教皇位を示す。銀の鍵は地上の権威を示す。ティツィアーノ、ヴェロネーゼなどのヴェネツィア派の影響をうけ、色彩が鮮やかになる。


 「聖イレネに介抱される聖セバスティニアヌス」(1619年):聖セバスティニアヌスは何本もの矢で射られる刑を受ける。矢の傷がペストの跡に似るので、聖イレネはペスト流行期に崇拝される。グエルチーノのグラン・マッキア(光の偉大な斑点)の典型例。


 「聖母被昇天」(1622年頃):本来は教会の天井画。聖母マリアは死後、神によって天に引き上げられる。


 「聖母のもとに現れる復活したキリスト」(1628-30年):バロックから、落ち着いた古典主義様式への過渡期の作品。衣(紫色、黄色、青色)が素晴らしい。

“ワシントン・ナショナル・ギャラリー展” 三菱一号館美術館(2014.3.01)

2015-03-01 18:45:18 | Weblog
 ワシントン・ナショナル・ギャラリー創設者アンドリュー・W・メロンの娘エイルサ・メロンが収集した印象派、ポスト印象派の作品68点が展示される。
 上質で上品な作品群!

 アルフレッド・シスレー「牧草地」1875年:1874年第1回印象派展翌年の作品。明るくのんびりし爽やかな牧草地が描かれる。画面の半分の空に雲がたくさん浮かぶ。


 ウジェーヌ・ブーダン「トゥルーヴィル=ドーヴィルのヨットハーバー」1895年頃:ヨットを飾る多数の万国旗が美しいが、それ以上に海面に写るそれらの多数・多色の像がゆらゆら揺れて輝く様子が見事に、半ば幻想的に美しく描かれる。大変、魅力的である。


 エドゥアール・マネ「競馬のレース」1875年頃:小品だが5頭の走る馬の描写が、勢いがあり素晴らしい。生きて走る馬がそこに現前するよう。


 アンリ・ド・トゥルーズ=ロートレック「カルメン・ゴーダン」1885年頃:ロートレックが最も美しく魅力あると称賛した女性の肖像。


 ピエール・ボナール「辻馬車」1895年:ボナールは“日本かぶれのナビ”と呼ばれた。浮世絵的な構図が見て取れる。ナビ派は印象派と異なり、「ある一定の秩序のもとに集められた色彩」(モーリス・ドニ)と絵画を定義する。


 エドゥアール・ヴュイヤール「黄色いカーテン」1893年:化粧のためカーテンを開けて化粧室に入ろうとする母親の後ろ姿。ナビ派が描く親密な小空間の典型。どこかほほえましい。


オディロン・ルドン「ブルターニュの海沿いの村」1880年頃:孤独な心を感じさせる静謐な作品。