今日は午後から雪が降り出した。
私たちは第2作業所でみかんのネット入れをしていた。
ここは市場の建物の中程にあり、
屋根はあるが風は吹き込んでくる。
私はダウンジャケットを作業服の上に着ていた。
通所者たちもそれなりに着込んでいる。
雪は本格的な降りでどんどん積もっていく。
2時半ごろ作業が終わった。
それから作業所の大掃除をして、
施設長の話があり、今年のすべてが終了した。
6人来ていた通所者のうち両親が迎えにくる子と、
その近所に住む子の2人が車で帰った。
残りの4人を私の車に乗せた。
1300CCの小さな車は、人と荷物であふれた。
雪はすでに7、8センチ積もっていて、
ノーマルタイヤでは危ない。
私は31日の天気がくずれるとラジオで聴いていたので、
この前の休日のときスタッドレスタイヤに替えていた。
昨シーズンは雪がほとんど降らなくて、
スタッドレスタイヤで走っていたことが虚しかった。
しかし、なんか正月あたり雪が降りそうだと予想して、
面倒くさかったがタイヤを交換した。
施設長はノーマルタイヤだった。
「死ぬ覚悟で帰る」と帰っていった。
市場を出て浦和所沢(うらとこ)バイパスに入ると、
車が数珠繋ぎになってのろのろ動いていた。
施設長の車を抜くと、私の車の子たちが小躍りして喜んだ。
私の車は快調に、雪の積もった道路を走り続けた。
しかし、ほどなく二車線とも渋滞し、
まったく車が動かなくなった。
後ろから来た施設長にまた追い越された。
あの子たちはがっかりした。
しばらくのろのろ行くと、左側に3台の車が停まっていた。
見ると、黒のワゴン車にトラックが追突し、
その後ろの軽自動車もそこに突っ込んだようだ。
私は背筋に冷たいものが走った。
その先にも車が右に左に、ハザードをつけて停まっていた。
それらをかわし、私の車は順調に進む。
ゆっくり行く施設長の車をまた抜く。
私の車の中は歓声にあふれた。
オートバックスでは、店員が道路に出て、
スタッドレスタイヤの売り込みをしていた。
かなりの車が店の駐車場に入っていく。
そうとう売れることだろう。
他の車がのろのろ走っているとき、
快調に走れるのは愉快だった。
何事にも劣等感しかない私も、
今日ばかりは優越感を味わえた。
しかし、スタッドレスタイヤだからといって
油断はできない。私は慎重に運転した。
無事所沢駅前に着き、
通所者たちを降ろしたときはほっとした。
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12月の九想話
12/1 息子との会話
12/2 安酒「くらのすけ」
12/3 難しい結論
12/4 人生一度でいい
12/5 再会
12/6 Sさんの引越
12/7 紙媒体の絶滅?
12/8 12月8日
12/9 ダウン症を育てる主夫
12/10 青春の歌
12/11 酩酊
12/12 宝くじを買おう
12/13 プリンターを買う
12/14 光ファイバー 2
12/15 光ファイバー開通
12/16 潰れた箱
12/17 牛飼いたちの決断
12/18 11月の句会結果
12/19 息子のメール
12/20 九想窯
12/21 借金
12/22 ゆず湯
12/23 「冬のソナタ」完全版
12/24 車の中のクリスマスイブ
12/25 痩せる
12/26 生きてるだけで100点
12/27 フリーマーケット
12/28 妻が病に倒れたとき
12/29 初雪
12/30 リストカット
12/31 スタッドレスタイヤ