季節を描く

季節の中で感じたことを記録しておく

“うらめしや~ 冥途のみやげ展” 東京芸術大学大学美術館(2015.9.2)

2015-09-04 08:07:39 | Weblog
 鰭崎英朋(ヒレザキエイホウ)「蚊帳の前の幽霊」(1906):三遊亭円朝作『牡丹灯籠』のお露を描いたと言われる。楚々として奥ゆかしい美人。手前の行灯が牡丹灯籠だとよかったと思う。

 上村松園「焔(ホノオ)」(1917):大臣の娘であり東宮妃であった美しい六条御息所を描く。自分自身が知らないうちに嫉妬心が生霊となり、源氏の正妻葵上や姫君たちを取り殺す。また死後も成仏できず、死霊として紫の上や源氏の愛人たちにとりつく。抑圧された自己の嫉妬心の浅ましさに、気位の高い六条御息所は自分を持て余す。




 伝円山応挙「幽霊図」江戸時代(18世紀):「足のない幽霊」を初めて描いたという円山応挙。 落語『応挙の幽霊』では、幽霊は明るく、お酒を骨董屋の主人と一緒に飲んだりする。この絵の幽霊も怖さより、美しさがまさる。