今朝のラジオ文芸館(NHK第一 8:05~8:45)は、井上荒野:作「煮こごり」だった。
私は、できるだけ毎週この番組を聴くようにしているが、
なかなか朗読に入っていけない作品がある。
すんなり作品の世界に入っていけるのは、3回のうち1回ぐらいです。
今日の「煮こごり」は、あっという間に夢中になって聴いていました。
主人公は、高齢の独身女性で晴子という名前だった。
小学校の教師を定年退職してから小さな塾をやっていた。
愛人としてつきあっている鵜飼光一とは31年目になろうとしていた。
その鵜飼がサファリーパークのような動物園でトラに殺されてしまうことから物語は始まった。
それをニュースで知る。
彼とは日曜日ごとに必ず会っていた。
とうぜん次の日曜日からは来なくなった。
彼が死んだことが現実のこととして受け入れられないが、死んだことは間違いがない。
それから晴子は、できるだけ鵜飼のことを調べた。
これまで奥さんと2人でマンションで暮らしていると思っていたが、1人で暮らしているようだった。
晴子が営んでいる塾に来ている生徒と鵜飼の家を探すことになった。
生徒の知恵で鵜飼の家を見つけられた。
その玄関ドアのノブにメモがぶら下がっていた。
どうも晴子あての内容だった。
「日曜日に会っているあなた、電話を下さい」
(このようなメモだったと思う。ラジオで聴いただけなので記憶があやふやです。
ちがっていたらごめんなさい)
晴子がそこに書いてある番号に電話すると、女性が出て会うことになった。
どうも鵜飼には、曜日ごとに愛人が何人かいて、晴子は日曜日の愛人だった。
そこに鵜飼の愛人があとから何人か来ることになっていた。
動物園でトラに襲われたときにいた若い女性も来るという。
というようなストーリーです。
実に不思議なお話だった。
私が書いたあらすじでは、小説のよさが伝わりませんね。
朗読で聴いたときは素敵な小説だった。
井上荒野の小説をこれまで読んだことがなかったが、こんど読んでみよう。