WIND AND SOUND

日々雑感 季節の風と音… by TAKAMI

macotoさんとの建築巡り春爛漫ツアー 後編

2018-04-02 | アーティスト魂






この日は、本当にお天気がよくて、お昼に「わら家」でたらいうどんを食べたら汗ばんでしまい、みんな着てきた上着を車の中に脱ぎ捨てて、四国村探訪となったのです。

「四国村ギャラリー」を堪能してから、私たちはさらに坂道を上へ。

そこには満開のチューリップと、灯台、そして灯台退休所(宿舎)。イギリスの「灯台の父」といわれる、ブラントン技師の設計によるものだとか。







photo by macoto



ここでは「はめ殺し」窓のお勉強。
そしてこの洋館、天井だけは和風。
西洋の建築のこと、殆ど何もしらない日本の大工さんが作る洋館、、、、これもまた、驚きや困惑、そして感動の連続であったことであろう、、、、







photo by macoto




photo by macoto




この場所が四国村のいちばん高いところで、ここから、なだらかに下りながら歩きます。
途中、満開の桜や、これから咲く桜に出会い、気分はハイキング。









そ土地の風土や生活スタイルから生まれた建築、どれも個性豊かで、しかも職人さんの技のすごさと心意気が伝わってきます。

四国村だけでなく、私は、地域の博物館、郷土資料館…などを見学するのが大好きなのですが、いつも、その時代、その風土の中で生きてきた先人の知恵に感動したものでしたが、
そこで生きていく人々の住居や、仕事場を造るという仕事は、そこで生活し、働く人の命を守るということだ。




photo by macoto




photo by macoto




photo by macoto



屋根の瓦は、江戸時代後期に普及したそうです。江戸の火災から家を守るため、また、戦争の戦術の変化に伴い、城を守るため…
こうして、命を守るために建築も進化をし続け、今日は、地震、津波から人を守るための、耐震の対策が国や自治体で進められています。
耐震補強ができない場合は、冒頭に挙げた「船の体育館」のように、使用できなくなり、解体となってしまう。

そして、今日は、ほとんどの住宅が「プレハブ」。これは prefabricationが語源。
あらかじめ部材を工場で生産・加工し、建築現場で加工を行わず組み立てる建築工法で、
使用する建材や、設置に要する時間的なロスを徹底的に軽減できることが長所である反面、規格化され融通が利かない構造や、耐久性の低さが短所とのこと。
もはや、「家」も消耗品の時代に、、、、
これが進化の行き着く到達点?


建築とは、本来こういうものではないのだとmacotoさんは熱く語ります。
「プレハブ」は建築とは認められないと。

四国村に集められ、復元された住宅や蔵、作業場などは、それぞれの時代の建築士の知恵と技を結集したもので、風雪に耐え、移築してなおその尊厳が輝いているように感じます。

曲がった木をそのまま梁に使うこと、そのたわみを経験と勘によって導き出すこと。
それらは、物理の計算によってコンピューターに答えを求める現代の建築技術者にとっては、神業のようで、きっとコワくでできないのでは…などと思う、、、
もしも間違って、もしものことがあったら…とか思うじゃないの。


macotoさんは、千利休の茶室についてもたくさん懇々と語り聞かせてくださいました。
なんで、そんなことまで知っとんじゃ~~~!!
というくらいに、建築の世界は無限に広くて奥が深いものなのだ…と、改めて感じました。



photo by macoto




photo by macoto




photo by macoto




photo by macoto







ところでmacotoさんは、CIDP という末梢神経の難病を患っています。以前にも拙ブログでご紹介させていただきました。

四国村を後にし、カフェで暫しくつろいだ後、macotoさんをご自宅までお送りしている折に、この病気についての経緯を、改めていろいろと伺いました。

一般的にはいったん罹ったら、「寛解」と「再発」を繰り返し、完治することはないのだとか。
macotoさんは発症してから2年もの間、激痛と闘い、歩くことも手を動かすこともできず、心砕かれた…という話は、想像に余りあります。
それでも、治療によって、痛みが軽減したら、リハビリに励み、これまた、想像を絶する努力をされたのだとお察しします。
現在のmacotoさんは、「寛解」の時期とのことで、両四肢は痺れはあるものの、日常生活も仕事も普通にできるようにまでなっていらっしゃいます。
このように健常者と何ら変わらないほどになる人は、この病気の患者さん全体の4%しかいないとのこと。
それでも、このまま回復に向かい完治することはなく、あくまでも「寛解」なのだと医師の先生は仰るのだとか。
まあ、それもしょうがないです。医師とは、次の思わしくなくなった場合に備えて、次の治療法を準備しておく、、それが使命のようなものなのだから。元気なときには不要。
安易に「もうここまできたら大丈夫」とは絶対に言えない。
macotoさんが四国村を歩き回る姿は、病気とか、障碍者とは全く思えず、この広い四国村をこんなに颯爽と歩いているのに、いつか再発するなんて信じられません。
いや、信じていません。
macotoさんは、このまま再発せずこれからも颯爽と歩き回る奇跡の人です。


