ルーヴルにはドノン翼とリシュリー翼の他に、クール・カレ(方形広場)を囲むシュリー翼がある。
そのシュリー翼の三階にもフランス絵画が展示されてい、数は多くないが名前に馴染のある画家の面白い作品も架る。
リシュリーに加えシュリーまで、手を広げれば限(きり)がないが、少し回ってみることにする。
18世紀ルイ15世統治下のフランスを中心に欧州各地を席巻したとされるロココ様式。
ロカイユ・貝殻装飾を語源とするそのスタイルは、彼から始まるともされるアントワーヌ・ヴァトー(1684-1721)。
まずは、その彼の 「ピエロ(ジル)」(左)から。
ちなみに、イタリア喜劇では、ピエロ役を務める者を ジル・Gilles と呼ぶのだそうだが、そのモデルは、当時ピエロ役で名を馳せた喜劇役者のベローニだと考えられているらしい。
ルーヴルのHPを借りると、“ モニュメンタルな存在感がある彼の作品の中にあって、例外的なこの物思いに耽った詩的なピエロは、ベローニが開いたカフェの看板だったともされている ” とある。
また、“ ピエロの端正な顔立ち、長い腕と奇妙な衣装、背景の道化の象徴のロバや笑う喜劇役者などがこの絵に謎めいた性格を、重苦しいほど身じろぎ一つしないモデルとわずかに仰視のフレーミングが、ドラマティックな力強さを与えている ” とあって頷かされる。
ところで、ここにはヴァトーの 「パリスの審判」(右)も架る。
描かれているヴィーナスや犬が、ルーベンス(1577-1640/フランドル/バロック)の 「パリスの審判」(ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵)に似ているため、その関係性が指摘されているらしい。
では、パリスがジャッジメントしたものとは? その解は、<ルーベンス>の稿に詳しいのでご参考に。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1037
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