アヴァターラ・神のまにまに

精神世界の研究試論です。テーマは、瞑想、冥想、人間の進化、七つの身体。このブログは、いかなる団体とも関係ありません。

大燈国師遺誡

2023-07-21 07:17:45 | 達磨の片方の草履

◎冥想修行者は、悟らなければ駄目

 

大燈国師宗峰妙超は、花園天皇との対話で有名な禅僧。悟り後、大応禅師に印可(悟りを認められること)されたが、引き続き悟りを深める聖胎長養を鴨の川原で乞食として7年行った。

大燈国師は臨終に際し、長年曲がらなかった足を故意に折って出血しながら結跏趺坐し、この遺誡を述べた。

 

他宗派の聖者からも大燈国師は別格と見ている人がいる。ダンテス・ダイジの冥想道手帳の経文篇にも大燈国師遺誡が挙がっているが、長年どこが凄味があるのかピンときていなかったが、禅を『クンダ自体の中に没入する近道』と見た場合、近道は遠い道であるクンダリーニ・ヨーガ(密教、道教、古神道など)より困難なだから無理な修行を究め尽くせよというところで、禅の修行者はピンとくるのだなと感じるところがあった。

 

以下【】内は大意

『興禅大燈国師遺誡

 

汝ら諸人、この山中に来たって、道の為に頭をあつむ。 

【諸君はこの山中に来て、道のために集まっている。】 

           

衣食の為にすること莫(なか)れ。肩あって着ずということなく、口あって食らわずということなし。

【衣食を得るためにしないこと。肩があるので、着物を着ないということはなく、口があるので、食べないという事はない。】

 

ただ須(すべか)らく十二時中、無理会(むりえ)の処に向って、究め来り究め去るべし。 

【一日二十四時間、理屈が通らない無理な不可能な処(達磨が西からやってきた理由。公案を透過した大悟。)に向かって、究め来て、究め去ること。】

 

光陰矢の如し、慎んで雑用心(ぞうようしん)すること勿(なか)れ。

看取せよ。看取せよ。 

【時間はあっという間に過ぎる。くだらないことに心を用いてはいけない。(その心の動きを看て取れ。)】

 

老僧行脚(あんぎゃ)の後、或は寺門繁興し、  仏閣経巻に金銀をちりばめ、多衆閙熱(にょうねつ)、或いは誦経(じゅきょう)諷咒(ふうじゅ)、長坐不臥(ちょうざふが)、一食卯斎(いちじきぼうさい)、六時行道、

 

【私が(大燈国師)行脚した後、寺が栄えて寺やお経にも金や銀がちりばめられたり、大勢が集まり賑わったり、あるいはお経や、マントラを唱えたり、横にならず長時間坐禅をしたり、食事を朝だけの一食にしたり、一日に六度の修行に励んだりするかもしれない。】

 

たとい恁麼(いんも)にし去るといえども、仏祖不伝の妙道を以って、胸間(きょうかん)に掛在(かざい)せずんば、忽ち(たちまち)因果を撥無(はつむ)し、真風地に堕(お)つ。みなこれ邪魔の種族なり。

老僧世を去ること久しくとも、児孫と称することを許さず。

 

【たとえ、このようにしていたとしても、仏祖が言葉では伝えることが出来なかった真理(妙道)が胸にいつもあるのでなければ、たちまちそれまでの法を伝承してきた長年の努力(因果)が無くなり、本当のところはわからなくなってしまう。

そういうのは皆、悪魔の種族である。

私が亡くなって長い年月がたっても、そんな修行者は、私の法の子孫と名乗ることを許さない。】  

          

もし一人あり野外に綿絶し、一把茅底折脚鐺内(いっぱぼうていせっきゃくしょうない)に、野菜根を煮て喫して日を過すとも、専一に己事(こじ)を究明する底は、老僧と日日相見(にちにちしょうけん)、報恩底の人也。

誰か敢えて軽忽(きょうこつ)せんや、

勉旃勉旃(べんせんべんせん)。

 

【もし人里離れた野に一人でいて、小さなあばら家に、壊れた鍋で野菜の根を煮て食べながら冥想(瞑想)修行しているとしても、ただひたすら自分自身に直面、究明するような人こそが、私と日々顔を合わせて参禅しているようなものであって、私に恩を報いてくれる人である。

そのような人を誰があえて、軽んじようか。           

努力せよ。努力せよ。】

 

道元は、悟っていなくとも坐っているその姿が悟りだなどと紛らわしいことを言っているが、大燈国師はそれを許さない。とにかく、寺にあっては悟らなければ駄目だとする。現代の冥想修行者にとっては、それは当たり前だ。

また、ここでは、寺で修行する前提だが、万一寺で悟りを求める人が少なければ、現代では、冥想修行に適した環境を求めて、「寺を出るという出家もある。」と嘯いたダンテス・ダイジもいたことも承知しておきたい。

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