妻の手術の日

2023年09月11日 | 健康・病気

66歳の妻は、これまで手術というものを1回もしたことがない。
私は、27歳のときの盲腸、40歳の胆石除去手術、53歳の鼠径ヘルニア(脱腸)、
63歳と69歳のときの下肢静脈瘤の手術、そして膀胱がんの手術5回で全部で10回している。
そういう妻が今日生まれて初めて手術を受けた。
あの人としてはどんな気持ちだろう。

私は妻から12時半に病院に来てくれ、といわれていたので12時15分に行った。
ナースステーションに声をかけ、そこの前にあるイスとテーブルが4セットある部屋にいた。
午後1時を過ぎても誰も話しかけてこない。
女房の手術はどうなってんだろう?と思い始めた。
私は持っていた「一人称単数」(村上春樹 著 文春文庫)を読んでいた。
1時半になっても何の音沙汰もない。
2時前に妻が坐る車イスを看護師が押してきた。
「今から手術です」と看護師が私にいった。
妻が入院している部屋の、貴重品を入れている引き出しのカギを私に預けた。

それから1時間たっても2時間たっても、妻の手術は終わらなかった。
午後4時45分に、主治医にナースステーションに呼ばれた。
そこにあったディスプレーにレントゲン写真を映して手術の説明をしてくれた。
手術はうまくいったという。
素人目で見てもキレイにワイヤーで、割れた膝がくっつけられていた。
ベットに載った状態の妻が出てきたのが午後4時50分だった。
長かった。
妻は手術が終わってホッとした顔をしていた。
「主治医は明日退院してもいい、といってたよ」と妻にいうと、
「私は恐いからしばらく病院にいたい」という。
私は、貴重品を入れている引き出しのカギを妻に渡した。

病院を出た私は、スーパーマーケットに寄って、夕食に食べるものを買って家に帰った。
妻が入院して家にいないが、それほど寂しくない。
この気持ちはなんなのだろうと思った。
そうだ2009年から2016年まで私は、軽井沢で一人暮らしをしていた。
それで1人でいることに違和感もないようです。
でも、早く妻に帰ってきてほしいと思う。
妻の手料理を食べたいです。

コメント
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