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“ベルリン国立美術館展:学べるヨーロッパの美術の400年”2012.7.4 (国立西洋美術館)

2012-07-05 21:27:23 | Weblog
  Ⅰ 15世紀(1400年代):宗教の時代
 ティルマン・リーメンシュナイダー「龍を退治する聖ゲオルギウス」(1490年頃)は菩提樹の彫刻。精緻。龍は異教徒(=イスラム教徒)、聖ゲオルギウスはキリスト教徒。十字軍の時代に好まれた主題。龍の顔がサタンになっている。
          

  Ⅱ 15-16世紀:肖像画
 14世紀(1300年代)から15世紀(1400年代)前半まではイタリアの商人・銀行家がヨーロッパ経済を支配。その後、16世紀(1500年代)になるとドイツ、フランドルが重要となる。
 ルーカス・クラーナハ(父)の工房「マルティン・ルターの肖像」(1533年頃)はこの時代の作品。
          

  Ⅲ 16世紀:マニエリスム
 ルネサンスからバロックへの移行期がマニエリスムの時代。長く延びた手足、身体、ねじれ・回転を含む動き、ポーズの様式。
 マニエリスムはイタリアで生まれ、フランス、フランドル、ドイツへと伝播。
 ルーカス・クラーナハ(父)「ルクレティア」(1533年)はドイツのマニエリスムの作品。ルクレティアは紀元前6世紀のローマの女性。王の息子に犯されたルクレティアは夫に復讐を依頼し、自害。夫が復讐を成就し、ローマが王政から共和制に移行する契機となる。
                

  Ⅳ 17世紀(1600年代):絵画の黄金時代
 バロックは「ゆがんだ真珠」の意味。ルネサンスの調和と清謐に対立。躍動的、明暗対比、感情的表現。絶対王政、カトリック改革と深く関連する。
 イタリアのカラヴァッジョ、オランダのレンブラント、フランドルのルーベンス、スペインのベラスケスなど。
 レンブラント派「黄金の兜の男」(1650-1655年頃)は光が効果的に描かれる。悲惨な30年戦争の時代。
        

 フェルメール「真珠の首飾りの少女」(1662-1665年頃)もバロックの時代に属する。
     

  Ⅴ 18世紀(1700年代)
 ルイ15世(位1715-1774)のロココ、ヴィンケルマンの新古典主義(1750・60年代)、シュトルム・ウント・ドランク(理性に対する感情の優位)の時代(1767-1785)を経てロマン主義(18 世紀末から 19 世紀前半)へ。
 ジャン=バティスト=シメオン・シャルダン「死んだ雉と獲物袋」(1760年)がロココ風に寓意をしのばせる。撃ちとられた雉は快楽と誇りの象徴。