後ろ歩きの不思議おじさん

あっちこっちにポケットを一杯もった不思議なおじさんの特技は後ろ向き歩き。その右往左往振りは滑稽で、ちょっぴりもの悲しい。

白楽天に寄り沿う

2015年03月24日 | Weblog

いきなりの漢詩である
高校時代は授業を通して随分親しんだものだ
ところがそれ以降は疎遠になっていた

ある契機から岩波新書の「白楽天」を探し求めた
現在販売されているのは河合氏によるもの
「白楽天-官と隠のはざまで」である
不思議おじさんが求めたかったのは片山哲氏の著書
「大衆詩人 白楽天」である
結局 隣の堺市のの図書館で借りた
この書には郭沫若氏が長文の推薦の序を寄せている
(郭沫若学会を日本で立ち上げられたのは
 我が大先輩の岩佐先生である)

片山さんは不思議おじさんがまだ赤ちゃんだったころの首相
初代日本社会党の党首で首相となったが
GHQ管理下でもあり、社会主義を理想的に実践しようとして
現実と理想のはざまで失脚した
つい先日の民主党政権の先駆けみたいなものか

陶淵明にならう16篇の12番目の詩むから
片山氏は次の4行を抜き出して
まえがきで「まことに愉快だ」と紹介している

愛酒不愛名  酒を愛して名を愛さず
憂寒不憂寒  醒むるを憂えて寒さを憂えず

人間榮興利  人間社会の栄と利
擺落如泥塵  そんなものは払い落しても平気である

我が家の庭も賑やかになってきた

深紅の椿が物思いに耽って首を擡げている

白の椿は誇らしげに天を向いている
しかし間もなく茶褐色に衰え花は地に落ちる

幸及身健日  幸いにもまだ体は健康だ
當歌一樽前  まさにお酒一樽を前にして
何必待人勸  なんで必ずしも人の勧めを待つことがあろうか
持此自爲歓  これをもって(酒を飲むことで)自ら喜びとなそう

これは自堕落と言えば自堕落
達観と言えば達観
ところが白楽天は酒は弱かったようである
字句のままに受け取ると 危うい


海棠桜も間もなく咲きそうだ
江戸時代は特に愛でられた花のようだ


サクランボの下を日々草が敷きつめるように生えている
青い花が密かに庭に宝石を散らす


クリスマスローズの右横には黄色のイトスイセン
素晴らしい香りを放つ


自慢のナニワノイバラも花をつけ始めた

今年の春は早い

白楽天の詩は尽きること無く続く
時の政治を風刺し 
戦争に駆り立てられる人々に寄り沿う
重税にあえぐ人たちや
戦争に夫を盗られた女性の心をうたい
世間 世事から離れた悠々自適の心境まで
迷い迷いながら生きてきた様がうかがえる

「大衆詩人」なのかどうかには異論があるが
共感する(共感したい)詩が多彩に埋め込まれている

共感して自らを慰めるという行為には
拒否感を持ちつつではあるが…