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映画・演劇のレビュー

『パーティーは終わった』

2011-11-28 20:33:56 | 映画
 行定勲がbeeTVのために作った第2作。前作『女たちは2度遊ぶ』と同じようにオムニバス・スタイルをとる。まぁ、これはもともと短編連作で配信されたケータイドラマだからそういうスタイルが製作の前提である。前回は吉田修一の短編小説を原作としたが、今回は伊藤ちひろのオリジナル。全体はコメディータッチで包み込んであるが、個々の作品はさまざまなジャンルを横断する。感触は軽いタッチの作品になっている。

 同業者である人気漫画家のパーティーに呼ばれたスランプ中の少女漫画家が、そこで出会った(というか、見ただけ)男たちをモデルにして、マンガのネタを妄想するという話。仲里依紗が主役を務める。彼女と5人の若手俳優の共演である。

 20分ほどの短編の中で描かれる5つの恋物語はそれぞれがとてもよくヒネリが効いていておもしろい。いずれもある種のパターンなのだけど、それを安易にお決まりのところには落とさない。あれっ、って思わせる感じがとてもいい。内容もバラエティーに富んでいる。優しすぎる男の心変わり。泣き虫の男を突き放す。ヤクザっぽい男との危険は旅。記憶を失った男との日々。最後なんて、吸血鬼である。これにはマイケル・ジャクソンの『スリラー』まがいのミュージカル・シーンまである。いずれの作品も、とある状況の中で、主人公のほんの少し心が動いていく瞬間を鮮やかに描き出す。1本の作品として2時間22分はすこし長いけど、もともとは5話の短編集なのだからしかたない。

 ありえない設定も、これが少女マンガだと思うと、納得がいく。反対にその設定でしか描けないような話が提示できているのがいい。メディアの特性を活かした映画とは違うアプローチで切り取った人生の一瞬間はそれなりに鮮やかでいい。


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