人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

恐慌ビジネス

2010-06-08 08:23:00 | 時事/金融危機
■ 恐慌は起こってしまうのか? ■

世間の常識によれば「恐慌は、起こってしまうもの」です。

1920年代の世界恐慌でも、NY証券市場の暴落をきっかけに、バブルが崩壊し、その後2年くらい掛けて世界は恐慌状態に突入しています。その間、各国はに財政を出動し、兌換性を復活させて通貨防衛を試みますが、その努力も空しく世界経済は恐慌へと突入していきます。

教科書ではルーズベルトのニューディール政策が恐慌収束に有効であったと書かれていますが、アメリカ経済の復活の足がかりとなったのは、ヨーロッパで始まった戦争による特需であった事が最近の通説となっています。

いずれにしても、恐慌はバブル崩壊の余波として、図らずも起きてしまうものです。

■ バブルは起こってしまうものなのか? ■

それでは、恐慌の原因となるバブルの崩壊は起こってしまうものなのでしょうか?

グリーンスパーンは「バブルの最中にそれがバブルであると知る手段は無い・・」といった発言をしていますが、アメリカの金融バブルや住宅バブルは、バブルの崩壊を経験した日本人から見れば、明らかに「バブル」でした。

バブルの直接的な原因は金利の引き下げや通貨の増刷によって、過剰流動性が生じる事です。

日本においては、プラザ合意の後、金利が引き下げられた事が引き金となり、アメリカにおいてもFRBが景気過熱を無視して金利を据え置いた事が原因となっています。さらに、バブル崩壊後の日本のゼロ金利政策が、大量の流動性を円キャリートレードという形で市場に供給し続けました。

■ バブルと恐慌は意図的に引き起こされる ■

一連のバブル崩壊の流れを見ていると、一見、不可避の現象の用に見えます。しかし、個々のタイミングにおいては、金利引き締めのタイミングはいくらでもあったはずです。「市場原理主義」という無法状態がバブルを誘発した様に言われますが、それは言い逃れに過ぎません。

適切な時期に、中央銀行が適切な金利政策を行っていれば、バブルは事前に防げるのです。中国が良い例です。独裁政権で国家の統制が強いので、「バブル崩壊」が懸念されながらも、実際には壊滅的なバブル崩壊は訪れていません。

逆説的に言えば、バブルは中央銀行によって引き起こされているのです。

■ 恐慌ビジネス ■

バブル崩壊に伴う恐慌は、金融マフィアにとって格好の狩場です。

1) 金利を下げて過剰流動性を発生させる。

2) 規制緩和等で、バブルを誘発する。

3) 積極的な投資で、バブル市場を成長させる。

4) 資金を引き上げ、利益を確定し、かつバブル崩壊のきっかけを作る。

5) 空売りなどで崩壊を決定付ける。

6) 底値となった資源・資産・企業を買いあさる。

7) 財政を出動させて、新たな資金を市場に供給し、再度過剰流動性を生み出す。
  (負債を民間から国民に付け替える)

8) 見せ掛けの景気回復の中で「国民の税金」で積極投資し、利益を膨らめる。

9) 資源や金など、インフレに強い資産に資金をシフトする。

10) 新たな危機を演出する。

11) 「政府の負債」が膨らんで、財政出動は困難。景気悪化の歯止めが外れる。(2番底)

12) 不可避的に財政が悪化し、「ソブリン危機」が世界中に広がる。

13) 通貨不安から流動性の欠如が生じ、恐慌状態へと突入する。

14) 資産や企業・株価の底が抜け、バーゲンセール状態となる。

15) 各国が財政負担軽減の為、インフレ政策を競い合う。

16) ドルを始め、ペーパーマネーが信用を失う。

17) 新たな通貨体制を構築する話し合いがされる。

18) 新通貨体制の下で世界経済は安定を取り戻す。

19) 庶民の財産が紙くずとなり、底値で資産を買い占めた金融資本家達の元に富が集約する。


この一連の流れが恐慌ビジネスです。国際金融マフィア達が、中央銀行を支配し、通貨発行権と金利決定権を手放さない理由は、「恐慌」程おいしいビジネスが他に無いからです。

