その蜩の塒

徒然なるままに日暮し、されど物欲は捨てられず、そのホコタテと闘う遊行日記。ある意味めんどくさいブログ。

はかぼんさん空蝉風土記

2014年01月31日 | 本・雑誌
 さだまさしは、グレープの頃から嫌いでした。嫌いというより、生理的に受け付けないと言った方が当てはまります。声質もうざっときますね。ところがBS百名山の主題歌が彼なんですよ。本を書いてるのは知らなかったのですが、この本は面白いというレビューを見て、ふと魔がさして読んでみました。6つのそれぞれ独立した短編から成ってますので、飛ばして読むこともできます。オチが見事に決まってますが、実話じゃないでしょ。

第一話~昭和のよき時代には、どこの家にも創作妖怪って存在したんですね。我が家には、「のろずけ」という鳥が夜の決まった時間に、井戸水(湧水)を飲みにやってきてたんですが、低音の鳴き声にビビってました。悪いことをすると、「のろずけ」が来るぞーと脅されたものです。鳥の正体は、ふくろうでした。ある日思い切って外に出て見たら、3mもある羽根を広げて飛んでいきました。生で見ても怖ろしかったです。

 高級ゴルフクラブ2セット分もするという「傘琴の蝉丸」という京和傘があるんですね。検索しても全然ヒットしなかったですが。戌の日と安産祈願は分かりますが、先祖へ生まれてくる子の墓を空けてくれだの、三回ダメなら養子に出すというのは、ホンマかいなと思いましたよ。

第二話~天狗になってた人間が破滅して、真人間として心を入れ替えるというストーリーに(迂闊にも)心を打たれました。昼神、夜神の符合も素晴らしい。

第三話~桃太郎の裏にそんなのがあったのかと驚き。サル、キジ、犬を連れていったのは、申、酉、戌が艮(うしとら)を封じ込める方位だったから、つまり方位除けだったということ。

第四話~「人魚の恋」これが一番よかったかな。プラトニックラブってのもいいもんですなぁ。私の高校時代を重ねて読んでました。いくらなんでも90歳が50代には見えんでしょ。

第五話~百名山も一種の行かな、と思えてきました。

第六話~「白河の清きに魚も住みかねて 元の濁りの田沼恋しき」白河藩主松平定信が、飢饉対策の腕を買われて幕府老中に抜擢され、その後寛政の改革を推し進めました。年貢の締め付けに皮肉を込めて、田沼意次時代の賄賂政治も悪くなかったよな、という狂歌。田や沼ってのはドロドロと濁っておりますので、そのかかり具合がよろしいですな。

 今回はちょっとレビューにはなってませんが、気に入った箇所を取り上げてみました。
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