「偶然」も「奇跡」も、表には現れずに常に働いている神さまの業…




photo by macoto







さーーーーて。

息子との生活もあと1日となりました。
自分の羽ではばたこうとしている息子をそっと見守るつもり。




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macotoさんとの建築巡り春爛漫ツアー 前編(追加画像あり)

2018-04-02 | アーティスト魂





3月28日。

息子が建設専門学校に進学するにあたって、一級建築士であり、私の音楽パートナーの、SYO Michael STUDIOの設計者であり、息子の進学する専門のOBであり、このたび息子の先輩となったmacotoさんに、
この機会に、建築について語りつつ、高松の建築を巡るツアーにご案内してほしいと厚かましくお願いしておりました。
SYOさんには運転係としてお付き合いいただきました。

汗ばむほどの陽気で、とっても素晴らしい1日となりました。

どど~~~んと、じっくりと、長々と書きますので、ご興味のある方はお付き合いください。
そうでない方は画像のみご覧いただいて文章はスルーで結構ですので(^_^;)


macotoさんが計画してくださったコースは、



船の体育館(前香川県立体育館)
   ↓
船の体育館展(田町商店街のギャラリー)
   ↓
香川県庁舎東館(車で通過のみ)
   ↓
わらやで昼食(うどん店)
   ↓
四国村



香川の代表的な建物といえば、丹下健三氏による「香川県庁(現在の東館)」と、「船の体育館(旧香川県立体育館)」
これは、小学校の頃から、ナニゲに授業中にインプットされてきました。








特に船の体育館は、今でこそコンピューターの3Dの技術でかなり簡単にできるようになったけれど、1960年初頭に、これをアナログの技術で建設したとは、
どれほどのハードルを乗り越えてきたことか…なんて、これまで現実的に考えてみたこともありませんでした。
いやもうそれ以前に、この建物を、県が…というか、当時の金子知事が「ゼヒに」と、このような流れも、今では考えられない。
高度成長期前期の香川には、こんなにパワーがあったのだなあ…と、ここも感慨深いポイント。

今この体育館は、耐震構造の観点から危険であるとのことで閉鎖となっており、さらに取り壊される方向とのこと。
しかし、建築家やその周辺の方々から、保存を強く求める動きがあり、団体も発足しています。
「どうやって残して保存していくか」についても、いろんな議論があるようで、とても興味深かった。

船の体育館展は、田町商店街の小さなギャラリーで地味に開催されていましたが、
macotoさんと、スタップの方がたは、熱く語り合っていました。




私は、この建造物をを「使えないけど保存する」のではなく、ここを有効利用して市民の活動の場にできるような方向希望。でもそれにもいろんな高いハードルがあります。


私達の世代にはお馴染みの「香川県庁舎東館」も、工事中でした。
耐震対策のため、古い建造物が次々と改修工事中の模様。



ところで、「船の体育館展」に行く前に、macotoさんが若かりし頃、設計に携わった田町のビルに案内して下さいました。
コンクリート打ちっぱなしで、安藤忠雄氏の影響強し、ここまでやるかというほど模倣したのだと説明して下さいました。
そこは、なんと、鈴木一也さんが住んでいらしたマンションでした。1~2Fにはテナントが入っています。
彼が癌で亡くなる前の1年足らずの間、ヴォーカルのレッスンや、キリスト教の洗礼式、引越しの手伝い…などに深く関わり、
お母さまとご一緒にお住まいだったこのマンションの彼の部屋にも、何度か行きました。
エレベーターが旧式な感じで、古いマンションだとわかるけど、デザインがすごく新鮮な感じで、素敵なマンションだなあ…と思っていたら、macotoさんの設計によるものだったとは!

