以下、簡単のために一部に比喩をつかって説明するから、厳密ではない。
事態が核心に近づくほど、
文献にあたらねばならないことが増大し、
すると芋づる式に読む本が増える。
他の本も読まねばならぬし、どーにもこーにも動きがとれない。
「学ぼう!」シリーズは、しばし中断する。
しかし諸君は、すでに重要な概念は学んでいるのであり、
「遮蔽」が判っていれば、測定も被曝も判るように書いてあるから、
あとは各自、専門のヒトの書いたものでも読解できよう。
みなの奮闘努力を期待してやまない。
※熱力学がおもしろくなっちゃったのよね。
ごめんごめん。
カンタンに補足だけすると
(つっても意外にある。また過去の学習が生かされていることがわかる)
いくぞーー! 以下、総まとめだ。
・GM管式測定機は

GM管(ガイガー管とも呼ばれる)は、金属製の深い鍋の底の中央から、中心電極が一本突っ立ったカッコをしている。
中心電極にはプラス、鍋形の「容器」様の金属にはマイナスの比較的高い電圧をかける。
通常少なくともβ線は透過するフタをしてあり、内部には「ガス」を充填してある。
すると管内部には、
電気力線の場ができている。
(プラスの電極をアノード、マイナスの電極をカソードと呼ぶ)
今、フタを透過したβ線は、電気力線の場でとらえられ(遮蔽/吸収され)、アノード,カソード間に小さな電流を流す。
(
β線は「電子」だからね)
1個のβ線で、1回の電流が流れる。(α線でもおk。ヘリウム原子核だからプラスの電荷をもっているからだ)
この信号を増幅して、たとえばメータを振らせると「放射線」の「数」がわかる。
もちろんデジタル表示してもおk。
(信号を増幅し、音として聞けば「がりがり」という、「○○マン」でおなじみの「あの音」になるわけだ)
γ線の場合は(電荷がないからそのままはムリなので)、
外周を構成するカソードの金属にγ線があたると、その金属の原子がγ線にたたかれた結果、
その原子からβ線1個が(つーより電子が1個だな。金属は自由電子をいぱーい持ってるから。別に「放射化」したわけではないよ)、でたらめな方向に出るのだが、
うまい具合に電気力線の場に入ったものだけがとらえられカウントできる。
γ線のみを測りたい時には、先の「フタ」の上に、更に「金属製のフタ」を重ねてかぶせればよい。
ここのくふうがミソであり、独逸人ガイガーさんと弟子のミュラーさんの大発明である。
(だから、基本はβ線の測定器なのだね。テレビ等で見る、人体表面のスクリーニングをしているときには、フタを開けてβ線を拾っているのだ。懐中電灯みたいなの当ててるでしょ。あれ、カラダの表面についた放射性物質から出るβ線を測ってるの。内部被曝量じゃあないよ)
GM管式の欠点は、放射線の数しかわからないことと、感度が低いこと(特にγ線で。理由は上記のとおり)。
高線量だと誤差が小さくなる。
おおむね0.1μSv/h以上が、ハンディー機の測定範囲。
それ以下はBG(ノイズ・雑音つってもいい)に埋もれる。
※ハンディー機では、フタをなくしてしまい、全体をカソードにした管状のものが使われる。

写真右の小指ほどのものがGM管だ。
この例では、カソードを薄い金属で作ってあるから、β線も少しだけ透過して測れる。
γ線のみを測るときには、金属で裏打ちされた、今右のほうに開いているフタを閉める。
と、全体が厚い金属で覆われることになり、β線は遮蔽され、結局γ線のみを測ることができる。
・シンチレーション式測定機は

(写真右)
ガラスみたいな「ある物質」に放射線が入る(遮蔽/吸収する)と蛍光がおこり、これを光電子増倍管とかフォトダイオードで電気信号にするものだ。
この蛍光をシンチレーション光と呼ぶ。
感度も高いし、「放射線の数」だけでなしに、「放射線のエネルギー」も測れる。
一般にγ線のみを測れるものが多い。
ハンディー機でも0.001μSv/hまで測れたりするのだが、比較的価格が高いし、高線量は苦手。
ハンディー機では、どちらも食品はムリ。
(もし測れたら、ゼッタイ喰うなよ。詳細後述)
・身体が放射線を遮蔽することを被曝という。
外から主に皮膚に来るのが外部被曝。
呼吸とか、水/食べ物から体内にはいるのが内部被曝。
内部被曝の場合、極少量でも距離が近いから被害が大きい。
また体内に残留するから始末がワルイ。
同じ所を重点的にヤラレルから、治すのが追いつかないのだな。
ベクれったのを喰うなよ、みんな。
(できれば「測られて、且つ安全値(ざんてー何とかにアラズ)のもの」を喰うこと。測っていないのが一番いけない。チェルノでもこれでやられたのだ)
・食い物等のベクレルを測るには
たとえばミキサーにかけてぐちゃぐちゃにし、できれば水分を飛ばしたのち
「ゲルマニューム半導体式」という高感度の検査機にかける。
そのとき、当然に周辺からの放射を遮蔽するため分厚い鉛の遮蔽壁に検体を入れ、センサー部を液体窒素で冷却して熱雑音を抑え、およそ1時間半くらいは時間をかけて測る。
それほどにベクレルは小さいのだ。
ひっくり返せば、内部被曝の恐ろしさがわかるだろう。
・人体の内部被曝を測るには
ホールボディーカウンタなる機械があるのだが、目安にはなるが正確な被曝量はよくわからない。
前記食い物の測定のように、ミキサーにかけるわけでもないし、水分も飛ばせないし。
すると、「体内にある放射性物質」が出す「放射線」のうち「仕事をしなかったγ線」のみが体外で測定できるリクツだ。
「遮蔽」の原理を思い出してくれ。
α線/β線は「透過性」が低い=内部被曝では影響が大きい(体内で仕事を集中的にしきるから)ので、体外には出られない、つまり身体で「遮蔽」される。
一方γ線は「透過性が高い」=「身体で遮蔽されにくい」=「内部被曝で相対的には影響が小さい」から、そのγ線のいわば「残り」を測るのが、ホールボディーカウンタということになる。
わかったかな。
以上、かけあしで説明したが、
こんなとこを、ちゃんと且つカンタンに説明しようと意図すると、
いかんせん本質が難しいことなので、紙幅が足りない。
概算で書籍一冊分必要なのだ。
じゃあ気が向いたら、またじっくりはじめるからね。
いったん、
さらばーあさらば。