■ 金融マフィアのコバンザメになれば生き残れる? ■

「恐慌になってしまった」を演出する国際金融マフィアに対抗する為には、コバンザメのごとく彼らと同じ動きをすれば損を逃れられそうです。

しかし、実際、高速なコンピューター取引であるHFTを相手に、どれだけ個人が生き残れるか分かりません。

結局、一歩先を読めるかどうかで将来は大きく変わってくるのでしょう。

■ 金は買いか?それとも・・・? ■

現在、最も有効な資産保全の方法は「金地金の現物」だと言われています。1オンス1200ドルを超え、1700ドルも必至と言われています。(5000ドルという人も居ます)

しかし、こう猫も杓子も「金」「金」と言われると、それも何だか胡散臭くなってきます。
現状の1200ドルよりも下がらないでしょうが、1500ドル、2000ドルで手を出すには怖い気がします。「買うなら今」なのでしょう。オーストラリアも売却用のストックが底を突いた様です。

ユーロ下落に伴って、イランが金を買い増しています。ヨーロッパの資産家達も金に逃避しています。・・・はたして「金」の行く末や如何に??



言っていることと、やっている事が真逆な民主党

2010-06-05 06:41:00 | 時事/金融危機
■ 管直人代表選出、オメデトウございます ■

民主党は次期代表に管直人氏を選出しました。9月までの限定内閣の様相が強いので、前原氏や岡田氏は当然パス。以前より「内閣総理大臣」ポストを嘱望していた菅氏が、繋ぎの首相を承知してそのポストを手に入れたという事でしょうか。満面の笑みは多分作り笑いではなかったでしょう。男子たるもの「いつかは総理大臣!!」今時の草食男子は見習うべきです。

■ 内閣のすべきは選挙管理??■

今回の内閣は参議院選の選挙管理内閣となるでしょう。鳩山ー小沢コンビの後遺症として、行き過ぎた改革や、大胆な変革はせず、国内のショボイ景気対策をいくつか打ち出す程度で参議院選挙に突入し、大きな失点が無ければ、小沢一郎が選挙に奔走してそこそこの結果を出す事でしょう。

■ 金融危機第2波を乗り切れるか? ■

菅氏は円安容認的な発言をしてきましたので、経済界も管首相で一安心というところでしょう。鳩山退陣で株価が上昇し、円相場が円安に振れています。

しかし、菅氏の経済運営は財務省の言いなりで、本人は以前国会答弁で「乗数効果」を誤って認識していた事が発覚した様に、経済のエキスパートでは無いようです。世界的金融危機の第二波が発生している中で、いささか不安な内閣総理大臣です。

■ 鳩山ー小沢の目的は郵政民営化阻止? ■

今回の鳩山氏の辞任は、少々意外でした。普天間問題は一応の決着を見て、マスコミが煽る程世論は鳩山辞任の流れでは無かったはずです。ところが、小沢氏を道連れにした当然の辞任には私で無くとも裏を勘ぐりたくなります。

今回の辞任で一つ大きな変化が生まれました。郵政民営化修正法案の今国会成立断念です

私は鳩山首相が普天間問題のタイムリミットを5月末に設定した最大の理由はここにあると思います。鳩山ー小沢は口では郵政民営化見直しを唱えながら、実はあえてそれを失敗あるいは先延ばししているのではないでしょうか?

■ 民主党政権下でアメリカ国債を買い増す「ゆうちょ銀行」 ■

アメリカが郵政民営化で日本国民の預金を狙った目的は、アメリカ国債の買い支えにあります。民主党が本当に国民の財産である郵政資金を守るのであれば、米国債を売却こそすれ、買い増す事はあり得ません。

しかし、昨年1年でゆうちょ銀行の所有する米国債は3倍に膨れ上がっています。

<引用>

ゆうちょ銀行が2009年度に外国の国債を大量に買い入れていたことが明らかになった。今年3月末時点の残高は3兆7100億円で、03年の郵政公社発足後で最も多い。鳩山政権は郵政改革の一環として、貯金として預かったお金の運用を日本国債に偏らず多様にする方針を打ち出しており、政府の意向を踏まえたとみられる。

 昨年3月末の外国債の残高は1兆2800億円で、残高は1年間で3倍に膨らんだ。保有する外国債のうち、最も多いのは各国政府などが日本で発行する円建ての「サムライ債」で、約7割を占める。

 昨年10月以降に増えたのが、米国債などの米ドル建て債券だ。昨年9月末の残高は310億円だったが、半年後の今年3月末は8700億円と28倍になった。昨年秋は14年ぶりに一時、1ドル=84円台になるなど円高が進んだ時期で、幹部は「為替差益も狙って、1ドル=80円台で大量の米国債を買った」と明かす。

