人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

2010年世界はどうなるのか?

2010-01-04 16:11:00 | 時事/金融危機


■ 2010年、世界経済は回復するのか ■

2010年の世界の関心事は「出口戦略」でしょう。年末からさかんに2010年末にはアメリカの雇用が回復して出口戦略が始動するという楽観的観測がメディアをにぎあわせています。米経済の回復予測を好感して、ドルも93円と値を上げています。

ところで本当にアメリカ経済は回復しているのでしょうか?昨年アメリカの金融機関は史上最高益を計上するなど、著しい回復を見せています。しかし、これは政府とFRBと金融機関が結託した詐欺行為の結果に過ぎません。

1)政府が大量の救済資金を投入
2)FRBがほぼ無利子の資金を湯水の如く供給
3)FRBが無価値になった住宅債券(MBS)を買い上げる
4)AIGに資本注入して、CDSによる損失を補填する
5)ストレステストでレベル3の債権の時価評価を中止する
6)米銀行が米国債を買い支える

アメリカの金融機関は負債を政府に肩代わりさせて、格安に供給される資金で、底値の株や原油相場を高騰させて荒稼ぎしたわけです。ツケは政府の債務として国民に回ってきます。

しかし、本来政府が救済するべきファニーメイやフレディーマックをFRBに救済させ事で政府債務を圧縮するというトリックを使い、米国債のさらなる増発を防いでいます。

全てのストレスはFRBに掛かっています。先日も書きましたが、FRBのバランスシートは肥大化し、無価値のMBSを時価評価すれば、FRBは破綻状態だとも言えます。
日本の金融危機の際、大手邦銀が不良債権を隠して国民の非難を浴びましたが、現在のアメリカは国家ぐるみで不良債権を隠しています。

■ 借金は地道に返済するか、踏み倒すしか無い ■

日本人の価値観では借金は地道に稼いで返済するものです。日本はバブルの負債を20年掛けて返済し続けています。

では、アメリカが日本同様失われた10年を選択するでしょうか?今後10年間、アメリカの成長率は年率2%という予測がロイターにアップされていましたが、はたしてアメリカ人が低成長と高失業の10年に耐えられるでしょうか?現状のアメリカ社会は下記の理由によって、経済回復力を失っています。

1)アメリカ経済は内需中心の消費型経済である
2)農業や航空機、軍備以外に競争力のある輸出品が無く、貿易赤字が定常的である
3)消費の為の資金は、海外からの投資と、国債によって賄われれていた
4)投資はインチキ金融商品に対して行われていたが、既にこの市場は崩壊している
5)国債は日本と中国に買い支えられていたが、現在は両国とも積極的に購入はしない
6)国内産業がサービス業主体なので、純粋に富を生み出せない
7)GMなど製造業の回復が見込めず、高失業率が定常化しつつある
8)個人が借金体質で、失業=不良債権の増大 を意味する
9)商業不動産市場は崩壊過程であり、今後より多くの損失と中小銀行破綻を生む
10) 中小企業のファイナンスを引き受けていた中小銀行の破綻で中小企業が倒産する

FRBは輪転機を盛大に回してドルをジャブジャブ供給していますが、日本の失われた10年同様、ドルはキャリートレード用通貨として海外で運用され、効率的にアメリカ国内で循環していません。庶民の手元にドルが回って来ないのですから、購買力が回復するはずはありません。

■ 米中詐欺連合 ■

結局、バーナンキFRB議長がいくら出口戦略を口にしても、現在のアメリカの購買力ではインフル圧力が生じる事はありません。インフレ圧力が生じる時は、アメリカ国債の発行が限界を超えて、世界がアメリカから逃げ出す時か、中国がドルぺックを外してドルが暴落する時です。

実はアメリカと中国は詐欺連合です。

1)中国は輸出競争力を確保する為に元をドルに安くぺックしてい
2)ドルぺックの為に、中国は大量の元を「勝手にジャンジャン印刷」している
3)贋金に等しい元で、これまた贋金に等しいドルを大量に購入
4)手元に溜まったドルで資源や海外資産を買い漁る

ドルも元も経済の常識は遥かに逸脱した通貨となっています。勝手に増刷される通貨で世界は買い占められています。この事実に何故世界は目をつぶっているのでしょうか?

