●能「蟻通」(ありどおし)シテ近藤乾之助
紀貫之(ワキ)が蟻通明神の前を馬で通りかかる。馬はその場に釘付けになり、進むことも退くことも、出来ない。
そこへ蟻通明神(シテ)が長柄の傘を指し、宮人の姿で現れる。宮人が、「馬を下りないから、明神の怒りを買ったのだ」と事情を説明。驚いた貫之が和歌を捧げ、その歌の徳によって明神の怒りを宥めた。
歌が持つ神秘な力。明神が、静かに穏やかに退出して行く様子に、感動する。
●狂言「寝音曲」(ねおんぎょく)シテ三宅右近
謡自慢の太郎冠者(シテ)の謡を聞きたいと、主人が所望する。冠者は勿体をつけた挙句、「主人の膝枕でないと声が出ない」などと言い、主人の膝を枕に、気持ちよく謡う。
ところが熱中し、起きて謡いだし、冠者の嘘がばれる。主人が怒って、逃げる冠者を追いかける。
初めから終わりまで、可笑しい。
●能「三山」(みつやま)シテ亀井保雄
その昔、香具山に住む男が、耳成山(ミミナシヤマ)の桂子(カツラコ)(シテ)を捨て、畝傍山(ウネビヤマ)の桜子(ツレ)のもとにだけ、通うようになる。桂子は、嫉妬のあまり池に身を投げて、死ぬ。
良忍上人(1132没)(ワキ)が大和に入り、念仏を広めていると、桂子の霊が現れ、「成仏させてほしい」と良忍上人に言う。
しかし嫉妬に狂う桂子の霊が、桜子の霊に、襲い掛かる。緑の桂の枝と、桜の枝の打ち合いが、艶かしい。怒りのカタルシス作用によって桂子の霊が成仏する。
妖艶さが満ちる。
●能「善知鳥」(うとう)シテ金森秀祥
善知鳥(うとう)は鳩ほどの大きさの鳥。
旅僧(ワキ)が、立山で老人(前シテ)に会う。老人は、自分は死者(幽霊)だが、形見を、陸奥に住む妻子に届けてほしいと頼む。老人は、元猟師で、鳥獣を殺す生業だった。
旅僧が陸奥で、妻子に会った時、猟師の亡霊(後シテ)が現れる。
殺生をした罪で猟師は、地獄に堕ちた。殺された善知鳥(うとう)が、地獄では怪鳥となり、鉄の嘴、銅の爪で、猟師の肉をむしり、眼を抉る。亡霊が、その苦しみを語り、演じる。
そのまま、凄惨な幕切れとなる。
紀貫之(ワキ)が蟻通明神の前を馬で通りかかる。馬はその場に釘付けになり、進むことも退くことも、出来ない。
そこへ蟻通明神(シテ)が長柄の傘を指し、宮人の姿で現れる。宮人が、「馬を下りないから、明神の怒りを買ったのだ」と事情を説明。驚いた貫之が和歌を捧げ、その歌の徳によって明神の怒りを宥めた。
歌が持つ神秘な力。明神が、静かに穏やかに退出して行く様子に、感動する。
●狂言「寝音曲」(ねおんぎょく)シテ三宅右近
謡自慢の太郎冠者(シテ)の謡を聞きたいと、主人が所望する。冠者は勿体をつけた挙句、「主人の膝枕でないと声が出ない」などと言い、主人の膝を枕に、気持ちよく謡う。
ところが熱中し、起きて謡いだし、冠者の嘘がばれる。主人が怒って、逃げる冠者を追いかける。
初めから終わりまで、可笑しい。
●能「三山」(みつやま)シテ亀井保雄
その昔、香具山に住む男が、耳成山(ミミナシヤマ)の桂子(カツラコ)(シテ)を捨て、畝傍山(ウネビヤマ)の桜子(ツレ)のもとにだけ、通うようになる。桂子は、嫉妬のあまり池に身を投げて、死ぬ。
良忍上人(1132没)(ワキ)が大和に入り、念仏を広めていると、桂子の霊が現れ、「成仏させてほしい」と良忍上人に言う。
しかし嫉妬に狂う桂子の霊が、桜子の霊に、襲い掛かる。緑の桂の枝と、桜の枝の打ち合いが、艶かしい。怒りのカタルシス作用によって桂子の霊が成仏する。
妖艶さが満ちる。
●能「善知鳥」(うとう)シテ金森秀祥
善知鳥(うとう)は鳩ほどの大きさの鳥。
旅僧(ワキ)が、立山で老人(前シテ)に会う。老人は、自分は死者(幽霊)だが、形見を、陸奥に住む妻子に届けてほしいと頼む。老人は、元猟師で、鳥獣を殺す生業だった。
旅僧が陸奥で、妻子に会った時、猟師の亡霊(後シテ)が現れる。
殺生をした罪で猟師は、地獄に堕ちた。殺された善知鳥(うとう)が、地獄では怪鳥となり、鉄の嘴、銅の爪で、猟師の肉をむしり、眼を抉る。亡霊が、その苦しみを語り、演じる。
そのまま、凄惨な幕切れとなる。