加藤典洋「井伏と太宰 ふたつの戦後」(講談社)を読了。
井伏鱒二と太宰治の関係は、師弟関係というところであるが、
色々と込み入った事情があるのは有名な話です。
まあ、その関係にちょっと違った角度から光を当て、
自論を重ねるように展開したのがこの一冊の評論である。
と言えば、聞こえがいいですが、ある程度の事実に基いた推論であり、
どこまでこの通りであるかは、あまり問題ではないのかもしれない。
とはいえ、私としては、
太宰治「人間失格」と三島由紀夫「仮面の告白」の関連性や
井伏鱒二「薬屋の雛女房」と太宰治「姥捨」の同時性など、
何だか、知らない情報に対して興味津々です。
この本に準ずるものとしては、言及されている、
猪瀬直樹「ピカレスク 太宰治伝」(文春文庫)の他に、
井伏鱒二「太宰治」(筑摩書房)、
津島美知子「回想の太宰治」(講談社文芸文庫)、
太田治子「明るい方へ 父・太宰治と母・太田静子」(朝日新聞出版)、
などを読んでみないと、とは思っているのですが、中々進まず。
太宰ブームも3月の映画でピークを迎えるのかと思うと、
一年が早くて、泣きそうです。