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“バーン=ジョーンズ展 ― 装飾と象徴 ―”2012.8.5 (三菱一号館美術館)

2012-08-08 19:45:47 | Weblog
 「マーリンとニムエ」(1861年):アーサー王物語の一場面。アーサー王の補佐の魔法使いマーリンが、「湖の麗人」ニムエに心を奪われ破滅する。二人の不吉な最初の出会い。
          
 
 「慈悲深き騎士」(1863年):仇を許した騎士グアルベルトを、キリストが讃える。野の花々が妖しく美しい。
                    

 「泉の傍らに眠るプシュケを見つけるクピド―連作『クピドとプシュケ』(パレス・グリーン壁画)―」(1872-1881年):プシュケは愛の女神ヴィーナス(ウェヌス)の妬みを買うほど美しい乙女だった。ウェヌスの息子、クピドがプシュケに恋をする。
                    

 「闘い:龍を退治する聖ゲオルギウス―連作『聖ゲオルギウス』(全7作品中の第6)」(1866年):王女サブラが龍から救出される。
               

 「果たされた運命:大蛇を退治するペルセウス―連作『ペルセウス』」(1882年頃):ペルセウスは救出したエチオピアの王女アンドロメダを妻とする。その子ペルセウスがペルシャの祖となる。ペルシャとはペルセウスの国の意。
          

 「ペレウスの饗宴」(1872-1881年):トロイ戦争の発端となった饗宴。招待されなかった不和の女神エリスが、最も美しい女神へ捧げられるべき黄金のリンゴを投げ込む。その様子が描かれる。左からヴィーナス(ウェヌス)、アテナ、ユノー(ヘラ)の3女神が争う。

 「ピグマリオンと彫像―《心抑えて》」(1878年):彫刻家ピグマリオンは
自分が作った彫像に恋をする。愛の女神が彫像に生命を吹き込み、彫刻家は彼女と結婚する。(「マイ・フェア・レディ」物語の原型)
          

 「眠り姫―連作『いばら姫』」(1872-1874年頃):祝宴に呼ばれなかった妖精がうらんで王国全体に100年の眠りの呪いをかけた。(「眠れる森の美女」の話)
       

 「聖杯堂の前で見る騎士ランスロットの夢」(1896年):アーサー王の妻との不義密通ゆえに、聖杯を得ずに去るランスロット。
     

 エドワード・バーン=ジョーンズ原画/モリス商会制作「東方の三博士の礼拝」(1864年、原画1890年):素晴らしい。タペストリーにもかかわらず、表情、着物のひだ、花々などが精緻。
     

 ラファエロ前派と密接な関係を持つエドワード・バーン=ジョーンズ(1833-1898)の精神世界が広がる。彼は、この世でない理想世界に生きる。ロマンチシズム。トマス・マロリー『アーサー王の死』(1470年)が彼のロマンチシズムの最初の導きとなる。