さらにドバイショックで政治圧力に屈した日銀の金融緩和政策は、ドルや元という偽札を円に換金する事で、日本の国内に襲い掛かってきています。池田信夫氏は、「金融緩和の経済効果が現れて、日本の資産価格が向上した」と書いていますが、資産を買い込んでいるのは低利の円を手に入れた、ファンドや投資銀行や中国企業です。これは日本の投売りに等しい行為です。その事を認識しているからこそ白川総裁は金融緩和に消極的だったのでしょう。

■ 富の流出 ■

現在の日本の選択肢は二つあります。

1)デフレをあえて受け入れ、マイナス成長の社会設計をるす
2)外資を呼び込み日本の富を切り売りして経済成長を達成する

80年代のアメリカは「切り売り」戦略を採りました。ロックフェラービルもCBSも日本企業が買占めました。しかし、バブルの崩壊で結果的に多くの資産を日本企業は手放し、資金をアメリカに貢いだだけに終わりました。


アメリカも中国も現状の贋金バブルを持続する事は不可能です。ドルがコケても、元がコケても、アメリカと中国は共倒れになります。この過程で彼らは買い占めた日本の資産が安価で日本の手元に戻って来る可能性が大です。

但し、アメリカと中国の同時崩壊は世界経済の崩壊と同義ですので、結局この手は自分で自分の首を絞める結果となります。尤も、アメリカと中国の崩壊が不可避であるならば、一過性にせよ景気回復には繋がります。

■ デフレを止めなければ財政が破綻する日本 ■

アメリカや中国は経済基盤が歪んでいるので、一度インフルに突入すれば手が付けられなくなります。ですからFRBも出口戦略を意識させてインフレを牽制します。

しかし、日本は現状デフレを長期に続けています。多少のインフレが制御不能のハイパーインフレに転じる可能性は高くはありません。むしろデフレによる経済の縮小が税収の落ち込みを招き、財政を悪化させます。

日本はバブルの後遺症が強すぎて、東京の再開発も中途半端な状態です。東京には築30年を越える木造家屋が密集して防災的にも脆弱な地域が沢山あります。現状のままではこれらの地域は、小規模な無秩序な開発しか行われず、下町の景観は結局のところ失われてしまいます。

世界の大都市の中で東京は集積率が低い都市です。ロサンゼルスも似た様な街ですが、これは自動車会社と石油会社の陰謀でしょう。集積率を低くして車とガソリンを使わせる街作りをした結果です。東京は鉄道網も発達していますし、集積率を上げて効率的な都市作りをすべき都市です。良質な賃貸物件が沢山供給されれば、通勤時間は飛躍的に短縮できます。増えた余暇は、リフレッシュや勉強の時間に充てれば労働生産性の向上の繋がりますし、消費の拡大にも繋がります。

何よりも、集中こそがエネルギー消費を著しく低下させます。地方に居住する人は都心の人の5倍以上のエネルギーを消費します。集中こそが都市の魅力であり、文化を生み出す原動力になります。

■ 新しい開発 ■

千葉や埼玉はいずれにしてもこのままいけば老人の街は確定です。昭和40年代に建てらて労築化している公団住宅の居住者はほとんど老人です。これらの地域も新しい社会を構築して行かなければ、限界集落化してゆきます。新しい東京とその周辺地域の再開発はセットで考えるべきです。東京という新しい都市生活者に魅力的な社会資本を提供する事で、東京の周辺地域も共存する事が出来ます。

かつて切りつくされたドイツのシュバルツバルトの森が再生した様に、里山や田園の風景の再生も可能でしょう。どんなに世界がグローバル化しても私達が日本人で在り続ける為には、日本の原風景が必要です。

再生された自然が偽物かというとそうではありません。富士の青木ヶ原樹海は千年前は溶岩の荒野でした。そこに自然が再生したのです。

東京では生産性を高める公共工事が必要ですが、地方や東京周辺では、あえて生産性の低い公共投資があっても良いかと思います。50年後、100年後の景観を思い描きながら、ゆっくりと進行する公共事業・・・要は野良仕事ですけど・・・ただ生活保護で生活するよりは、社会的にも有意義では・・・。


・・・あれ、随分脱線してしまいました。
2010年、世界はどうなるのでしょう?
まあ、神のみぞ知るですね。