らじかのよかん

ふっ急になんかわかんないんですけど↑

ねこの恩返し

2006年09月16日 | 動物
「あのさあ。ねこ、助けない」

近くの運河には、堤防の内側1.5mくらいのところに、
土留め用の「もうひとつの堤防」のような鉄板の連なりが、
水面上50センチほどつきだしている。

その上に数日前から「ねこ」が一匹うずくまっていると。
初めは、そこで「遊んでいる」と思い、気にしてなかったそうだが、
数日そのままってことは、明らかに「遭難」している。
来られたのだから、来たルートを逆にたどればよさそうなものだが、
どうやらその場で、進退きわまったらしい。

早速レスキューに出動した。

首輪を着けた「きじとら」が一匹。
なるほど「きわまった」って顔で、
もはやその疲労はピークに達しているのだ。

現状を確認して、機材をそろえる。
水面は堤防の3メーターほど下なので、
もちろん、直接手は届かない。
ロープの先に大き目の四角い「かご」を結びつけて、
即席の救出用エレベーターの完成である。

現場に着いて、救出活動の開始だ。
「きじとら」のいる鉄板の連なりは、堤防から意外と離れていて、
案外そこに「かご」を近づけるのが難しい。
そこで「かご」を振り子のようにゆすって、
なんとか鉄板の向こう側にもっていった。
そのまま横スライドさせて「きじとら」の脇につける。

しかし、これまでの自身の試みが
ことごとく失敗しているのでもう気力がないのか、
なかなか「かご」に入ろうとしない。
上から声をかけて励ましつつ、
「かご」の縁で「きじとら」のわき腹をこするようにしてやる。

数回目でいやいや「かご」に移乗した!
よし、いいぞ。
そのままにしてろ。
急いで「かご」を引き上げる。

やった。
「きじとら」を乗せた「かご」は堤防の上に、どすんと到着。
助かった!

ところが、きじとら君はボーゼンとしていて、
自分が救出されたことがわからないらしい。
そっと抱き上げてかごの外に出し、堤防の上においたやった。

「おい、よかったな」
と声をかけて数秒後、
「おかあさーん」と叫びつつ、
一目散に駆けていった。

やれやれ、お礼はなしかい。
よっぽど怖い思いをしたんだろうなあ。

家族の者は、さぞ心配したろうし、
急に帰ってきて、びっくりしただろうね。


以来、今に至るも「ねこの恩返し」はない。
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