季節を描く

季節の中で感じたことを記録しておく

『安田靫彦展』東京国立近代美術館(2016/04/28)

2016-04-29 10:20:50 | Weblog
「守屋大連」(愛媛県美術館)1908年(24歳):安田靫彦(1884-1978)の初期の作品。極めてリアル。飛鳥時代、仏教の受容をめぐり、排仏派の物部守屋と崇仏派の蘇我馬子の争いがあった。587年、両者の戦いで守屋が殺される。ここでは戦い前、守屋の怒りと激烈な闘志が、描かれている。


「飛鳥の春の額田王」(滋賀県立近代美術館)1964年(80歳):額田王は、大海人皇子(弟)に嫁し十市皇女を産むが、他方で、兄の中大兄皇子(後の天智天皇)にも寵愛される。額田王は、飛鳥で、大海人皇子と中大兄皇子の両者から、愛されていた。(※なお天智天皇の近江宮は667-672年。天智天皇の死後、その子の大友皇子を、672年、壬申の乱で大海人皇子が倒し、天武天皇となる。都は、飛鳥へもどる。)

『明治座 四月花形歌舞伎』「芦屋道満大内鑑」「葛の葉」「末広がり」「女殺油地獄」(2016/04/19)

2016-04-19 19:26:18 | Weblog


「芦屋道満大内鑑(アシヤドウマンオオウチカガミ)葛の葉(クズノハ)」(女房葛の葉・葛の葉姫 中村七之助)
 安部保名に一命を助けられた白狐は、保名の許嫁の葛の葉姫に化け、保名と所帯をもち、一子をもうける。(この子が、晴明。)しかし本物の葛の葉姫が現れたことにより、子を保名に托し、狐の葛の葉は去る。障子に「恋しくば尋ねきてみよ和泉なる信田の森の恨み葛の葉」という別れの歌を残す。悲しい話。子を両手に抱き、口に筆をくわえ、歌を書く葛の葉があわれ。畜生のためか、左手に筆を持って書いたときは、裏文字。

狂言「末広がり」(太郎冠者 中村勘九郎、万商人 中村国生、分限者宝斉 片岡亀蔵)
 祝言を挙げる娘福子のお祝いに、分限者宝斉より末広がり(扇子)を買い求めるよう命じられた太郎冠者。ところが、末広がりが何か分からない。都へ赴いた太郎冠者は、万(ヨロズ)商人の口車に乗せられ、末広がりの代わりに傘を、売りつけられてしまう。さらに福子へのお土産として毬を買う。傘と毬を持ち帰った太郎冠者が、主人宝斉を説得する様子が、面白い。踊りが楽しい。

近松門左衛門作「女殺油地獄(オンナゴロシアブラノジゴク)」(河内屋与兵衛 尾上菊之助、お吉 中村七之助)
 大店河内屋の息子与兵衛は、放蕩三昧で借金に追われる。今日も喧嘩のはずみで、侍に無礼を働く。そして与兵衛は、継父の徳兵衛や妹おかちにも、手をあげる。見かねた母おさわが、与兵衛を勘当し追い出す。その晩、借金の返済に困った与兵衛は、同業の油屋の女房お吉を頼ろうと、店を訪れる。どんなに頭を下げても金を貸さないお吉を、与兵衛が殺し金を奪う。刹那的に生きるチンピラ風青年の自己中心的殺人。