後ろ歩きの不思議おじさん

あっちこっちにポケットを一杯もった不思議なおじさんの特技は後ろ向き歩き。その右往左往振りは滑稽で、ちょっぴりもの悲しい。

ラジオ

2011年03月22日 | Weblog
N先生がS先生から貰われたと言うTwitter集のコピーを頂いた
「人間、捨てたもんじゃない!」というメッセージが溢れている
涙で声を詰まらせたNHKアナウンサーの話が出ている
天声人語でも触れられていたが、こんなアナウンサーが複数居たのだろうか

不思議おじさんが聞いたのは夜の10時過ぎのラジオ番組だった
ある鄙びた漁村の被災状況を伝えようとしたとき
過去に訪ねた記憶が彼の脳裏に押し寄せたのだろうか
「美味しい魚が獲れて、みんな慎ましく暮らしていて
 旅の人間にも優しくて、こんな目に逢わなければならないなんて…
 そんなことを何一つしていないような方々が暮らしていた村でしたのに…」
絶句して、ラジオは暫く無言のまま時が流れた。
「すみません。取り乱してしまいました。
 ちゃんとお伝えいたします。」
気を取り直して、まだ鼻声のアナウンサーは
被災状況の続きを読み始めた

テレビ報道を見ることに疲れ
風邪気味だったこともあり
ラジオを聴く機会が増えた

増田明美さんの1時間の講演
ユーモアたっぷりの軽快な話しぶりもさすがだったが
自己否定の中から立ち上がってきた彼女の逞しさが
今の優しさの原点であることがよく分った
良くない結果を周囲のせいにして
自己の正しさを主張することに専心した若き日の増田さん
だからこそ、周囲の批判・非難の目に耐えられずにアメリカへ
自己否定の地獄を潜り抜け、周囲の支えに感謝の念を覚え始め
人間として再びスタートラインにつくために走った大阪マラソンで
大阪城に入った27km地点で「増田!お前の時代は終わったんだ!」と
大阪のオッちゃんに大声で言われ
もう堪らなくて地下鉄に乗って誰もいない所へ逃れようと歩いた話
そんな彼女を励ました多くの市民ランナー
その後の永六輔さんとの交流などを通して
彼女は、自分の間違いを素直に受け容れられる人間に…
一時間はあっという間に過ぎた。

作家の林望さん(M先生に聞けばリンボーさんと愛称されているらしい)
幕末から明示に掛けて活躍した英国の外交官のアーネスト・サトウの話
サトウのことは、ずっと以前に朝日新聞に連載されていたので読んでいたが
かれが5万冊にも及ぶ本を日本で買い集めて
その全てを結果的には英国の大学に寄贈するいきさつについての話だった
リンボーさんのよどみの無い語り口の裏に
アーネスト・サトウへの敬愛がにじみ出ていた

そして昨夜は、五木寛之と加藤登紀子
共通点は朝鮮及び満州からの引き揚げ者であること
故郷喪失者 デラシネ
あるいは二つのアイデンティティを重ね持つ人

上手く書けないが
NHKの担当者達から
被災者へのメッセージが凝縮している

テレビ報道の何百倍も深く
何日も反芻できる 聞き応えのある中身
ラジオ好きの不思議おじさんである