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『11月歌舞伎公演「坂崎出羽守(さかざきでわのかみ)」「沓掛時次郎(くつかけときじろう)」』国立劇場(2017/11/22)

2017-11-24 10:26:22 | Weblog
「坂崎出羽守」:1921年初演、山本有三作。〈新歌舞伎〉の名作。
坂崎出羽守(宇喜多直盛)は、関ヶ原の戦いで東軍に与し、その功績により津和野3万石(のち大坂の陣の功により加増4万石)を与えられた。1615年大坂夏の陣の際に、家康孫娘で豊臣秀頼正室の千姫を大坂城から救出した。家康は「救出した者に千姫を嫁がせる」と約束していた。この後、千姫の扱いを巡り、直盛と幕府は対立、最終的に千姫を奪おうとする事件を起こした。この計画は幕府に露見し、幕府方は坂崎の屋敷を包囲。直盛は、柳生宗矩の諫言に感じ入り自害する。
《感想》 
坂崎出羽守は、愚直だ。家臣も困るだろう。「無骨一辺倒だった男の恋心と屈辱」!
しかし津和野藩政では、側溝からの蚊の発生に備え、鯉の養殖を創始したり、紙の原料のコウゾの植樹を奨励するなど、功績が大きい。



「沓掛時次郎」:長谷川伸作、1928年発表、新国劇で上演。1934年より新歌舞伎のレパートリーとなる。
一宿一飯の渡世の義理から、博徒の沓掛時次郎は、何の恨みもない三蔵を斬ってしまう。彼は、末期の三蔵に気っ風の良さを見込まれ、その妻子の世話を頼まれる。時次郎は、約束を守り、三蔵の女房おきぬと子供の太郎吉を連れ、やくざの足を洗う。おきぬの三味線に、自分は追分節を唄い、門付けをして歩く。やがて臨月近いおきぬのため、彼は一度誓った堅気の世界から、一日だけ元のバクチ打ちに戻り、けんかの助っ人で金を稼ぐ。しかしおきぬは、出産で赤ん坊とともに亡くなる。太郎吉を連れ、時次郎は故郷沓掛をめざす。
《感想》
「人生の裏街道を歩く男の真心と哀愁」!