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『享保毒婦伝 霞のお千代』(駒塚由衣口演、藤浦敦作)吉原中江別館金村:人殺しが法で裁かれ、また安全な社会では、好き放題に人を殺せる虚構世界が痛快だ!

2018-09-29 11:43:54 | Weblog
(1)
霞のお千代は、次々と人を殺す。悪人も善人も見境がない。平然と人を殺す。邪魔になると分かれば、手っ取り早く殺す。究極の自己中心主義。殺しの手口もプロだ。彼女は殺人技術を習わないから、生まれつきの殺人マシーンだ。またお千代は筋力も抜群。3人で5000両を盗み、やすやすと運ぶ。(1両約18g、5000両90kg!)さらに、お千代の周囲の人物たちも平気で次々人を殺す。
(2)
かくてこの作品が設定するのは、仏教の畜生道の世界だ。
(3)
だが実のところ、今の人間界も法的規制がなければ畜生道だ。嫌な時代だ。嫌な人間たちだ。人間は滅びた方がいい。存在理由がない。人間に守るべき価値があるのか?そして、この作品の世界観はニヒリズムだ。
(3)
現実の社会では、殺人が刑法で裁かれる。また日本は安全な社会と言われる。安全な社会では、好き放題に人を殺せる虚構世界が痛快だ。