季節を描く

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“特別展 茶の湯の銘碗「高麗茶碗」”三井記念美術館:桃山時代以後、唐物茶碗に替わって流行!

2019-10-21 09:41:26 | Weblog
朝鮮半島における日常使いの器・高麗茶碗。日本では侘茶に適った茶碗として桃山時代以後、唐物茶碗に替わって流行。江戸時代になると日本向けの新しい高麗茶碗がつくり出された。和物茶碗と趣が異なり素朴さ・大らかさ持つ。高麗茶碗は大きく分けて3種類ある。①朝鮮半島で日常品として焼かれた器が茶の湯のために見立てられた茶碗、②日本向けに焼かれた茶の湯の茶碗、③「御本(ゴホン)」と呼ばれ対馬藩の贈答品として釜山の倭館内で焼かれた茶碗。③-2半使(ハンス)(朝鮮の役官、通辞)が日本に来た時、持参した半使茶碗。

《重文》粉引(コヒキ)茶碗 三好(ミヨシ)粉引

『通崎睦美 木琴リサイタル』2019/10/11(王子ホール):木琴の素晴らしい演奏!弦楽四重奏団との共演もよかった!トークが上手で楽しかった!

2019-10-12 18:55:49 | Weblog
木琴奏者、通崎睦美(ツウザキ ムツミ)(1967-)が、弦楽四重奏団クァルテット・エクセルシオと共演。通崎氏は木琴の巨匠・平岡養一(1907-1981)から譲り受けた銘器で演奏する。通崎氏は『木琴デイズ――平岡養一「天衣無縫の音楽人生」』(2013年)で、第36回サントリー学芸賞(社会・風俗部門)を受賞。著書は、戦前の日本の木琴奏者平岡養一(1907-1981)を描く。平岡氏は、戦前、22歳で当時「木琴王国」のアメリカに渡り、ほとんど独学で木琴を学んだ。やがてニューヨークの朝のラジオ番組に出演、それが人気で10年以上も続き「全米の少年少女は平岡の木琴で目を覚ます」とまで言われた。しかし太平洋戦争の勃発で、平岡は敵国人として日本への帰国を余儀なくされた。なお1977年、10歳の通崎さんが、70歳の平岡氏と「チャールダシュ」を合奏している。
《感想1》木琴のコンサートは初めてだった。素晴らしかった。クァルテット・エクセルシオとの共演もよかった。1曲だけ行った小さな昔ながらの木琴の演奏が、魅力的だった。盛りだくさんのコンサート!
《感想2》トークが上手で、わかりやすく楽しかった。
《感想3》通崎氏は、著書も優れ、着物もおしゃれ、アートのセンスも秀でて、多彩な方とお見受けしました。

セザンヌ「キューピッドの石膏像のある静物」は不思議な絵だ! 『コートールド美術館展 魅惑の印象派』東京都美術館(2019/10/02)

2019-10-06 08:10:25 | Weblog
ロンドンにあるコートールド美術館のコレクションの展示だ。

セザンヌ「キューピッドの石膏像のある静物」(1894頃)は不思議な絵だ。
(1)
空間が歪んでいる。空間のゆがみと錯綜。①キューピッドの向う側の板が床に対し垂直なはずなのに傾いている。②床が平らでなく変形している。③左下で、床、キューピッドを乗せたテーブル、暗色のクロースの位置関係が極めて曖昧だ。床なのか、大きな台なのか、区別がつかない。キューピッドを乗せたテーブル面と床面が同一にも見える。④暗色のクロースは宙に浮いている。⑤右上部の床上の果物が遠くにあるのに大きい。しかも傾いた床を重力でころがってきそうだ。
(2)
床、立板、手前の台の直線に対し、キューピッド、果物、クロースは曲線だ。直線と曲線の対比。その対比が、歪んだ空間によって強調される。
(3)
画面右上は、しゃがんだ人間(男or女)の彫刻が台の上に載っているのか、あるいは彫刻を描いた絵なのか、判然としない。
(4)
動きのない静物と対比させられて、キューピッドの石膏像(またしゃがんだ人間の彫刻)のバロック風の動きが、強調される。