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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

中央銀行のバランスシートが無利子国債で埋まる時・・・中央銀行券の政府紙幣化

2016-10-07 09:26:00 | 時事/金融危機
 
■ 中央銀行の役割 ■

現在の通貨システムではQE3などの特殊な例を除き、中央銀行は市場を通して国債やその他資産を買い入れ、その分のマネーを市場に供給します。通貨供給量は景気やインフレ率の動向を見ながら中央銀行が決定します。

仮に政府が自制を失ってジャンジャカ国債を発行しても市場が「危険」と感じれば国債の売れ行きは鈍り国債金利が上昇します。金利の高い国債を償還する為にさらに国債を増刷すると、国債金利が暴騰し、通貨が売られて極端な場合はジンバブエの様になるので、政府の国債発行は市場が決める国債金利によって限度が決定します。

中央銀行は金融機関などが持つ国債を市場で購入してその分の通貨を市中に発行します。中央銀行は国債の買い入れを通して通貨を供給し、売却を通して通貨を市中から吸収します。また、同時に金利によって通貨の流通t量もコントロールします。通貨の供給が過剰になった場合はインフレを抑える為に金利を上げて市中の資金を預金へと誘導します。

■ 「ゼロ金利の罠」の元では中央銀行は資金需要を作れない ■

ところがゼロ金利では金利による通過量のコントロール機能が失われます。これ以上、お金を借りてくれる人が居ないからです。(資金需要の枯渇)

そこで日銀は国債を「高値」で市中から買い入れ、銀行にジャンジャン資金を供給しました。これが量的緩和や異次元緩和です。しかし、現在のデフレの原因は「金利が低下し過ぎてリスクと金利のバランスが崩れた」ことも要因の一つなのでゼロ金利下で通貨供給を拡大しても需要を喚起する事は不可能と私は考えます。

さらに低金利で供給されたマネーは、高い金利を求めて国外で運用されたり、短期的に利益が得られる株式市場や債券市場や不動産市場で運用される為、バブルは生成出来ても実態経済を刺激する事が出来ません。

そして、貧富の差の拡大により、資金はお金を持っている人の元に集まります。お金がお金を生む博打経済が拡大し過ぎた為です。

■ 政府紙幣は通貨と別物の機能を持たせるべきだ ■

景気回復の裏技として高橋洋一氏らは「政府紙幣を発行しろ」と自民党の若手議員を焚きつけた事がありました。

しかし、政府紙幣が「円」と変わらないものであれば、実態経済への波及に対して「ゼロ金利の罠」の影響を少なからず受けます。

そこで、「政府紙幣」が効果的に実態経済を刺激する為に、次の様な制約を設けるのも良いかも知れません。

1) 預金できない
2) マイナスの金利を設定し、死蔵すると価値が減る
3) 日本国内でしか流通しない
4) 日銀券やその他の海外の通貨と交換出来ない
5) 投資に使えない
6) 金や原油や大量の穀物などコモディテーの購入に使えない

金融システムから分離した形の通貨であれば景気回復効果が期待できるかも知れません。一方で、これは現在の中央銀行制度に真っ向から挑戦する政策なので、通貨の支配者達がこれを看過する訳はありません。

「老人の年金」を「時限付クーポン」の様な形で支給するという程度なら許されるかも知れませんが・・・。これも「地域振興券」同様に結構危ない橋かも知れません。

■ 「政府紙幣」化している世界の通貨 ■


QE3でFRBが直接米国債を買い入れてたアメリカにしろ、ゼロ金利やマイナス金利で国債をファイナンスしている日本やヨーロッパにしろ、政府通貨に片足を突っ込んでいる事に代わりありません。


■ 先進国の成長力では信用創造の力が不足する? ■


世界の新興国や後進国の経済を発展させるだけの通貨を先進国の成長力が生み出せなくなった結果だと私は考えています。金と切り離して事実上発行額の上限を取り払った通貨ですが、信用創造の規模は実態経済や景気に影響を受けます。

現在の通貨制度はある意味において「信用創造の天井」に突き当たっているので、そろそろ新な通貨制度が生み出される可能性は低くありません。

中国を始めとする新興国経済は現在は停滞していますが、成長力は先進国に比べてれば拡大に高い。新な通貨制度は新興国の信用創造力を世界経済の拡大にダイレクトに反映できるシステムに代わるのでは無いか。

■ 新な基軸通貨制度の模索 ■

元がIMFのSDRに組み込まれる事が決定していますが、イギリスがだいぶ裏で糸を引いた感じがします。

次なる金融危機でドル基軸体制は大きく揺らぐと思われますが、新な通貨制度への準備は着実に進んでいるのでよう。

■ ドルや連邦準備制度は秘密裏に準備された ■

ドルを生み出した「連邦準備制度」は12人の秘密会議で決定され、米議会のクリスマス休暇を利用して1913年12月23日に買収した議員のみで採決されます。(95名の下院議員と32名の上院議員が不在)。

アメリカの議員にはリバタリアン的な勢力も多く、中央集権的な「中央銀行」という制度に抵抗が強かった事も事実ですが、ドルはその成り立ちからして「怪しさ」が付きまとう通貨です。

■ 「政府紙幣」となった中央銀行券と信用の限界 ■

FRBのバランスシートの88%が米国債ですから、「ドル=小口の米国債」と言っても過言ではありません。尤も異次元緩和によって日銀のバランスシートの60%以上が日本国債になっていますから50歩100歩です。ドルも円も既に政府紙幣と何ら変わらないのです。



まだ、国債に金利が存在するだけドルの方がマシとも言えます。円は事実上ゼロ金利でファイナスされる日本国債の小口化したものですから・・・これって「無価値の紙切れ」と化しています。

円はゼロ金利でファイナンスされる日本国債を小口化された物ですから、事実上「政府通貨」になったとも言えます。

それでも円が為替市場で暴落しないのは、はっきり言って危機が起きるまでは市場参加者も「通貨の価値」や「信用」なんて意識すらしないからです。

商品として値が付くうちは「円」も「ドル」も立派な投資の対象です。ただ、一たび大きな危機が訪れると、事態は一変します。

私達は2年以内に現在の異次元緩和の結末を見られるのかも知れません。