 鳩山内閣が掲げる郵政改革は、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の金融2社が収益力を高め、そのもうけで全国の郵便局ネットワークを維持することが柱だ。現在、ゆうちょ銀行は利用者から集めたゆうちょ資金約190兆円の8割を日本国債で運用している。だが、10年物の国債の運用利回りは1.2%程度で、米国債よりも約2%幅低い。日本国債に偏った運用が収益力の低さや、郵便貯金の金利が低いことにつながっている。

 亀井静香郵政改革相や原口一博総務相は、ゆうちょ資金の運用策として、海外の高速道路などの大型投資や個人向け貸し出しと並び、外国債の購入増もあげている。日本郵政の斎藤次郎社長も昨年10月の就任会見で「運用を日本国債の保有一本に限定する方法はとり得ない」としており、外国債購入は「運用多様化の第一歩」(幹部)といえる。

 ただ、外国債には損失を被る危険もつきまとう。外国の通貨建てで外国債を持った場合、円高が急激に進めば、円換算では価値が下がって損失になるおそれがある。ギリシャのように財政不安から国債価格が暴落する危険もある。01年にアルゼンチン政府発行のサムライ債が予定通り返済できない債務不履行に陥った例もある。斎藤社長も会見で「運用のテクニックやリスク管理で、人材を育てることが重要」としている。(堀口元)

<引用終わり>

民主党と亀井氏は、言っている事とやっている事が真逆です。

■ オバマと共通する鳩山ー小沢 ■

「言っている事とやっている事が逆」な政権は、民主党政権だけではありません。その本家本元はアメリカの民主党、オバマ政権です。

イラク戦争反対 ・・・・・ アフガニスタン増派
国民皆保険制度導入 ・・・ 税金を使って民間保険会社に強制加入
国民のための政治 ・・・・ 税金投入で銀行や企業を救済

これらの政策変更の理由は、too~toの理論です。大きすぎて潰せない。業界の反対が強すぎて実施出来ない。状況が悪すぎて撤退する出来ない。

いずれも、理想を高く掲げて、実行の過程で妥協を重ね、結果的には当初の目的と反対の政策が実行される・・・というパターンです。

日本の民主党も全く同じ手法を採用しています。

郵政民営化阻止 ・・・・・ 海外資産運用を検討 / 見直し法案国会提出延期
海兵隊普天間基地移転・・・ 辺野古に逆戻り
高速道路無料化  ・・・・ 省エネ車意外では値上げ
子供手当て   ・・・・・ 財源確保の為には将来的な増税

見事に目的と結果が真逆です。

■ 普天間問題の解決は簡単だった ■

そもそも、本気で鳩山首相と小沢氏が普天間問題を解決しようとしたら、簡単に実現する方法がありました。

米軍への「思いやり予算」を仕分けしてしまえば良かったのです。

米軍への「思いやり予算」は自民党時代の悪しき慣習で、法的根拠は希薄です。財政が逼迫している折、本当に民主党が日米関係を改革しようとするならば、「思いやり予算」を仕分け対象にして、減額あるいは廃止にしてしまえば、米軍はコストの掛かる海外駐留を縮小せざるを得ません。元々グアム移転が決定していた普天間の海兵隊は、真っ先に沖縄から移転していくでしょう。

その上で、従来どおり、グアムでの海兵隊員の住宅の建設費用など移転費用を日本が支払えば、アメリカとそても渡りに船だったでしょう。

ところが、鳩山首相は普天間問題をわざわざ解決不能なレベルに自ら高め、さらに5月末までの決着するとした事から今回の首相辞任のタイマーをセットしてしまいました。

■ 政治家の権力基盤は何に準拠するのか ■

ネットを中心に日本の若者や新保守主義者達は小沢氏を無条件に信頼しすぎている気がします。

小沢氏が民主党の中で権力を振るう事が出来るのは、小沢氏に大きな後ろ盾が存在する事を意味します。経団連と反目していた事からも、それが財界で無い事は確かです。

自民党政権が戦後60年アメリカの傀儡であった事は疑いもありませんが、民主党がそのしがらみを断ち切れているかと言えば、現実はそんなに甘くは無いでしょう。

日本国内に米軍基地が多数存在するという事は、日本は未だアメリカの軍事占領下にあり、日本国政府はアメリカの監視下に置かれているという事です。・・・これが日本の現実です。

