■ ピケティの『21世紀の資本論』 ■
私も未読なのですが、今話題のピケティの『21世紀の資本論』。
「資本収益率が産出と所得の成長率を上回るとき、資本主義は自動的に、恣意(しい)的で持続不可能な格差を生み出す」・・こんな要約になるようです。
もう少し分かり易く言うと、「汗水たらして働くよりも投資をした方が儲かる」という事になります。当然、資本は実体経済に投資されるよりも、金融市場などで運用される機会が多くなります。
日本はバブル崩壊から一貫してこの状態が継続しており格差が拡大しています。
現代において「資本家VS国民」という従来の構図はどうやら成り立たず「資本家VS国家」という図式に変わりつつある様です。この資本家の中には、資産を多く保有する老人達も含まれるでしょう。
■ 国家を支配する資本家 ■
資本家はロビー活動で国家を支配し、税金の減免を獲得したり、さまざまな優遇処置を得ようと動きます。経団連などの活動がこれに相当します。これによって企業は利益を拡大しますが、収益を海外に保留したり、タックスブンに隠す事で正統な対価を国家に払いません。そのツケは税金として国民に回されるので、消費税増税が必要となります。
一方、国家は国民の代表でもあるので、安倍政権の様に企業の収益を労働者に還元する様に圧力も掛けたりもします。(普通では有りませんが・・・)
ただ、これも度を過ぎると、企業は人件費の増加を嫌って正社員を削減したり、あるいは海外に生産拠点を移転します。既に日本の大企業の株式の多くは、海外の投資家が握っているので、日産を例に取るまでも無く、本社の海外移転を検討すると政府を脅したりします。
■ 政治資金で政治を買収する資本家 ■
政府は企業と国民の板挟み状態にあるのですが、ここで政治とお金の問題が頭をもたげて来ます。政治にはお金が掛かるので、政治家は政治資金を提供する企業(資本家)の要求を受け入れます。一方で政権を維持する為には国民の支持が必要なので、財政を拡大して国民の人気取りをします。
■ 資本家で有り、最大の有権者である老人 ■
そして、日本における最大の資本家は老人達で、さらに彼らは最大の有権者でもあります。ここに日本の経済成長を阻害する最大の問題が潜んでいると思われます。
この構造を破壊するには・・・インフレも一つの手段ですが、企業の労働分配率が低下している現代の日本では、同時に多くの若者の生活がインフレによって苦しくなっています。これが実質賃金の低下として現れます。
あまり「世代間格差」の問題を煽ると、自分達に跳ね返って来るのですが・・・どこかで是正しなければ、日本の成長率は低空飛行を続け、出生率も低いままで、日本はどんどん衰退し続けます。
手っ取り早いのがガラガラポンですが、その場合は暴落した日本企業の株を外資が買い漁り、今よりも悪い状況に陥りそうです・・・。