季節を描く

季節の中で感じたことを記録しておく

「英国の夢 ラファエル前派」展 、Bunkamura ザ・ミュージアム(2015/12/25)

2015-12-27 11:44:16 | Weblog
 1847年、イギリス、ヴィクトリア朝期、「ラファエル前派Pre-Raphaelite Brotherhood 」が、ロセッティ、ハント、ミレイにより結成された。反アカデミズム、したがって「ラファエロ以前に戻る」と標ぼう。「自然に忠実に」が標語。
 反時代的に、古代神話、ダンテ、ボッカッチョ、また中世のアーサー王伝説などに題材をとる。もちろん彼らも現実の苦悩、愛、希望に生きる。この断層が、繊細優美な唯美主義、謎めく象徴主義を生んだ。「表現の美しさが現実の欲望を旧(ふる)い主題のなかに生きさせた」。(木島俊介氏)

 ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「シビラ・パルミフェラ」(1865-70):玉座に座るヤシの葉を持つ巫女。ヤシは美の勝利を表わす。左側に愛のクピドと薔薇、右側に死のポピーと頭蓋骨。蝶は魂の象徴。


 「ラファエル前派」第二世代と言えるのが、バーン=ジョーンズ、ウォーターハウスである。
 エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ「スポンサ・デ・リバノ(レバノンの花嫁)」(1891):旧約聖書の「雅歌」が主題。花嫁の脇に純潔を表す白ユリ。空中に擬人化された北風と南風。(ボッティチェリ「ビーナスの誕生」に似る。)花嫁は愛の不安を暗示するかのよう。


 ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 「エコーとナルキッソス」(1903):ギリシャ神話の美少年ナルキッソスと妖精エコーの物語。
 エコーは、ゼウスのため、ヘラの監視を逃れる手伝いをし、ヘラの怒りを買う。エコーは、相手が最後に言った言葉を繰り返すことしかできないように、されてしまう。
 そのエコーが、ナルキッソスに恋をする。彼女は、自分の愛を伝えようとするが、まともに話ができず、手ひどくふられる。ショックを受けたエコーは、洞窟に閉じこもり、最後には声だけとなる。
 復讐の女神ネメシスは、ナルキッソスがエコーの愛を踏みにじったことに怒り、彼が自分しか愛せないよう呪いをかける。ナルキッソスは、泉に写る自分自身に恋い焦がれて死に、水仙となる。
 水辺の草花にラファエル前派流のウォーターハウスの精確な自然描写が見られる。

「始皇帝と大兵馬俑」展 、東京国立博物館(2015/12/17)

2015-12-18 11:46:20 | Weblog
「玉胸飾り」西周時代(前10~前9世紀):孤形や動物形の玉と、瑪瑙の管や珠の胸飾り。西周王朝で王侯が身につけたもの。春秋時代の秦は、西周の青銅器や玉器にあこがれ、その多くを取り入れた。青白色の玉と赤い瑪瑙の対比が美しい。


「玉剣・金剣鞘」春秋時代(前8~前7世紀):玉製の短剣と金製の鞘。芮という秦に隣接した国のもの。青銅製で同形の短剣と金器が、秦と北方草原の墓で出土する。


「両詔権」秦時代(前3世紀):始皇帝は、天下統一後、度量衡統一を行った。権は重量の規準となる重り。青銅製のこの権は、始皇帝の詔勅と二世皇帝の詔勅が刻まれ、両詔権と呼ばれる。


兵馬俑は、始皇帝の一つの軍団を写したもの。そのため、将軍、歩兵、騎兵など様々の将兵からなる。
「将軍俑」秦時代(前3世紀)秦始皇帝陵1号兵馬俑坑出土: 湾曲した冠と丈の長い、房飾り付きの鎧を身につける。組んだ両手の下には、剣を立てていたという説がある。


「歩兵俑」秦時代(前3世紀)秦始皇帝陵1号兵馬俑坑出土:軽装備の戦士。髷を高々と結い上げ、髭をたくわえた戦士。上着を革帯で留める。歩きやすいよう丈の短いズボンに脚絆を着用。当初は右手に弩弓を持っていたと推測される。