その日本の政権の首脳は、アメリカの後ろ盾を失えば権力を発揮できません。幹事長を辞任しても小沢氏が民主党内で権力を維持している事は事実で、それは即ち小沢氏がアメリカの意向に沿った政権運営をしている事に他なりません。

マスコミと対立姿勢を示せば、小沢氏は旧勢力と戦っている様に見えますが、それも含めてのパフォーマンスであれば、国民は簡単に騙されてしまいます。

ネットの住人は裏を読んでいる様で、実は裏の裏に騙されてしまうのです。


■ アメリカの要求に抵抗していたのは安部・福田・麻生 ■

今の民主党政権に比べたら、アメリカに対して影で抵抗していたのは安部・福田・麻生の自民党末期政権でした。

亡くなられた中川氏を始め、アメリカに100兆円を差し出す主張をした「みんなの党」の渡辺氏を罷免して自ら首相を辞める事でアメリカの要求を退けた福田氏など、捨て身の抵抗をしていました。

かと言って、彼らが国民の為のそれを行っていたかと言えば、それも疑問で、ロックフェラーに仕える自民党の清和会が、アメリカの新たな支配者であるロスチャイルドを始めとする金融マフィアの要求に抵抗していただけかも知れません。

結局、仕える主人が違うだけの事で、アメリカ本国での主役交代が日本の政局に影響しただけの事です。

■ アメリカ連邦政府はアメリカ国民に仕えていない ■

アメリカとて状況は同じで、アメリカの連邦政府はヨーロッパの支配者に仕えているのであって、決してアメリカ国民に仕えるものではありません。

その証拠に、アメリカの若者は、アメリカの為にならない理不尽な戦争で命を落とし続けています。

しかし、アメリカでは建国当時からヨーロッパと連邦政府はの懐疑心が強く、未だにリバタリアンの活動も活発です。州単位での独立運動も存続していますし、昨今の「ティーパーティー」も草の根保守(リバタリアン)の活動と見る事が出来ます。

サラ・ペインの粗雑な発言に共鳴する様に、リバタリアン達は粗野で無骨な開拓者達の血を引く庶民で、決して東部エスタブリッシュの様な、大陸から後から渡ってきたエリート達ではありません。

アメリカは連邦国家が、国民を詐収する国家ですが、伝統的に国民がその構造に自覚的である事が唯一の救いです。尤も、メディアに毒され、自由を民主主義と正義を三位一体の神とするアメリカ教に洗脳された国民は、連邦政府に表立って抵抗する事は止めてしまいました。

一方日本は明治建国以来、イギリスやアメリカの収奪構造から目を逸らし続けています。
「知っているのに知らないふりをする事が、日本にとって最大の利益だったからです。

■ 日本の一人勝ちは許されない ■

今後世界恐慌が発生すれば、アメリカもイギリスもヨーロッパ諸国も無事ではいられません。世界の古い勢力が凋落する中で、日本だけが助かる事をヨーロッパの支配層は望まないでしょう。

日本政府が海外債権を売却すれば、国債の発行残高を相殺する事が可能ですが、アメリカ国債を売却しないうちにアメリカがデフォルトすれば、日本も他国同様デフォルトを余儀なくされます。

その際、海外からの借金をチャラにするアメリカは得をしますが、国民からの借金をチャラにされた日本の預金者達は大損をこうむります。

結局ユダヤ金融の極意は「借りたもの勝ち」にあります。
この本質に気づかない真面目な日本人は、小沢一郎と民主党に振り回されながら、アメリカに抱きつき心中される運命なのでしょう。



あれ?! 辞任しちゃったよ!!

2010-06-02 10:35:00 | 時事/金融危機




■ あっさり辞任表明!! ■

前回、「鳩山首相の辞任は無い」と断言したら、あっさり辞任表明されてしまいました。私が政治評論家だったら、信用失墜です。(素人でも信用ガタ落ちですが・・)

さらには小沢幹事長も辞任表明した模様・・・はたして民主党は大丈夫なのでしょうか?

