母方の祖父は、長野の奥鹿教湯(おくかけゆ)温泉病院に入院していた。
年に2、3度見舞いに行くのだ。
高速の無い時代には、日帰りの限界距離だったろう。
奥鹿教湯ってくらいだから、周りは山である。
おじいさんがやっている小さな食堂が一軒だけある。
見舞い客はそこでメシを食うしかないのだ。
値段は、意外や東京並に高めだが、けっこうウマイ。
カツ丼、ラーメンが好きだったな。
秋晴れの日に見舞いにいった。
祖父母(祖母も付き添いでいる)に会うのも楽しみだけど、
おじいさんの食堂でのメシも期待大なのだね。
今回はラーメンにする。
おれと妹はラーメン、父はカツ丼、母は親子丼。
カツ丼が先にキタ。
旨そうだ。
おれのラーメンもキタ。
上に見慣れぬものがのっている。
長さ15センチ、直径3センチくらいの、これはキノコだなあ、どう見ても。
3つに縦割りにしてある。
キノコラーメンってのは注文していないんだが?
両親が「あっ」と叫んだ。
「おまえ、それマツタケだよ」
マツタケという結構なものが世の中にあるということは聞いたことがあるが、
お姿を拝見したことが無かったので、わからなかったのだ。
当時でも大変高価であり、この大きさだと1本ウン千円とかしたと思うよ。
緊張感が走る。
両親が一気に後悔している。
マツタケラーメンが数百円ならば、迷わず4つ注文しただろう。
なんでも付近の山で大量に採れるのだとかで、
段ボール箱3つにマツタケがぎっしり入っていた。
あるところには、あるのだ。
んで、これがおれのマツタケデビューだったのだよ。
味ですか。
マツタケとラーメンの汁は、テイストが合いませんです。
生だしな。
年に2、3度見舞いに行くのだ。
高速の無い時代には、日帰りの限界距離だったろう。
奥鹿教湯ってくらいだから、周りは山である。
おじいさんがやっている小さな食堂が一軒だけある。
見舞い客はそこでメシを食うしかないのだ。
値段は、意外や東京並に高めだが、けっこうウマイ。
カツ丼、ラーメンが好きだったな。
秋晴れの日に見舞いにいった。
祖父母(祖母も付き添いでいる)に会うのも楽しみだけど、
おじいさんの食堂でのメシも期待大なのだね。
今回はラーメンにする。
おれと妹はラーメン、父はカツ丼、母は親子丼。
カツ丼が先にキタ。
旨そうだ。
おれのラーメンもキタ。
上に見慣れぬものがのっている。
長さ15センチ、直径3センチくらいの、これはキノコだなあ、どう見ても。
3つに縦割りにしてある。
キノコラーメンってのは注文していないんだが?
両親が「あっ」と叫んだ。
「おまえ、それマツタケだよ」
マツタケという結構なものが世の中にあるということは聞いたことがあるが、
お姿を拝見したことが無かったので、わからなかったのだ。
当時でも大変高価であり、この大きさだと1本ウン千円とかしたと思うよ。
緊張感が走る。
両親が一気に後悔している。
マツタケラーメンが数百円ならば、迷わず4つ注文しただろう。
なんでも付近の山で大量に採れるのだとかで、
段ボール箱3つにマツタケがぎっしり入っていた。
あるところには、あるのだ。
んで、これがおれのマツタケデビューだったのだよ。
味ですか。
マツタケとラーメンの汁は、テイストが合いませんです。
生だしな。