■ 豊洲とオリンピックで「目くらまし」されたTPP ■
今期国会は第二次補正予算やTPPなど国民の生活や日本の経済に大きな影響の在る法案が審議される重要な国会ですが、豊洲とオリンピック問題ですっかり国民の目が逸らされてしまっていますね。
■ 豊洲の地下水を1日2リットル70年間も誰が飲むのか? ■
ところで豊洲の地下水から「基準値を上回るベンゼンとヒ素を検出」と又メディアが大騒ぎしています。ベンゼンは基準値の1.4倍。ヒ素は1.9倍。これをして「ウワー、豊洲危険だぁー」と思っちゃった人は「自分で調べる事をしない人」か「科学的思考、あるいは合理的思考」が苦手な人かも知れません。
そもそも「土壌汚染対策法」の求める地下水の基準は、地下水を飲用する為の基準と同等で「70年間、1日2Lの地下水を飲用することを想定」して定められています。
豊洲の地下水、飲む人居ます?居ませんよね。豊洲の帯水層はもっと汚染が残っているものと思っていましたが、高いコストを掛けて徹底的に汚染が取り除かれている。豊洲を超える汚染の井戸(地下水)などそこら中に在る。(法的には飲用には使えません)
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■ 環境基準を厳しくすると、業界が焼け太りするのは原発と同様 ■
「1msv/年の放射線も危険」「事故時は20mSv/年に抑える」とする事で、原発の建設コストや事故時の対策コストは跳ね上がります。これ、一見国民を守る基準の様に見えて、実は原発関連や除染業者の利益が拡大するだけ。厳しすぎる基準は「業者が焼け太り」するのです。
同様の事が豊洲でも起きています。「土壌汚染対策法」の地下水に対する基準は明らかに厳し過ぎますが、これは地下水脈が周辺地域と接している為に、周辺の飲用地下水に汚染を拡大しない為の規制です。
一方、豊洲は鋼板を地中深くに埋め込んで帯水層を隔離してあると思われますし、仮に帯水層が周辺と接していても、豊洲周辺に既に飲用井戸など在りませんから、「1日2リットルの地下水を70年間も飲む」人は豊洲周辺には居ません。
本来は「土壌汚染対策法」の地下水の環境基準は、周辺の地下水環境とその利用状況に応じてカテゴリー分けされていても良い、あるいは地下水が盛土に接しない場合の基準があっても良いのですが、一番厳しい基準が採用されてリスクを最小限にしている。だから業界はウホウホですが、工場跡地の民間開発を妨げる事でマイナスにもなる。
■ 地下水管理システムが稼働すれば問題は無くなる ■
10月中旬から地下水管理システムを稼働させるそうだから、これで地下水が盛土に接する事も無くなります。これで幕引きというのが小池氏のターゲットだと思います。
「建物地下に盛土が無い」と大騒ぎしていた小池氏が引っ張り出して来た専門家委員会の平田座長も一転して
「一時的な上昇で判断するのではなく、今後の推移を見守るべきだ」「土壌汚染を浄化した場合、地下水の中の汚染物質の濃度が変動しながら低下していくことはよくある現象だ。一時的な上昇で判断するのではなく、今後の推移を見守るべきだ」「豊洲市場の地下水は飲用に供することはなく、人体の健康に影響するものではない」と発言して「火消し」に必死の様です。
多分、国会でTPPの批准が可決されれば、豊洲問題はマスコミでもフェードアウトしてゆくハズ。
■ ベンゼンなんて一家に一瓶はあった ■
ところで発がん性が指摘されるベンゼンですが、小学校の頃のカイロは石綿にベンゼンを染込ませて火を着けるというものでした。洋服のシミ抜きもベンゼンだった。だいたい、どの家にもあったと思うのですが。
これ「ベンジン」とのご指摘を頂きました。訂正します。
ちなみに、車の排ガスなどからもベンゼンは発生します。市場内が外気に触れている築地のベンゼン濃度(室内)は豊洲の2倍。尤も、環境基準以下なので問題は在りません。
■ 築地は「汚い」 ■
現在の築地の問題は衛生問題。生鮮食料品を扱う日本の代表的市場の衛生管理が全くされていない。外気は遮断されず、ネズミが走り周り、ゴキビリもウジャウジャ。建物は老朽化して雨漏りもする。
豊洲と築地、合理的に判断すればどちらが良いかは一目瞭然。
■ 豊洲の地下水で騒ぐ人は、水道水は飲めないでしょう ■
そもそも、「豊洲の地下水がーー」なんて騒ぐ人は水道水なんて飲めません。東京東部の取水場は金町に在りますが、ここの江戸川の水を見たらビビります。透明度なんて30cmも無い。当然、上流域の生活排水がジャンジャン流れ込んでいる水。トイレの排水だって下水処理された後は川に戻されています。
「上流の下水は下流の水源」なのです。しかし、現在は下水は高度処理されて放流され、上水道も場高度浄水されているので、東京の水道水は下手なボトル入りのミネラルウォーターより安全です。
http://www.21water.jp/jittai/rikainotame/rikaw-2.pdf
「上流の下水処理水は下流の水道水源 」より
私は浦安の水道水、家庭用浄水器を通してゴクゴク飲んでます。江戸川と印旛沼の下水混じりの水ですが、下手なボトル入りの水より安全。
■ 山で清水を飲む・・・なんて危ない行為はしてませんよね・・・ ■
人間はイメージに左右され易い。例えば、山登りをしていて、清水が岩を伝って流れ落ちていたとします。思わず手ですくって「美味しし!!」なんて女子力をアピールしちゃう山ガールって結構居そうですよね。そのとき、耳元に掛かる髪の毛を、そっとかき上げてくれたりすると同行の男子はハート鷲掴みされちゃうんですけど。
「ちょっと待ったぁーーーー!!。
その水、本当に安全ですか?」
山の表層水は何が入っているか分かりません。上流でネズミがウンコしてたかも知れません。ウサギの死体が転がっているかも知れません。そもそも山の表面は微生物も含めれば「生き物」で覆われています。
山で飲んで良いのは地下から湧き出している「湧水」。それでも安全の為には一度煮沸が原則です。環境基準を満たしている水(だいたい検査表が貼られていたりする)は生で飲んでも大丈夫かも知れません。
いずれにしても、現在の上水道は安全です。昔は井戸水などが多かったので、旅行先や転勤先で「水に当たる」なんて時代もあったのですが。
豊洲問題から話がだいぶ脱線してしまいましたが、人間は「科学的数字の意味」よりも「イメージ」を優先する傾向が高い。それを政治利用されると・・・。