■ 小沢・鳩山の役割は何だったのか? ■

かねてより私は、鳩山首相の普天間問題は、金融危機から国民の目をそらす為のカモフラージュでは無いかと疑っていました。ユーロ発の金融危機第二波から国民の関心を逸らし、日本人の海外資産の国内還流を遅らせるのが目的ではないかと考えていました。

世界の目はユーロに集中していのに、国内報道は普天間問題と鳩山首相の進退問題に集中していました。

ユーロ危機が金融危機の第二波に発展するのならば、リーマンショックで塩漬けにされていた日本人の資産を海外から引き上げるのは、5月上旬が最適のタイミングだったはずです。この時点では米国株価も回復していました。

ギリシャ問題を冷静に新聞やニュースが分析していれば、多くの日本人が海外資産を整理する事を考えたでしょう。

しかし、新聞やニュースが伝えたのは、普天間問題ばかりでした。

■ 普天間問題=フェルマーの最終定理 ■

問題があるのを承知で書けば「普天間問題は実につまらない問題」です。

例えば、高校の数学の期末試験の冒頭に、「フェルマーの最終定理の証明」が出題されているようなものです。賢明な学生なら、そんな問題は一瞬でパスして、三角関数なり微積分なり解ける問題に時間を使うでしょう。

普天間問題は、「戦後の日米関係を正常化する」という実に凛々しい目的で、新保守主義層の支持を集めましたが、これを解決する事は、「フェルマーの最終定理」を解く程に難しく、そして、実は実利が少ない問題です。

「フェルマーの最終定理」が解けても、八百屋で買い物をして徳はしませんが、足し算と引き算がきちんと解ければ、少なくとも八百屋で損はしません。

普天間基地を沖縄県外に移設しようが、移設しまいが、海兵隊のグアム移転は決定事項ですし、沖縄の基地は中国の中距離ミサイルの恰好な餌食であるという事実は何も変化しません。財政状態が苦しい米国政府がさらなる軍備拡張をして、極東で中国と対峙する覚悟が無い限り、空軍を含め沖縄の基地は5年、10年後には無用の長物となる運命でした。

それを、「今出て行け」と言われたら、アメリカとしては子分に意見されている訳ですから、意地でも「撤退」居座ろうとするのが当然です。

まして、他県が普天間代替基地を提供する理由が見つかりません。

■ 「簡単な問題」を「難問」にすり変えた鳩山首相 ■

鳩山首相は普天間問題を解決するに当たり、「最低でも県外」とする事でハードルを自ら高めてしまいました。

沖縄には現在でも使用されていない3000m滑走路があります。「下地島」の訓練用滑走路です。もともとはジャンボジェット機の訓練用滑走路として建設され、過去にボーイング767型機が訓練中の操縦ミスで大破した事故も起こしています。

一時は那覇からの民間路線も開設されましたが、結局利用者が少なく、現在は定期便の無い3000m滑走路となっています。

伊良部島の町議会は、高まる中国の先島諸島への脅威に対抗する為、自衛隊の誘致を採決していますが、宮古島と合併した事から、この誘致は振り出しに戻っています。

米軍も下地島空港にはかねてより関心を寄せており、フィリピンへ向かうヘリコプターが給油に立ち寄った事もあります。

基地に出て行って欲しい沖縄本島と、中国への脅威に対抗する為基地が必要な先島諸島。・・・同じ沖縄であっても全く異なる問題を抱えています。

小沢幹事長も昨年12月に下地島には言及しています。

「県外」という事で鹿児島県の「種子島」が候補となりましたが、種子島は海兵隊が移転してもあまりメリットはありません。一方、尖閣諸島に近い下地島やその周辺の先島諸島では、海兵隊の移転は中国はのけん制として大きな意味合いを持っています。「種子島」の島民を説得するより、宮古島議会を説得する方が、ハードルは低かったでしょう。

ところが「最低でも県外」という設問が、「下地島移転」を最初から候補から外してしまいました。

■ 沖縄本島に代替飛行場を必要とする米空軍 ■

一方、嘉手納に居を構える「米空軍」にとっては、普天間あるいはその代替飛行場には重要な戦略的意味があります。

現代の戦争においては、空軍力が勝敗を左右すると言っても差し障りがありません。

開戦直後の制空権を確保しなければ、地上部隊の展開は不可能だからです。嘉手納基地の米空軍は極東で有事が勃発すれば、先頭を切って出撃し、敵の航空戦力を徹底的に殲滅する任務を負っています。

