後ろ歩きの不思議おじさん

あっちこっちにポケットを一杯もった不思議なおじさんの特技は後ろ向き歩き。その右往左往振りは滑稽で、ちょっぴりもの悲しい。

匂い

2008年09月25日 | Weblog
やっと直射日光の刺すような光が和らいで
薄くなった頭皮をちくちくと焦がすように痛みも無くなってきた

夏の間は後ろ歩きどころか
歩くこと自体が苦痛だった
おかげてA1Cも下がらない

曼珠沙華が枯れる頃になって
やっと一日2往復=4km余りの徒歩通勤を始めたが
いやいや脚力と気力が衰えている

民家の角を曲がると
生まれて間もない黒牛の子供がいた
人懐っこい!

人間には五感がある
外界の情報を個体が受け止めるシステムだ
人間の脳が重要視しているのは間違いなく視覚だろう
もちろん触覚もベースとしてある
味覚もかなり衰えては来ているもののまだ健在の内か??
しかし化学調味料、タンバク加水分解物などのうまみ剤に慣らされ
これはかなりぐらついている

ウサギさんは聴覚を頼りにしている
人間は、聞くことについてかなり鈍感だろう
だから携帯のアラーム機能や目覚ましなどの音は
けたたましいことこの上ない
枯草を踏みしめるかすかな虎の音を捉える
ウサギの緊張感には及びもつかない

さらなひどいのが嗅覚ではなかろうか
匂いで脳を刺激されるのは
大概は悪臭の場合である

藤沢周平は、女性を匂いで表した
ずっこい手法である
嗅覚は、恐らくは触覚の次に生まれ出た感覚だと思う
人間の嗅覚は犬の一〇〇〇〇分の1と言われる
犬からは「それでも鼻があるんかぁ」と笑われそうだ

子供のころに慣れ親しんだ臭いは懐かしい
刈ったばかりの稲、糠漬けの漬物、瑞々しいキュウリや茄子
ほうれん草の香り、人参の甘い匂い、親父のタバコ臭い服…
数えあげれば多様な香は海馬を通って大脳に格納されている

牛の甘酸っぱい糞の匂いは心が休まる
鶏の糞は刺激がない
山羊の糞は不思議おじさんには乳の匂いに重なる
豚は小さい頃にいなかったので、苦手な部類だ

歩き通勤をはじめて
この小さな黒牛と友達になった

次郎丸(ホウレンソウ)を蒔いた
葉が広がるから面積当たりの収量が少なくなる
市場に出回っている西洋ほうれん草は
縦に葉が立つから好んで栽培される
金になるからだ

茎の甘い、日本独特の品種を育てる
一種の贅沢である
金など無くても、心に満ちる充実感は作れる
ついでに紅菜苔も蒔いた
素人が作りやすい中国原産野菜だ

「日本らしい食事」に使う野菜は?と
意地悪く質問して困らせて喜んでいる
「スキヤキに使う野菜は?」などと誘導質問する
白菜などは、日本ではほんの100年の歴史である。
本当は江戸末期に入ってきたが、夏に作って失敗
日清戦争に駆り出された農民が農法とともに持ち帰り
今では昔からあったような顔をして店頭に並んでいる

中国の食品が悪いわけではしない
日本の食料自給率を40%にまでした
貿易経済優先主義が招いた当然の結果なのだ

それでも仕事でMA米や
メラミン混入牛乳問題の潔白性を証明するのは
仕方ないとはいえ、なぜか腹の立つ業務ではある


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