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「奇想の系譜展: 江戸絵画ミラクルワールド」東京都美術館(2019/03/12)

2019-03-15 12:24:10 | Weblog
美術史家・辻惟雄氏の『奇想の系譜』(1970 )に基づく岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪、歌川国芳に、白隠慧鶴、鈴木其一を加え8人の代表作を展示する。
「執念のドラマ」岩佐又兵衛(1578-1650):戦国時代の血の匂いがする。
「狩野派きっての知性派」狩野山雪(1590-1651):狩野山楽の婿養子で後継者。
「奇想の起爆剤」白隠慧鶴(1685-1768):臨済宗中興の祖。民衆への布教のためで禅の教えを表した絵を数多く描いた。
「幻想の博物誌」伊藤若冲(1716-1800):京・錦小路の青物問屋「枡屋」の主人。40歳で隠居し絵を描くことに専念した。
「醒めたグロテスク」曽我蕭白(1730-1781):江戸時代の画史においてすでに「異端」「狂気」の画家と位置付けられていた。
「京のエンターテイナー」長沢芦雪(1754-179):円山応挙の高弟。串本無量寺に串本応挙芦雪館がある。芦雪の降雪狗児図(コウセツクジズ)の犬がかわいい。
「江戸琳派の鬼才」鈴木其一(1796-1858):江戸琳派の祖・酒井抱一の弟子・後継者。
「幕末浮世絵七変化」歌川国芳(1797-1861):江戸時代末期を代表する浮世絵師の一人。

「奥村土牛(1889-1990)」展(山種美術館):「絵を通して伝わってくるのは作者の人間性」(土牛)

2019-03-10 20:28:47 | Weblog
(1)
山種美術館の創立者・山﨑種二は、「絵は人柄である」という信念のもと、画家と直接関わり合うなかで作品を蒐集した。特に土牛とは親しく、まだ無名だった時期から交流を続け、135点の土牛コレクションを持つ。
(2)
土牛は、画家志望の父親のもとで10代から絵画に親しみ、梶田半古(カジタハンコ)(1870-1917)の画塾で生涯の師と仰ぐ小林古径(コバヤシコケイ)(1883-1957)に出会う。38歳で院展初入選。40代半ばから名声を高め、101歳におよぶ生涯において、晩年まで制作に取り組んだ。土牛は写生や画品を重視する姿勢を生涯貫き、「絵を通して伝わってくるのは作者の人間性」という自らの言葉を体現する作品を数多く生み出した。
(3)
土牛という雅号は、中国・唐の詩句「土牛石田を耕す」に由来する。その名を糧に、土牛は地道に画業へ専心した。80歳を過ぎて「死ぬまで初心を忘れず、拙くとも生きた絵が描きたい」と語り、100歳を超えても絵筆をとり続けた。


奥村土牛《舞妓》(1954)