しかし、中国とてその事は先刻承知で、日本国内の全米軍基地及び自衛隊基地に、中距離ミサイルの照準を合わせている事は疑う余地はありません。

嘉手納にしても、普天間にしても、あるいは横田にしても、はたまた市ヶ谷や習志野にしても、中国との戦端の火蓋が切られたら、ミサイルが大挙して飛来しても文句は言えません。

現状のミサイル防衛の完成度から言えば、嘉手納も普天間も中国のミサイル攻撃に耐えられるものではありません。世間の常識で言えば、バックアップの空港が中国のミサイルの射程内にある限りは、滑走路が使用不能になる確率は大して変わりません。

しかし、純粋に確立的意味合いからは、滑走路が2倍あれば、滑走路の存続率も高まります。最も、98%の確立でミサイルが着弾するとすれば、滑走路が2箇所に増えればその確立が96%に低下するだけで、どれだけの意味があるかは疑問です。

それでも、戦略的意味からは、1本では運用出来ず、バックアップは必要という事でしょう。それも、嘉手納が使用不能となった場合に、あまり離れた場所では意味が無いので普天間は絶好の位置にあるのです。(最も、那覇空港も軍民間の共用です)

■ 空母機動部隊ですら無能化する弾道ミサイル ■

実は米国内では空母機動部隊の有用性が疑問視されています。中距離弾道ミサイルの命中精度が衛星制御などで飛躍的に高まっている現在、太平洋上にある第七艦隊であっても、地上の標的と同様、弾道ミサイルの餌食となってしまうからです。


■ 全世界を1時間以内に攻撃できる無人攻撃機 ■




そこで米軍が開発しているのが、「全世界を1時間以内に攻撃出来る無尽攻撃機」。

http://www.afpbb.com/article/politics/2730553/5810137

「ウェーブライダー」というこの攻撃機は、成層圏をマッハ5で飛行し、巡航ミサイルの様に敵の攻撃目標に正確な攻撃を慣行することが可能というSFチックな代物です。当然、小型核弾頭も搭載可能ですから、敵滑走路の無力化など限定的な破壊にはうってつけの代物です。

弾道軌道が計算できてしまう弾道ミサイルが将来的に迎撃可能となても、無人ゆえに圧倒的な運動性能を誇る「ウェーブライダー」を迎撃す事は不可能でしょう。

■ 不要になる前線基地 ■


アメリカ軍は今後さらなる無人化を進め、前線航空戦力を「ウェーブライダー」の様な、遠隔攻撃戦力に置き換えて行くでしょう。

相手国との政治的リスクにさらされる前線基地よりも、あるいは運営コストが膨大に掛かる空母機動部隊よりも、遠隔無人攻撃機は明らかな優位制を有しています。

5年、10年の間に、米軍は極東から撤退を余技無くされるでしょうが、それが即ち、軍事的プレゼンスの解消を意味するのでは無い事は、アメリカ人のプライドを守る為にも重要な事です。

■ 鳩山首相はバカでは無い ■

世間では鳩山首相を「バカ呼ばわり(ルーピー)」する様ですが、東大工学部を主席で卒業した人物が私や世間の皆さんよりバカだとは私には到底思えません。少なくとも、論知的思考において、我々よりも数段優れているはずです。

では、何故、普天間なのか・・・・。

それは、普天間が「フェルマーの最終定理」だからです。解決しないからこそ、普天間問題を政治的最重要問題とし、半年間、世間の注目を集めたのでしょう。

小沢-鳩山のコンビが与えられて使命は、日本の政局の混乱以外の何物でもありません。

■ 混乱する民主党 ■

選挙上手の小沢幹事長が仕切れば、参議院選で民主党は圧勝していたでしょう。しかし
鳩山と小沢の辞任は、参議院選挙での民主党の敗北を決定付け、衆参での捩れ国会が出現すれば、麻生内閣のように機動的な経済政策が出来ない体制が出現します。

民主党は管・岡田・前原がけん制し合い、下手をすれば、政界再編などという事態にまで進展するかも知れません。

その時、世界が平穏であれば、ワイドショーで高みの見物も楽しいのでしょうが、きっと世界経済は危機的状況になり、日本政府は機動的な対策を何もい打てないまま、対外債務を紙くずとしてしまうのでしょう。

鳩山と小沢は、手を汚さずして、日本のお金をアメリカにプレゼントするのです。
・・・これを世間では「国賊」と言います。

・・・私は彼らはもう少し日本の為を考えて行動していると考えていただけに、ガッカリです・・・。