「帽ふれ!」
掛け声がかかりました。
艦上の艦長、副長(ドックマスターはそのまま)始め
乗組員が全員で帽ふれを行います。
岸壁から艦体は離れていきますが、これは主に
曳船が索で引っ張っているようでした。
音楽はいつのまにか「ロングサイン」=蛍の光に変わりました。
艦尾側甲板に立っている乗組員が横断幕を広げ始めました。
「ふゆづき」の時には三井造船の社員が「ふゆづき」の乗員に見えるように
横断幕をあげるという感動的な場面が見られたものですが、今回は
なんと潜水艦側が「ありがとう」のメッセージです。
これがせきりゅうのマークですか。
珠をを握った赤い龍に漢字のロゴが入っているのがポイントです。
星4つは何を意味するのかな?
これは紙に描かれたようですが、こういうのも乗組員が制作するんでしょうか。
初々しい雰囲気の海士くんたちがこれを持っているのがいいですね。
艦長と副長の帽ふれにも注目してみましょう。
ドックマスターはこの場所から写真を撮っているようです。
そして、旗竿の一番左には「長旗」があるのに気がつきました。
「長旗」は指揮官旗のひとつです。
指揮官旗とは、連隊旗含む部隊旗と違い、部隊でなく指揮官に授与されたもので、
離着任式の際を含む指揮官の移動時には、必ず同行することになっています。
つまりこれが揚げられているということは、
艦の最先任指揮官が艦長であること
そして艦長が艦を指揮していること
を示します。
艦隊司令が乗り組まない場合はこれが揚げられるということになりますが、
たとえ艦隊司令が乗っていても潜水艦の場合は最先任指揮官は艦長であるはずなので、
潜水艦にはいつもこれが翻ることになる・・・・ってことでいいですか?
艦尾側の人たちも帽ふれ、
インカムの人は振らなくてもいいようです。
フィンの上の出港ラッパを吹いていた二人も帽ふれ。
体につけた安全索を後ろのバーにつないでいます。
艦体が滑り出して、初めて「せきりゅう」という艦名が見えました。
これは今日だからこんな風に書いてあるんですよね?
「せきりゅう」の下の穴は海水取り込み&排出口?
その時「帽戻せ」の声がかかり、一番左の人が
横断幕部隊に「もういいぞ」と声をかけたようです。
今回初めて舵を見ることができました。
というか、艦体全部が岸壁を離れて姿を現したという感じです。
あれ?曳船にはやっぱり三菱のマークがあります。
でも船体に描かれているのは「MITSUISHI」・・・・。(´・ω・`)
「三石丸」という三菱製のタグボートだったのでしょうか。
全部で三隻の船が寄ってたかって「せきりゅう」を引っ張っています。
潜水艦の出港の場合のタグボートのやり方は特殊なので、
三菱重工の船がこちらも兼業でやっているのかもしれません。
ちなみに、日本のもう一つの潜水艦造船所である三菱重工業も
同じ神戸にあります。
反対側のフィンには造船所の技術者が乗っていたことが判明。
この角度から見るセイルはスッキリしてステルス性バッチリって感じです(小並感)
三方向からうまく引っ張りながら押し出して行くと、
小さな船が潜水艦に近づいてきました。
真後ろから見た「せきりゅう」。
その時、今一度「帽ふれ」の声がかかりました。
デジカメしかバッグに入れていなかったので、これらを
望遠レンズで撮れなかったのはとても残念です。
小さな船は艦体を押しています。
大きな曳船ではできない微調整を行なっているようです。
艦尾付近を押しているので、これから右側に曲がるのを手伝っているのでしょう。
はい、右を向きました。
この後狭い港内を抜けるのに、手助けをするためのガードでしょうか。
皆は岸壁で見送りました。
潜水艦が沈むところはいわゆる一つの軍機に類するものなので、
一般人の目には止まらないところで潜行するのだと思いますが、
果たしてこの後狭い瀬戸内海をどうやって呉まで行くのか、「せきりゅう」。
引き渡し式のご報告を終わります。
参加にあたってご高配賜りました呉地方総監部の皆様、心よりお礼を申し上げます。
おまけ*
神戸空港のロビーになぜか展示してあった
「カワサキか・・・・・」
のニンジャ。
お尻を見せている鳳月丸は船籍が今治となっており海鳳海運のファンネルマークがついています。101トン
三石丸は以前Sのファンネルマークで昭陽汽船の所有で大阪常駐でしたが三菱のマークに代わっておりますが子会社にしたのか、ほぼ三菱のオーダーで神戸常駐としたのか分かりません。130トン
通常造船所は小さな通船又はプッシャーくらいしか所有していません。
常時使用しているわけでもありませんので人件費、維持費等勘案して海運会社へのオーダーとなります。
タグボートが居なくなって右舷中部の小舟はドックマスターともう一人の造船所員を拾うためジャコップの位置に頭を付けています。
潜水艦の艦番号と名前は就役後早めに秘匿性のため消されますので、エリス中尉が呉に行かれて再会されたとしても遠くからは分からないと思います。
最近は、護衛隊の各艦が必ずしも同じ港にいるとは限りませんが、かつては同じ隊に所属する船は同じ港にいました。その頃の旗艦の変更はこれから指揮官が降りる船とこれから乗る船でタイミングを合わせて揚げ替えていました。儀式大好き自衛隊の真骨頂です。
潜水艦の引き渡しは初めて拝見しましたが、向こう側の浮きドックとの狭い間を自力で出るのかと思ったら、曳船で引き出すのですね。よそから見えにくいように、あえて狭い場所でやっているのでしょうが、あんなに狭い場所から出すのは大変です。
前のもやいを詰めて、後ろを開いて、後進を掛ければ、すっと出れそうですが、引き渡して初回の出港だからか、慎重にやるもんだと感心しました。
艦長の力強いメッセージなど聞けましたが、エリス中尉のふんだんな写真とテンポ良い実況?を読んでいる方が楽しいですね(笑)。