これって偶然? …いえずっと前からもはや偶然とは思っていません。macotoさんとの出会いは。


さて、午前の部、終了。

これから「四国村」に向かいます。


まずは「わら家」(これも藁葺きの古民家を改装した手打ちうどん店)で腹ごしらえ。
4人で「家族うどん」という、鮨桶のようなたらいに入ったうどんを4人で食べました。



そして、いよいよ「四国村散策。


四国民家博物館は源平の古戦場として知られる屋島山麓の地に、四国各地から古い民家を移築復原した野外博物館です。
昭和51年に開設して以来、社会教育の場また観光スポットとして、「四国村」の愛称で多くの方々に親しまれてきました。
自然あふれる約50,000m2の敷地には、江戸∼大正期にかけての地方色豊かな建物が配置されており、当時の生活の様子がうかがえるよう、たくさんの民具も展示されています。

平成14年に新設した安藤忠雄氏設計「四国村ギャラリー」では、絵画や彫刻、オリエントの美術品などを展示し、四国村の新たな一面を見ることができます。
(四国村ウェブサイトより)



四国村には、子供の頃から何度か訪れたことがあります。
でも、こんなに広いことも知らなかったし、安藤忠雄氏の設計による「四国村ギャラリー」があることも知らなかった。
私が観たことがあるのは入り口付近のほんのちょっとの、徒歩40分圏内ぐらいのところだけだったのでした。



さあ、ここから、macotoさんのガイドツアー\(^o^)/











小豆島 農村歌舞伎舞台 photo by macoto


macotoさんのカメラが急に電池が切れてしまい、これは私のスマホでmacotoさんに撮っていただいたもの。美しい~~~~!!!





丸亀藩斥候番所




なまこ壁。
瓦を壁に張り付け、隙間を漆喰を盛り上がったように塗り固めたもの。
雨風に強く、海辺の蔵などにみられる。



photo by macoto



そしてこれがmacotoさんの撮影による同じ場所。撮影したのは数年前とのことなのですが。
こうやって比べると、私がいかにへっぽこかよ~~くわかります。
「なまこ壁」を撮っているのに、私は桜も木の緑も、屋根瓦の影も入れようとして、結果つまんない写真になってしまっています。
この後にもmacotoさん撮影による四国村の画像をお貸し頂いたので、追加アップします\(^o^)/ 






旧河野家住宅


柱や梁、その他木造住宅の基本についてのお勉強。
「ラーメン構造」の基本中の基本。
もっと沢山画像撮ればよかったと大変後悔しています。
住宅や、砂糖しめ小屋、醤油蔵…などなど、それぞれの目的のための「建築」について、macotoさんの熱い解説が続く、、、



じっくりゆっくりと解説していただきつつ歩いたのに、話に夢中になり、写真を撮りそびれまくって、大変残念。


次の画像は、もう「四国村ギャラリー」の庭です(泣)

…と書いてアップした翌日にmacotoさんから写真、いただきました\(^o^)/



「四国村ギャラリー」の設計は安藤忠雄氏。
四国村創設者の加藤達雄が収集した美術品を展示する美術館として、2002年に開館したとのこと。
こんなんあるなんて、全然知らなかった。

そもそも「安藤忠雄」という建築家を知ったのは、瀬戸芸が始まってからでした。

macotoさんによると、安藤忠雄氏の建築の特色は、

住む人や訪れる人が、光や水や風を感じられるように、
雨が降ったら濡れる、風が吹けば気持いい、肌寒い、「しばれる」…
そして、建物の随所にスリットがあり、光を室内に取り入れる
コンクリート打ちっぱなし、ボルトの穴も埋めずにそのまま、角はぴしっと直角
動線はわざと長い



などなど…(私ちゃんと理解できてるかな? ちゃんとみなさまに伝わってるかな~~)



photo by macoto




photo by macoto




photo by macoto




四国村ギャラリーもまさにそんな感じ。


そして、一昨年、瀬戸芸で安藤忠雄氏設計の「地中美術館」に行ったときにも、正にそれを感じました。


角は直角に決まってるだろ~って思ったあなたのおうちの角や、家具の角、ぴしっと直角でしょうか?
ま~るくなってたり、ちょっと削ってあったりしてませんか?

最初にmacotoさんが案内してくださった若かりし頃に設計に携わったというビルも同じ特徴で、「なるほどぉ~~」と、大きく頷く。



ギャラリーの入り口は、狭く、小ぢんまりとしていて、小さなギャラリーのようで、あまり期待感なし。
展示されている美術品も、さほど多くなく、興味のない人なら、ささっと10分もあれば見て回れます。
でも山の斜面を利用したこのギャラリーは、作品を鑑賞したあとにも屋外に通じる廊下があって、ちょっとした迷路のようです。
そして、屋外の庭がこれ。














屋外に出たとたん、高松市郊外の風景、三木町の山々が見渡せます。
最後までこの素晴らしい景観を覆い隠し、いきなりのサプライズ。これまた画像がない( ̄□ ̄;)!!

…ところをmacotoさんにフォローしていただきました\(^o^)/
こういうところも安藤氏の特色なのだとか。



photo by macoto




photo by macoto











深い縁と絆でガッチリと結ばれている3人。



四国村はこのギャラリーで終わりではありません。
まだまだ続く。


Comments (2)
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