※ 続・ローマとナポリにバロックの奇才を訪ねる旅 (15)
ローマの七つの丘のひとつ、クイリナーレの丘はバルベニーニ宮・国立古典絵画館にいる。
盛期ルネッサンスの若き巨匠ラファエロ(1483-1520)の傑作 「<ラ・フォルナリーナ>」がここにある。
いきなり話がそれたが、聊か殺風景な展示室にカラヴァッジョ(1573-1610)の 「ホロフェルネスの首を切るユディト」(1599年頃)が架っている。
主題はこれまでにも、レンブラント(1606-1669)の 「<フローラに扮したサスキア>」(ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵)やクリムト(1862-1918)の 「<ユディト Ⅰ>」(ウィーン/ベルベデーレ宮蔵蔵)で書いたので重複は避ける。
が、付け加えれば、“人間の暴力性と残虐性を、画家自身が持つそれによって表現した ” のだとか。
ユディトを勇猛な姿で表現した本作、彼の 「<ゴリアテの首を持つダヴィデ>」(1610年/ボルゲーゼ美術館蔵)と同様に、斬首が、“ 悪に対するキリストの戦いを暗示するものであるという点を示した ” (カラヴァッジョ/西村書房刊)のだとされている。
フォルナリーナとユディト、時代も背景も違うけれど、女性なるもの、可憐にも勇猛にもなれるということか?
ところで、本作に見る鮮血のディテールは、「<聖女ウルスラの殉教>」(ナポリ/カポディモンテ美術館蔵)でも、暴君に矢で射られる聖女の胸から迸る鮮血を生々しく表現している。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1263
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