■ ゆうちょ銀行と日本郵政の上場が今年の注目点 ■
世界の資本主義が色々と行き詰りを見せている中で、「中心」であるアメリカが「周辺」である日本から富を吸い上げるやり方も露骨になっています。
「異次元緩和」には色々な目的が有ります。
・財政ファイナンス・・・財務省の目的
・円安・・・安倍政権と経団連の目的
・円安による日米実質金利差の拡大・・・アメリカの目的
・日本の金融機関の資金を日本国債から切り離す・・・アメリカの目的
こう考えた場合、日本国債の最大の保有者である「年金」と「ゆうちょ」の資金をいかに「日本国債から切り離す」かは重要な課題になります。「年金」はGPIFの運用枠の変更が実現して米国債に数兆円が流れるはずです。
問題は「ゆうちょ銀行」の176兆円の資金です。
「ゆうちょ銀行」は独自の運用ノウハウを持っていませんので、民営化した所で「巨大な不良銀行」が出来上がるだけです。特に日本国債の金利が極端に低下して「マイナス」になる事態が発生している状況では預金金利との逆ザヤが拡大します。そこで、日本国債よりも金利が高くて安定した投資先として「米国債」に資金の多くを移す事になります。
「ゆうちょ銀行」の民営化は小泉改革の目玉でしたが、小沢一郎が民主党政権時代にストップを掛けました。安倍政権は小泉政権に酷似しているので、「ゆうちょ」の民営化をとうとう実現するでしょう。
本来、「ゆうちょ銀行」は日本国債の安定需給に欠かせない存在でしたが、「異次元緩和」で日銀がその役を担うようになったので、ゆうちょ資金は安心して?アメリカに流出させる事が可能になりました。
■ 「ゆうちょ」株が第二の「NTT株」になるのか? ■
「日本郵政」と「ゆうちょ銀行」の株式上場が今年の日本の株式市場のメインイベントです。公共大型株の公開としては「NTT株」の上場が有りましたが、「NTT株」の上場をピークに先の大バブルは崩壊しています。
現在の日本株式市場がバブル状態であるならば「ゆうちょ株」上場を契機に株価が暴落する可能性も有り得るかも知れません。逆に言えば、それまでは何が何でも日銀とGPIFが株高を維持するとも考えられます。
「ゆうちょ銀行」や「日本郵政」株が上場後大きく値下がりすれば、その時は外国人投資家の出番となるかも知れません。底値で買い漁って、「ゆうちょ銀行」の経営に影響を及ぼす可能性も有ります。
財務省としては「金融機関」に「ゆうちょ銀行」の株を持たせたい所ですが・・・はたして・・・。
アメリカの年末の株安を受けて2015年は値下がりから始まった日経平均株価ですが、後場で日銀マネーの流入があったのか、42円安で引けています。
今年前半は外国人投資家が高値で利確し、それを日銀やGPIFが買うという展開が続くのでしょう。「ゆうちょ株」公開までは外国人投資家も安心して売り抜けられる・・・。
こうして「周辺」である日本のお金は少しずつ「中心」へと吸い上げられていくのです。
個人としてはこの流れに上手く乗れば儲かりますが、結果的に日本の富が失われます。「合成の誤謬」はこんな所にも存在する様です。