季節を描く

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“ヴァロットン展 ―冷たい炎の画家” 三菱一号館美術館(2014.9.18)

2014-09-19 20:41:29 | Weblog
フェリックス・ヴァロットン(1865-1925)はスイス生まれの画家。パリに移り活躍。

「肘掛椅子に座る裸婦」(1897年、32歳):ナビ派の影響下にある。浮世絵に似た平面的構成。赤と緑の対照の中、裸婦が厳然と存在する。静けさ。


「ボール」(1899年、34歳):母親たちが遠くにいる。女の子が無心に、転がるボールを追う。不安が漂う。明るい土の地面と、樹の暗い影。異なる位置から撮られた二枚の写真から合成。


「赤い絨毯に横たわる裸婦」(1909年、44歳):冷たいエロティシズム。女性が美人でない。


「竜を退治するペルセウス」(1910年、45歳):アンドロメダが若い女性でなく、可憐でない。ペルセウスが英雄らしくなく、野卑である。


「赤ピーマン」(1915年、50歳):第1次大戦中。ナイフにつく赤い色が、血のように不吉である。


「海からあがって」(1924年、59歳):疑似肖像画。描かれるのは匿名の女性。内面はどうでもよい。花瓶も人も、同じように外面だけ描く。