今日は、阿仁マタギの必需品フクロナガサを紹介します。上中の黒いのがフクロナガサです。右上はナタと包丁。春先、朝日新聞秋田版の“秋田手業”というコラムに三回連載された時に下書きしていましたが、埋もれてしまっていました。
製作しているところは、北秋田市小又(旧森吉町)にある西根鍛冶屋。北秋田市に何軒もあった鍛冶屋も今はほとんどが廃業しています。昔はクワ、スキ、カマ、薪割り用マサカリ、ナタカマ(森林の下払い用、柄の長い大型カマ)、包丁などの農業や山仕事用の注文が多かったんです。それが機械化や量販店の安さにより需要がなくなりました。
では西根鍛冶屋がなぜ生き残っているかと言いますと、アウトドア用にナガサ類が見直されており、ネットやクチコミで広まっているからなんです。
鍛冶の難しさは、地金(鉄)と鋼(はがね)を一体化させる作業です。鉄と鋼はくっつかないため、ホウ酸と鉄粉を混ぜた接合剤を使います。真っ赤になった地金をハンマーで打っている映像は、テレビで誰しも一度は見ているはずです。
フクロナガサは、マタギの注文に応じているうちにこうなったという最終形です。鉄砲が使えない時、熊と対峙しなければならない必然性から生まれたものです。上の解説にもありますが、柄が空洞になっていて枝などを差し込んでヤリにできます。
そこには、熊や小動物、山菜、キノコなど山の恵みを受けて生活してきたマタギならではの知恵が凝縮されています。ナガサはナタと出刃包丁が合体したようなものですが、これがあれば山中で大抵のことが出来ます。
今は狩猟禁止ですが、昔はアオ(ニホンカモシカ)も解体したそうです。熊は現場では無理として、ウサギ、山鳥、キジなどは解体出来ます。岩魚など川魚を三枚におろして刺身を作る。あるいは、急斜面や手の届かないところに生えてるキノコやウドなどの山菜を、長い枝を差し込んで採れます。深いヤブを払い、小枝を切ったり、その小枝を削って箸を作ることも出来ます。
ナタやクワなどうちのはほとんど西根鍛冶屋製です。丈夫で長持ちします。いい仕事してますよ。32歳になる息子さんが秋田市の会社員を辞めて後を継いだらしいですが、一人前になるまでは大変なご苦労をされてるようです。
※参考文献;朝日新聞秋田版
昔は豚、やぎ、鶏などなど自分ん家で飼育して解体して食べたもんですよね。。恐る恐る現場を見に行ったもんでした。
ナタは家でも出番が多いですよ。
マタギではありませんが、手伝ったりして熊肉をもらってくることはありました。私も小さい頃、マタギの巻き狩りに参加してたんですよ。
そうなんですよ。農耕用に馬も飼ってた家が多かったですが、さすがに馬肉にしたって話は聞いたことがありませんね
ナタは重宝ですがナガサの方が切れもいいし、コンパクトなのでおひとついかがですか?
ナガサ・・なるほど~。。
なんか家の倉庫にもそんなのあったような?
会社辞めて後継いだ息子さん、凄い立派ですね。
現代にしてはなかなか勇気と努力がいる事ですよね。
でもこうやって受け継がれて、後世に残していってくれるって本当素晴らしい事ですね♪
西海岸からさっき帰って参りました。
マタギつながりでも、内容的にはかなりの違いがありますがww
倉庫ですかー。お宝が沢山潜んでそうな雰囲気がします。モノが本物であれば、時代を問わず生き残るということでしょうか!?