■ ソフトバンクとディッシュを秤に掛けるスプリント・ネクステル ■
米国第三位の携帯電話会社、スプリント・ネクステルの買収問題が揉めています。
ソフトバンクが買収する事で大方決着た付いていた所に、米衛星電話会社のディッシュが横槍を入れて来ました。ディッシュは衛星電話会社からスタートし、買収を繰り返して成長してきた会社で、ソフトバンクは鏡に映る己の姿を戦っている様に見えます。
拡大路線でしか会社の継続が不可能と思われるソフトバンクですが、ディッシュもどうして、この買収に失敗したら事業売却する意向の様です。
一見排水の陣の２社に見えますが、実は本質の所で大分相違があるかと思われます。
■ 買収費用が円安で跳ね上がってしまった・・・と思ったら ■
ソフトバンクにすれば円安は大きな誤算でしょう。円が３割も切り下がってしまったのですから、国内で資金調達をしたら、買収費用は３割増しになっています。・・・・と思って調べたら、ソフトバンクは昨年の内に、買収資金全額を為替予約していたそうです。
買収資金とは言え、為替差益が２０００億円も出てるとか・・・。
スプリント・ネクステルの買収をネタに、チャッカリ社債の大量発行も成功させています。
■ 中国のHuawei(華為技術/ファーウェイ)がアメリカから撤退 ■
ソフトバンクは世界最大の通信会社、中国のHuawei(華為技術/ファーウェイ)のサーバー機器などを導入していますが、アメリカ司法省は、Huaweiの通信機器にスパイ容疑がある事から、米連邦通信委員会（FCC）に買収審査を保留する様に働き掛けていました。
これは実際のスパイ容疑がある訳では無く、単に言いがかりを付けてアメリカ市場から撤退させるというアメリカらしい自国製品保護政策なのだと思いますが、Huaweiもとうとうアメリカ市場から撤退する事を表明しています。
これでソフトバンクのスプリント買収の障壁は一つ消えたとも言えます。
■ ディッシュと両天秤に掛けるスプリント ■
ディッシュはスプリントにソフトバンクより高い買収額を提示しています。条件が同一で無いので、単純に価格だけで比較は出来ないのですが、スプリントはそれに対して、先に買収を提示したソフトバンクから条項免除を受け、ディッシュ側に情報開示を始めた様です。
要は、スプリントは両社を両天秤に賭け、ソフトバンクもそれを許した事になります。
「米スプリントがソフトバンクから合意条項免除、ディッシュと買収交渉も」
（ロイター 2013.05.21）
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE94K01A20130521
■ ソフトバンクにも迷いがあるのでは ■
スプリント側の意向もあるのでしょうが、買収交渉で先行していたソフトバンクがデイュユに情報開示を許した事は注目に値します。
折しも、米国の景気後退が懸念される中で、ソフトバンクにも迷いが出ている事でしょう。
或いは、ディッシュの登場は、ソフトバンクにとっては渡りに船だったかも知れません。
一方ディッシュは、米国内の高速通信戦争に生き残る為にもスプリントが買収を進めるクリアワイアーを手に入れる必要がある様です。
■ 後は引き際の美しさをどう演出するか ■
もしソフトバンクがスプリントの買収に興味を失っているのなら、引き際をどう演出するか模索している事でしょう。
違約金などを請求されない様に、キレイに撤退したい・・・・。
ディッシュがソフトバンクよりも明らかに好条件を提示すれば、ソフトバンクは買収から撤退する事も可能です。
孫社長は、ディッシュと戦う気満々の素振りを見せながら、実は相当及び腰になっているのかも知れません。社債も発行したし、為替差益も２０００億円も稼いだし、もうイイヤって思っているかも。（チョーいい加減な憶測）
そういえば、繋がり難いと騒がれていたソフトバンクのＬＥＴですが、どうやらソフトバンクが一番繋がり易くなった様ですね。逆にａｕが嘘の記載をしていた様で攻撃されています。
派手な動きの一方で、コツコツとやるべき事はやっている・・・どうやら彼が運から見放される事は無い様です。つくずく、凄い人だと勝手に評価を改める人力でした・・・。
はじめは孫さんをオチョクッタ記事にしようかと思いましたが、結局褒めてしまいました。
恐るべき、孫正義。
＜円安の影響を受けて買収金額が３割増しになっていると思い込んで記事を書き始めたたら、なんと全額為替予約でリスクをヘッジしていたソフトバンク。孫さんって本当に強運とですね。買収が失敗しても為替差益が２０００億円出るとか・・・あっぱれ！！＞